島根県歯科技術専門学校(島根県・松江市)で歯科技工士をめざす鳥取県出身の学生を、鳥取県歯科医師会が支援する「歯科技工士学生支援事業」が2026年3月1日よりスタートします。

 

歯科医療を支える専門職「歯科技工士」。入れ歯や被せ物、詰め物などを製作し、患者さんの“噛む・話す・笑う”を支える歯科医療に欠かせない専門職です。

 

本制度では、年間最大20万円を上限に、鳥取県歯科医師会が授業料の一部を支援。

 

対象となるのは、鳥取県出身の、島根県歯科技術専門学校(松江市)歯科技工士科に在学している学生で、学生生活のために松江市内で一人暮らしをしている学生です。

 

経済的負担を軽減し、将来、鳥取県の歯科医療を支える人材の育成を目的としています。

 

2026年3月1日 (日)~スタート「歯科技工士学生支援事業」

 

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支援の対象

以下のすべてを満たす方が対象となります。

・鳥取県出身の学生
・島根県歯科技術専門学校(松江市)歯科技工士科に在学している学生
・学生生活のため、松江市内で一人暮らしをしている学生

支援内容

鳥取県歯科医師会が、年間の授業料のうち最大20万円を支援金として負担します。

※卒業後、国家試験合格後に鳥取県内で就職された場合は支援金を返還する必要はありません。

 

支援に関する条件

支援を受けた者は、国家試験合格後、支援を受けた年数、鳥取県歯科医師会会員の歯科医療機関およびそれに準ずる機関、または県内の歯科技工所に勤務すること。

 

卒業後のサポートについて

鳥取県歯科医師会は、支援を受けた学生に対し、金銭的支援にとどまらず、卒業後の就職先や進路に関する情報提供など、随時サポートを行います。

 

卒業時点で県内での就職先が確保できない場合は、個別に対応を行い、その場合であっても支援金の返還は求めません。

 

対象校

対象校:島根県歯科技術専門学校 (島根県松江市南田町141-9)

 

問い合わせ先

一般社団法人 鳥取県歯科医師会
鳥取県鳥取市吉方温泉3丁目751-5

TEL.(0857)23-2621
9:00~17:00 (土日祝を除く)

URL:https://www.ttrda.jp/

 

歯科技工士とは

 

歯を失ってしまったとき、あなたならどうしますか。きっと歯科医院を訪れ、こうお願いするでしょう。「失った歯の代わりになる歯を入れてください」と。

 

けれど、その“新しい歯”がどこで、誰の手によって作られているのかを、考えたことはあるでしょうか。

 

診療室の奥や、町のどこかにある技工所で、一本の歯と真剣に向き合う人がいます。歯をつくるプロフェッショナル。それが歯科技工士です。

 

一つひとつ丁寧に、細かな調整を重ねながら仕上げ、噛む力と自然な美しさを再現します。

 

“噛むこと”は、生きることにもつながっています。

 

歯科技工士は、見えない場所で、人の人生をそっと支えています。

 

島根県歯科技術専門学校

 

アクセス

島根県松江市南田町141-9

 

島根県歯科技術専門学校とは

島根県歯科技術専門学校は、歯科技工士(2年制)と歯科衛生士(3年制)を養成する専門学校です。

 

高い国家試験合格率と、地域に根ざした実践的な実習が大きな強み。歯科医院や歯科技工所などでの施設見学を通して、現場で即戦力となる技術と知識を身につけることができます。

 

学校の雰囲気や学びの内容を実際に体験できるオープンキャンパスも定期的に開催されています。

 

島根県歯科技術専門学校に通う学生と教務主任にインタビュー

今回は、島根県歯科技術専門学校に鳥取県から通う一年生の坂本陽平さんと澤野莉香さんにお話を伺いました。

 

それぞれの進学理由や、実際に学んで感じたこと、将来への思い――など貴重なお話を聞くことができました。

 

ご自身も当校の出身だという教務主任・吉田先生の存在も印象的でした。学生との距離が近く、丁寧に向き合う姿勢からは、信頼関係の深さが感じられます。

 

技術を学ぶだけでなく、支えてくれる先生との関係性も、この学校の大きな魅力。そんな温かな空気感が伝わるインタビューとなりました。

 

ものづくりの最前線へ。変わりゆく歯科技工の現場

高校生の頃から手芸が得意で、手先が器用だったという坂本さん。

 

その強みを活かせる仕事を探していく中で、歯科技工士という職業にたどり着いたといいます。

 

—— やはり手先が器用な人が向いている仕事というイメージはありますか?

