公開日時 2026年03月01日 05:16更新日時 2026年03月01日 05:18

本屋ゼロの村に「移動書店」司書・仲村さん、地元・宜野座で開業 沖縄
沖縄こどもの国で開かれたイベントで出店する「青らんbooks」の仲村千秋さん=沖縄市

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古堅一樹

 書店が年々、減少する中、地域住民が読書に親しむ場につなげようと、読書アドバイザーで、図書館司書の資格を持つ仲村千秋さん(48)がこのほど、地元の沖縄県宜野座村を拠点に移動書店「むらの本屋さん 青せいらんbooks」を開業した。地域のイベントなどで販売コーナーを設けて古本の買い取りや販売を行い、本を通して人がつながる拠点を目指す。

沖縄こどもの国のイベントで、来場した子どもに話しかける仲村千秋さん(奥)=沖縄市

魚屋から買い取り、肉屋が…

 2017年ごろから約5年間、村文化センター図書館(村立図書館)で司書として働いた仲村さん。日々の業務の中で、図書館があることを知らない住民も思ったより多いことを感じたという。「図書館に近い地域の子どもは図書館について知っている」と話す一方で「『え、宜野座に図書館があるんですか?』という若いお母さんや子どもたちも結構いた」と明かす。 村内には長い間、書店がない。こうした状況も踏まえ、本に出合える場所をもっと身近につくりたいとの思いを温めてきた。

 移動書店は軽自動車に本を積み込んで運び、イベントなどで出店する形式。25年2月ごろから動き始め、25年11月には沖縄市のプラザハウスショッピングセンターで開催されたイベント「本ともっとバザール」で初出店した。会場で買い取りも受け付け、その日のうちに次の読者が買い求めることもあった。

 「魚屋さんが会場に持参した図鑑を買い取った」と仲村さん。その図鑑は、イベント期間中に「肉屋さんが買っていった」という。「魚屋から買い取った図鑑を肉屋が買っていったのが面白かった。古本屋は、本と人をつなげる役目もあれば、人と人をつなげる役目もあるのかなと思う」と語った。

役者として培った表現力

 20~30代の頃、役者として県内外で演劇活動にも取り組んだ経験も持つ。キャリア教育支援に関連する活動にも携わった時期があり、子どもたちへの読み聞かせ活動にも参加してきた。役者として培った表現力は、読み聞かせの中でも生きている。

 開業から約1年を迎える移動書店「青らんbooks」が扱うジャンルは暮らしや生活に役立つ実用書に加え、絵本や郷土関連もそろえる。「本についての困りごとを相談できる場にしていきたい気軽に相談できる店主でありたい」との思いも語った。

 今後は村内で店舗の開設も視野に入れる。拠点を設けた上で、公民館や地域行事への出張販売も増やしたい考えだ。「図書館の外にも、本と人が出会う場所があっていい。小さくても、続けていきたい」と一歩を踏み出している。
(古堅一樹)