ロシアのヴェリーキエ・ルーキにある石油貯蔵施設を撮影した衛星写真。タンクを覆うドローン対策ネットが見える。Satellite image ©2026 Vantorウクライナは2026年2月18日夜、ロシアにある石油貯蔵施設に対して長距離ドローンによる攻撃を実施した。ウクライナの治安当局関係者によると、その施設に設置されていたドローン対策用の「防護ネット」は攻撃を防ぐことができなかった。戦場の中だけでなくロシア国内の石油施設もドローンを防御する対策はしているが、なかにはあり合わせの材料によってできているお粗末なものもある。
ウクライナのドローンが2026年2月18日夜にロシアの石油貯蔵施設を攻撃した。今回の攻撃では、施設を守るために事前に設置されていたネットを突破したとウクライナの治安当局関係者が2026年2月19日にBusiness Insiderに対して語った。
ウクライナ保安庁(Security Service of Ukraine:SBU)の関係者によると、ウクライナの長距離ドローがロシア西部のプスコフ州にある都市、ヴェリーキエ・ルーキの石油貯蔵施設を攻撃した。この関係者は、匿名を条件としてBusiness Insiderの取材に答えた。

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この関係者によると、石油貯蔵施設の燃料タンクの上にはドローン攻撃を防ぐための防御ネットが張り巡らされていた。この施設はプスコフネフテプロダクト(Pskovnefteproduct)という企業が所有しており、ウクライナの国境から約500km離れた場所に位置している。この関係者は、防御ネットは攻撃による被害を防ぐことができなかったと述べている。
アメリカの人工衛星データ分析企業ヴァンター(Vantor)が2025年12月に撮影し、Business Insiderが分析した画像には、ヴェリーキエ・ルーキの貯蔵施設にある約15基のタンクを覆うドローン対策ネットと思われるものが写っている。
2025年12月14日に撮影されたこの画像には、ヴェリーキエ・ルーキにある貯蔵タンクを覆うドローン対策用のネットが写っている。Satellite image ©2026 Vantor
ドローン対策用ネットを拡大した写真。Satellite image ©2026 Vantor
ウクライナ側の関係者は、メッセージアプリのテレグラム(Telegram)にある地元のニュース映像などから得た情報から、この石油施設で数回の爆発と大規模な火災が発生したと話している。ソーシャルメディアで共有された動画には、燃え上がる様子が映っている。
ここ数カ月、ロシア国内にある他の石油施設でもこの種の防御ネットが目撃されている。このネットを張る戦術は、長く続くウクライナの攻撃からロシアがエネルギーインフラを守るために、いかに粗末で即席の防御策に頼らざるを得なくなっているかを示すものだ。
“Vietnam, run!” – overnight, drones from the Special Operations Center “Alpha” of the Security Service of Ukraine successfully struck the Velikolukskaya oil depot. A large fire broke out at the site. Anti-drone nets had been stretched over the fuel storage tanks, but they did not… pic.twitter.com/bLBxuHNxtm
— WarTranslated (@wartranslated) February 19, 2026
ドローンが戦場に溢れかえっていることへの懸念から、最前線でも同様の対策が取られている。
ドローン用の防御ネットは前線の近くではすでに一般的なものとなっており、ウクライナの兵士たちは、重要な軍の補給路を覆うためにネットを使用している。またロシア、ウクライナの両軍ともドローンの攻撃から守るため、装甲車両にケージのようなものを装着している。

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さらに、ロシアはあり合わせのもので用意した防御策も導入している。例えば、海に大きな浮きを並べてバリケードにして、黒海艦隊(Black Sea Fleet)に甚大な被害を与えてきたウクライナの水上ドローン(無人艇)から港を守ろうとしている。
2026年2月18日夜に行われたウクライナのドローンによる攻撃は、ロシアの巨大な石油・ガス産業に対する最新の「敵陣の奥深くを狙った作戦」となった。この産業は、現在も続くロシアの戦争を支えるための重要な収益源をとなっている。
「ウクライナ保安庁は、ロシア軍に燃料を供給している施設を狙う作戦を、計画的に遂行し続けている」とウクライナの治安当局関係者は語った。
「石油貯蔵施設を破壊することは、敵が戦闘を行ったり、部隊を前進させたり、いざという時のための予備の部隊を移動させたりする能力に直接的なダメージを与える。こうした作戦は、ロシアの軍事力を組織的に削ぎ落としていくための、重要な戦略のひとつだ」と、その関係者は付け加えた。
ウクライナの最前線近くでは、ドローン対策用のネットを見かけることが普通になっている。Dmytro Smolienko/Ukrinform/NurPhoto via Getty Images
ロシア国防省(Ministry of Defence of the Russian Federation)も駐米ロシア大使館も、今回の攻撃に関するBusiness Insiderのコメント要請には応じなかった。ロシア政府は、対空防御システムによって2026年2月18日から19日にかけての24時間で約300機のウクライナのドローンを撃墜したと発表している。
2025年8月以降、ウクライナはロシアの石油・ガス産業に対する長距離ドローン攻撃を強化している。その攻撃対象は、製油所や貯蔵ターミナル、タンカー、そして海上の石油のプラットフォーム(採掘足場)にまで及んでいる。ウクライナ政府は、こうした「敵陣の奥深くを狙った一連の作戦」を、ロシアに対して「遠く離れた場所から、相手の経済活動を物理的に制限するための独自の制裁手段」だと説明している。
直近の攻撃を含め、過去1週間で少なくとも4回行われたこれらの一連の攻撃の多くは、ウクライナ保安庁の「アルファ(Alpha)」グループによって実行された。このグループは、ウクライナの特殊部隊の中でもトップクラスと見なされる精鋭部隊だ。所属する隊員たちは、ドローン作戦だけでなく、地上での作戦にも従事している。
一方、ロシアも2025年から2026年にかけての冬、ウクライナのエネルギーインフラに対するミサイルやドローンによる攻撃を、これまでの戦争期間と比べても大幅に強化している。
ロシア・ウクライナ戦争の開始以来、独自の最新の分析結果を「インテリジェンス・アップデート(Intelligence Updat)」として世界に向けて発信しているイギリス国防省(Ministry of Defence)は2月19日、「2025年10月以降、ウクライナのエネルギー施設がロシアによる集中攻撃の主な標的となっている」と述べている。
ロシアは、「ウクライナ全土に電気を届けるネットワークや冬の暖房を支える熱の供給システムを組織的に破壊」するために、2万機以上のドローンを投入して300発以上のミサイルを発射していると、イギリス国防省はインテリジェンス・アップデートの中で明らかにした。
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