「最初はそう思っていましたが、実際に学んでみると少し印象が変わりました。
今はコンピューターを使って歯をつくる”デジタル技術”も増えていて、手先の器用さだけが必要というわけではないと感じています。」

 

以前はアナログ作業が中心だった歯科技工の現場も、現在ではCAD/CAMなどのデジタル技術が進化し、手作業とデジタルを組み合わせたものづくりが主流になっています。

 

そのため、「手先が器用かどうか」だけではなく

ものづくりが好きな人
新しい技術に興味を持てる人
コツコツ積み重ねることが得意な人

 

そうした資質を持つ人に向いている仕事だといえるそうです。

 

進路の決め手は「先生」との出会い

—— 数ある進路の中で、島根県歯科技術専門学校を選んだ理由は?

県外の専門学校も検討し、比較する中で、特に印象に残ったのが本校のオープンキャンパスだったそうです。

 

「マンツーマンで丁寧に指導してもらい、実際に石膏を触って削る体験を通して、「先生の教え方次第で、こんなに上達するんだ」と、実感したといいます。短時間でも成長を感じられ、ここで学びたい、こういう先生に習いたいと思い、この学校を選んだという坂本さん。

 

オープンキャンパスでの丁寧な指導と体験授業。坂本さんにとってそれは単なる学校説明ではなく、“未来の自分”を具体的に想像できる時間だったようです。

 

歯科技工という専門性の高い仕事だからこそ、環境の大切さが、進路選択において大きな意味を持っていることが伝わってきました。

 

先生と生徒の距離が近い、安心できる学びの環境

小さい頃から歯医者さんに行くのが好きだったという澤野さん。進路を考える中で歯科技工士という職業を知り、「自分も歯に関わる仕事がしたい」と思うようになったといいます。

 

——実際に入学してみて感じた学校の雰囲気や印象はどうですか?

「先生と生徒の距離が近く、少人数制なので質問しやすい環境だと感じています。分からないことがあればすぐに聞きに行けて、マンツーマンに近い状態で教えてもらえるところが、とても気に入っています。」

 

歯科技工の技術は、細かな工程の積み重ね。だからこそ「分からないままにしない」環境がとても大切です。少人数制の強みは、一人ひとりの理解度に合わせて丁寧に指導を受けられること。質問のしやすさは、技術習得のスピードにも直結します。

 

現場の歯科医師から学ぶ“リアルな視点”

さらに、歯について学ぶ授業では、実際に現場で働く歯科医師が来校し、直接指導を行っているそうです。

 

模型を見ながら「ここが良くない」「こういう作り方は現場では使えない」といった、歯科医師の視点からの具体的な意見を聞く機会があります。早い段階から現場目線を身につけられる点も大きな意義があると感じました。

 

これから歯科技工士を目指す学生へ

歯科技工士は表に立つ仕事ではありませんが、歯科医療を支える“縁の下の力持ち”として欠かせない存在です。

 

自分の技術が、誰かの人生や笑顔を支えている――
そう実感できる、誇りある仕事です。

 

ものづくりが好きな人、新しい技術に興味がある人、誰かの笑顔を守りたい人。

 

専門性を磨き、一生ものの技術を身につける一歩を。そしてその想いを支える温かな環境が、ここ島根県歯科技術専門学校にはあります。

島根県歯科技術専門学校 副校長インタビュー

(一社) 島根県歯科医師会 副会長であり、島根県歯科技術専門学校 副校長、医学博士の松浦良二先生にもお話を伺いました。

 

歯科医療の現場を知る立場、そして教育に携わる立場の両方から、歯科技工士という職業の重要性について語ってくださいました。

 

