イタリア・サルデーニャ島の住民は、起伏に富んだ地形を歩くことで、長寿を促進する運動をこなしている。imantsu/Getty Images世界で最も長生きな人々は、ジムに通うのではなく、日々の散歩などによって運動をこなしているケースが多い。ある長寿研究者は、イタリアの「ブルーゾーン(長寿地域)」に100歳以上の人々を訪ねたことをきっかけに、自らの運動に対する考え方を変えることになった。彼はリラックスしたアプローチこそが怪我を防ぎ、長く健康な人生へとつながる可能性があることを学んだ。
スティーブン・オースタッド(Steven Austad)は、熱狂的なジム愛好家だ。
アメリカ老化研究連盟の科学ディレクターを務める彼は、運動こそが「長寿のための万能薬」に最も近い存在であることを熟知している。
だからこそ、彼は長寿のための日課として、毎日約1時間、自転車トレーニングやウエイトトレーニングに取り組んでいる。

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「サプリメントは一切摂らない。マルチビタミンさえ飲んでいない。だが、ジムにはかなりの時間を割いている」と彼はBusiness Insiderに語っている。
しかし最近の調査旅行で、オースタッドは、まったく異なる運動の仕方で元気に暮らしているセンテナリアン(100歳以上の人)と出会い、それが運動に対する彼の考え方を変えることになった。
「多くのセンテナリアンに会い、対話し、彼らを観察した。彼らはよく運動をしているが、それは決してハードな運動ではなかった」
健康に最も良い運動とはどのようなものか。そして、なぜ「少しばかり怠惰であること」が、長く健康な人生の鍵となり得るのか。その理由を紐解いていこう。
長生きするのに最も適した運動
イタリアのサルデーニャ島は、住民が100歳(あるいはそれ以上)まで生きることが珍しくない、世界でも数少ない場所のひとつだ。
「ブルーゾーン」として知られるこのような地域は、日本の沖縄やコスタリカのニコヤなど、世界中に点在するが、科学者たちが「長期にわたる良好な健康状態に関連している」と考える共通の生活習慣がある。それは、活動的に過ごすこと、主に野菜中心のシンプルで栄養価の高い食品を食べること、そして強固な社会的コミュニティを築くことなどだ。
オースタッドは2025年、「長寿のホットスポットは、果たして評判通りなのか」に関する研究論文の執筆中にサルデーニャを訪れた。彼は、ブルーゾーンにセンテナリアンが多いのは「並外れたアンチエイジングの習慣」によるものではなく、単に「出生・死亡記録の管理がずさんなだけではないか」という仮説を検証したいと考えていた。
長寿研究者のスティーブン・オースタッドは、イタリアのサルデーニャ島を訪れ、活動的なセンテナリアンを調査した。彼らはジムに通うのではなく、地元の起伏に富んだ斜面を歩くなどの日常の動作を通じて、必要な運動をこなしていた。Steven Austad/Getty Images — miroslav_1
彼が突き止めたのは、サルデーニャの高齢者たちが「本物」だということだった。彼は、島の住民が90代、さらには100歳を超えても活力に満ちていることを確認しただけでなく、そこで目にした光景は、彼自身の健康的な生活に対する考え方も変えた。
サルデーニャの村々は、山がちで険しい地形の上に点在している。そのため、住民は移動手段として日常的にハイキングをしていることになる。さらに、家事の一環としてガーデニングなどにも励んでいる。こうした活動により、サルデーニャの人々はジムに足を踏み入れることなく、比較的負荷の軽い有酸素運動を十分に行い、時々上り坂を歩いて高強度の運動もこなし、全身を大きく動かして筋力を高めるなど、長寿につながるような運動を日常的に行っているのだ。
オースタッドはまた、その地域の再生医療の専門医とも話をした。彼女の専門は、怪我や加齢によるトラブルを防ぐことだ。
彼女によると、患者のほとんどは、ジムで体を痛めた若者たちなのだという。
オースタッドは衝撃を受けた。彼が会った90代や100代の人々は皆、活気にあふれ、健康的だった一方で、若い世代は自分を追い込みすぎた結果、治療を必要としていたからだ。
「本当に驚いた。運動にそこまで熱狂的になる必要はないのだと、確信するようになった」
