TASA(台湾国家宇宙センター)は2026年2月、台湾初となる宇宙スタートアップ向けアクセラレーター「TASA iSPARK」の設立を発表しました。2026年7月の正式オープンを予定しています。
世界の宇宙経済が2025年に6264億ドル(約94兆円)に達し(※)、民間投資も2021年以降で最大の回復を見せるなか、半導体やICT分野で世界的な競争力を持つ台湾が、その技術力を宇宙産業へ展開する動きとして注目されます。
【▲ 台湾の宇宙スタートアップ向けアクセラレーター「iSPARK」の告知画像(Credit: TASA)】
※…Novaspaceの年次報告書「Space Economy Report」第12版より
台湾の宇宙開発のいま
台湾の宇宙開発を担うTASA(Taiwan Space Agency)は、2023年に前身のNSPO(国家宇宙センター)から改組されて発足した政府機関です。人工衛星の開発・製造、宇宙技術の研究開発、そして宇宙産業の育成を主な役割としています。
TASAが現在進めている主要プロジェクトの1つが、台湾初の国産光学リモートセンシング衛星コンステレーション「FORMOSAT-8」です。全8機で構成される計画で、そのうち6機は地上分解能1m、残り2機は0.5mの超高解像度撮影が可能とされています。
コンステレーションの1号機「FORMOSAT-8A」は2025年11月にSpaceXのFalcon 9ロケットで打ち上げられました。機能検証や軌道上での100回以上の撮像テストを経て、2026年1月から本格的な撮影ミッションを開始。2月11日に公開された初画像では、新竹サイエンスパークや東京の国立競技場、バルセロナ空港などが鮮明に写し出されており、TASAによると画質やS/N比(信号対雑音比)は設計仕様を上回る結果だったといいます。2号機の「FORMOSAT-8B」は完成間近で、2026年末の打ち上げが予定されています。

【▲ FORMOSAT-8のイメージ画像(Credit: TASA)】宇宙スタートアップ向けアクセラレーター「iSPARK」
こうした衛星開発と並行して発表された「TASA iSPARK」は、宇宙市場への参入障壁を下げ、台湾のスタートアップや異業種企業の宇宙分野への参入を支援することを目的としています。
世界の宇宙関連企業は約1万社にのぼりますが、その約65%がアメリカ、約15%がヨーロッパに集中しています。台湾の宇宙関連企業は約314社で全体の約3%。スタートアップに限ると、世界1700社以上に対して台湾はわずか22社(約1.3%)にとどまり、その多くが地上機器やサプライチェーンの中下流に集中しているのが現状です。TASAはiSPARKを通じて、台湾の宇宙スタートアップの世界シェアを1.3%から3%に引き上げることを目標に掲げています。
iSPARKの参加対象は、設立から8年以内の企業、または大企業の中で5年以内に新設された宇宙関連部門です。採択されたチームはTASAの技術リソースや施設へのアクセスが可能になるほか、研修プログラムや共同開発の機会、国際交流の場が提供されます。スケジュールとしては、2026年4月に投資家向け説明会を開催し、5月に審査、6月に契約締結、7月に正式オープンする予定です。
TASAは、台湾が宇宙産業の上流分野ではまだ規模が小さいものの、半導体やICT、精密製造といった分野で「グローバル産業ネットワークのクリティカルノード(重要な結節点)」を占めていると指摘。これらの強みを「宇宙実績」へと転換することがiSPARKの狙いだとしています。
FORMOSAT-8コンステレーションの拡充とiSPARKによるスタートアップ育成の両輪で、台湾の宇宙開発は新たな段階に入ろうとしています。
文・編集/sorae編集部
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