「歯科医療は、歯科医師や歯科衛生士だけでは成り立ちません。患者さんの口の中に入る補綴物を製作する歯科技工士の存在があってこそ、医療は完成します。」

 

「失った機能を取り戻すことは、生活の質を大きく左右します。噛めるようになることは、健康そのものに直結するのです。」

 

歯科技工の仕事は決して簡単ではなく、精密さと専門知識が求められる奥深い世界です。しかしその分、誰かの人生を支える誇りある仕事だと話されました。

 

また、少人数制による丁寧な指導体制や、現場の歯科医師が関わる実践的な教育環境についても触れ、「少しでも興味を持った方は、まずは実際にオープンキャンパスに来て欲しい。」と高校生へメッセージを送りました。

 

地域医療を支える人材を育てる場として、さらなる充実を目指していきたい――

 

そんな想いが伝わるお話でした。

 

オープンキャンパス

島根県歯科技術専門学校では、歯科技工士の仕事を実際に体験できるオープンキャンパスを開催しています。

進路を考える高校生に向けて、学校の雰囲気や学びの内容を“体感”できる内容となっています。マンツーマンに近い丁寧な指導で、初めてでも安心して参加できます。

・実習体験コース(石こうを使った動物の模型、歯科用レジンを使ったマスコット作りなど)
・実技試験対策コース (入学試験科目の1つである実技試験 (彫刻)の対策実習など)
・CAD/CAMシステムを使った歯の製作体験

■ 参加特典
入学検定料(15,000円)免除
実技試験対策コース受講で入学実技試験免除のチャンス

■随時受付(事前申込が必要)

■お申し込みはこちら
→島根県歯科技術専門学校ホームページ

電話番号:歯科技工士科0852-24-2727
受付時間 8:30~17:00 (土日祝を除く)

歯科技工士の資格取得後に選べる3つの働き方

歯科技工士の資格を取得した後は、大きく分けて

①歯科医院勤務/②歯科技工所(ラボ)勤務/③独立・開業

という3つの選択肢があります。

① 歯科医院勤務
歯科医院に常駐し、歯科医師や歯科衛生士と連携しながら技工物を作る働き方です。診療の現場に近い環境で働くため、指示の意図を直接確認できるのが大きな特徴です。

[特徴]
・歯科医師と直接やり取りできる
・患者さんの状態を把握しやすい
・小規模な環境で働くことが多い

 

② 歯科技工所(ラボ)勤務

歯科医院から依頼を受け、技工物を専門的に製作する職場です。分業制を採用しているところが多く、チームで仕事を進めていくのが特徴です。入れ歯や金属冠、自費技工など、それぞれの分野に分かれて作業を行うため、技術を集中的に磨くことができ、効率よく仕事に取り組めます。

[特徴]
・入れ歯・金属冠・自費など専門分野がある
・工程ごとに役割分担
・複数の歯科医院と関わる

 

③ 独立・開業(一人ラボなど)

自分で歯科技工所を開業し、歯科医院と直接契約して仕事をする働き方です。技工業務だけでなく、経営者としての役割も担う、営業や配達、事務作業、機材の管理など、すべてを自分で行う必要があります。

[特徴]
・営業・配達・事務などすべて自己管理
・収入や働き方の自由度が高い
・成功すれば大きなやりがいがある

 

歯科医院勤務の歯科技工士にインタビュー

19歳のとき、アルバイト先の先輩から声をかけられたことをきっかけに、歯科技工の世界へ入ったという難波さん。

 

資格を取得してから30年以上、鳥取県西伯郡伯耆町にある「小田歯科医院」で現在も勤務を続けるベテランの方です。

 

——長く続けてこられて、本当にすごいですね。良かったと感じることはありますか?
自分の特性を活かしてもらえているところですね。本当に職場に恵まれたなと感じています。いろいろ大変な話を聞くこともありますが、そういった部分も含めて受け入れてもらい、続けさせてもらえていることが、何よりありがたいです。

 

歯科技工士は離職率が高いと言われる職業です。3〜4年で辞めてしまう人も多く、6〜7割が業界を離れるとも言われています。

 

