テキサス州のケン・パクストン州司法長官は、中国とシンガポールに本社を置く大手ネットワーク機器メーカーのTP-Linkを「中国共産党がアメリカ人のデバイスにアクセスできるようにした」として提訴しました。司法長官事務所はプレスリリースで、TP-Linkはプライバシーとセキュリティを宣伝しているにもかかわらず、製品が中国政府の支援するハッカー組織によるアメリカを標的としたサイバー攻撃に使用されている」と主張しています。

Attorney General Paxton Sues TP Link for Allowing the CCP to Access Americans’ Devices in First of Several Lawsuits Being Filed this Week Against China-Aligned Companies | Office of the Attorney General
https://www.texasattorneygeneral.gov/news/releases/attorney-general-paxton-sues-tp-link-allowing-ccp-access-americans-devices-first-several-lawsuits


(PDFファイル)TEXAS’S ORIGINAL PETITION AND APPLICATION FOR TEMPORARY AND PERMANENT INJUNCTIONS
https://www.texasattorneygeneral.gov/sites/default/files/images/press/TP%20P.pdf

Texas AG sues TP-Link over purported connection to China
https://www.engadget.com/cybersecurity/texas-ag-sues-tp-link-over-purported-connection-to-china-193802258.html

Texas sues TP-Link alleging Chinese government access to its devices | Reuters
https://www.reuters.com/legal/litigation/texas-sues-tp-link-alleging-chinese-government-access-its-devices-2026-02-17/

TP-Linkは世界最大のWi-Fi機器メーカーで、アメリカでは家庭向け・中小企業向けで65%のシェアを占めていて、300以上のインターネットサービスプロバイダー(ISP)が基本ルーターとしてTP-Link端末を利用しています。

しかし、TP-Linkはセキュリティ上に欠陥がある状態のまま製品を出荷していることが複数回指摘されるなどセキュリティ上の懸念が問題視されており、2024年12月にはアメリカの国防総省や司法省、商務省などがTP-Linkの調査を開始したことが報じられました。TP-Linkは「アメリカのTP-Linkと中国のTP-Linkは別物」と主張し、「中国政府が当社のルーターやその他機器の設計や製造にアクセスすることはできない」とする声明を発表しましたが、最終的には国家安全保障上の理由からTP-Link製ルーターの規制をアメリカ政府は提案しました。

アメリカ政府のTP-Link製品禁止案は本当に有効なのか? – GIGAZINE


テキサス州司法長官事務所も2025年10月、TP-Linkに対し「中国共産党政府によるアメリカの消費者データへのアクセスと悪用を支援した可能性がある」として捜査を開始しました。パクストン州司法長官は「大手IT企業が中国共産党にアメリカ国民のデータへのアクセスを与えているのであれば、そのデータはアメリカ国民にとって不利に利用されていることは疑いようがありません。いかなる企業であっても、最大の敵である中国に我々を売り渡すことは許されません。TP-Linkがテキサス州法に違反し、アメリカ国民を危険にさらしているのであれば、私の事務所は彼らに責任を負わせるために全力を尽くします」とコメントしました。

調査の中でTP-Linkがネットワーク機器の販売に際して虚偽の情報を提示していたことが判明したとして、パクストン州司法長官はTP-Linkを提訴しました。


公開された訴状によると、TP-Linkには「ベトナム製」と書かれたラベルが貼付されていますが、そのラベルを剥がした裏側には中国とのつながりが深いサプライチェーンが記載されているとのこと。部品のほぼ全てが中国で調達され、ベトナムでは最終組立のみが行われており、「TP-Linkの機器はテキサス州の消費者が購入に同意できる安全な機器ではなく、外国の敵対者がアメリカを監視・攻撃することを可能にしている現代の戦争兵器です」と訴状では主張しています。

テキサス州の不正取引行為防止法(DTPA)は、大手テクノロジー企業が虚偽や誤解を招く形でテキサス州民にデバイスを販売することを禁止しています。TP-Link製品はテキサス州内の主要な小売店で販売されており、提携関係や保護機能に関する虚偽表示をした上でセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性を隠しているとして責任の追及と事業の差し止めが求められました。

パクストン州司法長官は「今回私の事務所は、テキサスとアメリカを常に第一に考えるという明確なメッセージを送るため、中国共産党と連携する企業に対し協調的な一連の措置を開始します。TP-Linkは、アメリカ国民の安全を危険にさらしたとして、法の厳罰に処されるでしょう。これは、我が国の安全保障を脅かそうとするあらゆる中国企業への明確な警告となるはずです」とコメントしました。

訴訟を受けてTP-Linkはテクノロジー系メディアのEngadgetに対し声明を発表し、「テキサス州司法長官事務所の主張には根拠がなく、虚偽であることがいずれ証明されます。TP-Link Systems Inc.は独立したアメリカ企業です。中国政府も中国共産党も、TP-Linkおよびその製品、ユーザーデータに対していかなる所有権や支配権も行使していません。TP-Linkの創設者兼CEOであるジェフリー・チャオはカリフォルニア州アーバインに居住しており、現在も過去も中国共産党員ではありませんでした。最高レベルのセキュリティを確保するため、当社の中核事業とインフラストラクチャはすべてアメリカ国内に設置されており、アメリカユーザーのネットワークデータはすべてAmazon Web Servicesのサーバーに安全に保存されています。私たちは、アメリカの家庭に安全な接続を提供する信頼できるプロバイダーとしての評判を、今後も断固として守り続けます」と反論を述べました。

また、中国大使館は記事作成時点でロイターからのコメント要請に応じていません。

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