オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は1月22日、H3N2型インフルエンザの新たな系統であるサブクレードKが、例年より早くオーストラリア国内で拡大していると報告し、研究者らによる、この株の変異特性やワクチン効果への影響を伝えた。

CSIROオーストラリア疾病対策センターの免疫学専門家ダニエル・レイトン(Daniel Layton)博士
(出典:CSIRO)
「スーパーK」インフルエンザとして知られているサブクレードKは、H3N2インフルエンザに属する季節性株で、以前はJ.2.4.1と呼ばれていた。流行時期が通常より早く、感染拡大の速度が速いことから注目を集めている。ウイルスの主要なタンパク質の1つであるヘマグルチニンタンパク質に多数の変異が生じており、これらの変化がウイルスの挙動や拡散に影響を与えている可能性がある。
免疫システムは、ヘマグルチニンに結合する抗体を生成することで感染を防ぐ。インフルエンザワクチンはこの抗体の生成を促す。今回取得されている初期データでは、サブクレードKの変異により、今季のワクチンで得られる抗体との間に不一致が生じ、感染予防効果が低下していることが示唆された。一方で、重症化を防ぐ効果は維持されているとみられる。英国のデータでは、救急外来受診の予防効果が18歳未満で72~75%、成人で29~32%と報告されている。
インフルエンザの新たな株が確認されると、研究機関では遺伝子解析や抗原性解析を行い、既存ワクチンとの適合性を評価する。加えて、増殖速度やヒト細胞への結合性、抗ウイルス薬への耐性も調べられる。サブクレードKの流行拡大は、既存免疫が十分に機能しないことが、今季の早期かつ大規模な流行につながっている可能性を示している。
CSIROは、現時点でサブクレードKが個々の感染者により重い症状を引き起こす証拠はないとしつつ、H3N2型が優勢な流行は集団レベルで重症化が増える傾向があると説明している。乳幼児、高齢者、妊婦、慢性疾患のある人など、インフルエンザへの重症化リスクの高い人は、症状が見られる場合、かかりつけ医に相談しPCR検査を受けることを推奨している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