そんな中で長く続けてこられた理由について、「職場に恵まれたこと」「自分の特性を受け入れてもらえたこと」が大きいと難波さんは話します。

 

——実際には、どんな種類のものを作られているんですか?
ここでは、総義歯(総入れ歯)、クラウンブリッジ、硬質レジン前装冠などを作っています。また、義歯(入れ歯)の修理もしています。

 

——では次に、大変なところについても教えてください。体力面はいかがですか?
予定外の仕事が入ることも多く、思うようにスケジュールが組めない日もあります。忙しい時期が続くと夜まで作業することもあり、体力的に大変だと感じることもあります。

 

——歯科技工士の仕事では、技術や知識はどのように身についていくのでしょうか。
学校で学ぶ模型は、あくまで基礎です。実際の現場では、同じ歯の大きさでも、並び方や形、噛み合わせが一人ひとり違います。研修会に参加したり、先輩技工士の話を聞いたりしながら経験を重ね、患者さんに喜んでいただけるものを提供できるよう心がけていくことが大切です。

 

——難波さんにとって、歯科技工士とはどのような仕事ですか。
歯科技工は、保険診療であってもすべてが患者さん一人ひとりに合わせた『オーダーメイド』です。歯科医師・歯科衛生士と連携しながら、患者さん(生体)が失った歯の一部、時には全てを回復する事が出来る素晴らしい仕事だと思っています。」

 

歯科技工士は決して楽な仕事ではありません。それでも、技術を磨き、人に支えられながら長く続けることで、確かなやりがいと誇りを持てる仕事です。

 

歯科技工所(ラボ)勤務

「小田歯科医院」でのインタビュー中、納品に来られていた入れ歯専門のラボ「デンタルラボTAKE IT」で働く歯科技工士さんにもお話を伺うことができました。歯科技工士としてのキャリアは20年近く。長年にわたり、現場を支えてこられたベテランの方です。

 

歯科技工所(ラボ)によって特色はさまざま。金属専門、入れ歯専門、自費専門など分野は分かれ、同じラボの中でも工程ごとに役割を分担し、チームで技工物を製作する体制が一般的です。

 

入れ歯づくりは工程が非常に多く、分業しチームで一つの製品を仕上げていきます。

 

仕事量が少ない日は明るいうちに帰れることもありますが、忙しい時期には帰りが遅くなることもあるのだそうです。

 

忙しさや体力的な大変さはありますが、それでも歯科技工士の仕事を続けて来られたのには理由があります。

 

「トラブルなく使えたよ」「ぴったりだったよ」
歯科医師から声をかけてもらえた時、直接患者さんと会うことはなくても、自分の仕事が誰かの生活を支えていることを実感できる瞬間だと言います。

 

入れ歯などは、調整を重ねながら、少しずつ“その人の歯”へと近づけていきます。

 

歯並びも一人ひとり違います。U字にきれいに並んでいる人もいれば、少しガタついている人もいる。その微妙な違いをどう仕上げるかは、経験の積み重ねです。 続ければ続けるほどわかるようになっていくのだそう。

 

その積み重ねが形となり、最終的に問題なく納品できた時の達成感はこの仕事ならではの喜びでしょう。

 

「何もトラブルが起きないことが、一番の評価」そんな日々の静かなやりがいが、長く続けてこられた理由なのかもしれません。

 

歯科技工士学生支援事業

 

編集後記

 

近年はAIや3Dプリンターの導入も進んでいます。スキャンして削り出す工程は増えましたが、手作業が不要になるわけではありません。人の手でなければ対応できない部分が多く残っています。

 

歯科技工士は、「人の手でしかできないものづくり」を支える存在として、これからも確実に必要とされていきます。

 

取材協力

島根県歯科技術専門学校
島根県松江市南田町141-9
HP/Instagram

歯科技工士科/0852-24-2727
歯科衛生士科/0852-24-2726
受付時間 8:30~17:00 (土日祝を除く)

小田歯科医院
鳥取県西伯郡伯耆町押口86-2
デンタルラボTAKE IT
鳥取県西伯郡伯耆町大殿1569-12

(データ・写真など上記情報は記事作成時点のものです。変更がある場合がありますので参考程度にお願いします。)

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