広島県尾道市出身の囲碁のアマチュア棋士、福島あきらさん(25)がドイツに移住し、欧州の囲碁文化を発信する「囲碁インフルエンサー」として活動している。福島さんは「囲碁を通して日本と欧州をつなげ、囲碁を盛り上げ、自分を育ててくれた地域に恩返ししたい」と誓っている。(佐藤行彦)
「囲碁インフルエンサー」として活動する福島さん(広島県尾道市で)
福島さんは7歳の時に両親から買ってもらったボードゲームセットの囲碁に興味を持ち、近くの碁会所や教室に通い始めた。地域の人に教わりながら腕を上げ、県立尾道北高校時代には友人を誘い、廃部になっていた囲碁部を同好会として復活させた。
全国高校囲碁選抜大会の女子個人戦で準優勝するほどの実力だったが、「自分は楽しく打つ方が向いている」とプロは目指さず、立命館大卒業後は殺虫剤メーカー勤務を経て、2024年9月にドイツ西部のケルンに移住した。
日常生活になじむ
ドイツにも碁会所があることを知り訪ねると、カフェの中でビール片手に碁に親しむ現地人の姿があった。「日本では縁側でお年寄りが打っているイメージだけど、ドイツはカジュアルな雰囲気で、碁が日常生活になじんでいて驚いた」
その後、ドイツ国内では月に4、5回程度、囲碁の大会が開かれていることがわかり、そのうちの一つに参加。日本でアマチュア強豪として鳴らしただけに優勝を狙ったが、まさかの入賞圏外に。欧州囲碁の実力が高いことも知った。
オランダやベルギーなどの大会に足を運び、覚えた言語を駆使し、大会運営者や参加者に話を聞いた。人気漫画「ヒカルの碁」を読んで囲碁を始めた愛好家が多いことや、勤務する会社に出資を掛け合って大会を催す熱心な人もおり、欧州人の「囲碁愛の深さを感じた」という。
同年12月にユーチューブチャンネル「アキラの碁」を開設。欧州の大会のリポートや運営者、現地団体へのインタビュー、ドイツの文化・風習などの発信を始めた。これまで200本以上の動画を上げ、登録者数は2300人を超えた。
ネットで日欧戦企画
活動の幅も広がっている。25年10月には関係者の仲介でスポンサーを見つけ、佐田篤史七段や大川拓也四段ら関西棋院のプロ棋士と欧州の強豪棋士各5人がネット対局する団体戦を企画し実況、配信した。日本勢の4勝1敗だったが、ポーランドの棋士が大川四段を破り、欧州囲碁の実力を知らしめた。
ドイツの囲碁イベントで欧州各地の参加者に指導する福島さん(昨年9月)=福島さん提供
また、若年層に囲碁を知ってもらうきっかけにしようと、「ヒカルの碁」をドイツ各地の日本文化施設に寄贈する計画を進めている。今年1月、地元の尾道市で第50期棋聖戦七番勝負第2局が行われた際には、一時帰国して大盤解説会で聞き手を務めたほか、子ども囲碁大会で指導碁を打つなどイベントに花を添えた。
福島さんは「囲碁はシンプルだが奥が深く、言語が違っても対局を通じて世界の人と友達になれる。地道に活動を続けて厚みを持たせ、陣地を広げたい」と囲碁用語を交えながら笑った。
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