キリンホールディングスが13日、2025年の通期決算を発表した。2025年12月期の売上収益は2兆4333億6300万円で前期比4.1%増。営業利益は2517億8500万円で同19.3%増と、ともに過去最高を更新。加えて、これまで先行投資が続いていたヘルスサイエンス事業が初の黒字化を達成した。

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本業の酒類・飲料に加え、成長領域と位置づけるヘルスサイエンスが収益貢献フェーズに入った格好だ。

同日、長期経営構想も発表。2035年に目指す姿として、時価総額3兆円を目指すと掲げた。現在水準のおよそ1.5倍にあたる規模だ。

ヘルスサイエンス初の黒字化

「時間はかかったが、ようやく我々が目指す事業ポートフォリオの形が整った。課題もあったし学びもあった。これからが第二の本番。(ヘルスサイエンス事業を)グループ1番の成長ドライバーにしていきたい」

キリンHD代表取締役社長COOの南方健志氏は会見でそう語った。

売上収益、事業利益が共に過去最高を更新した決算の中でも存在感を示したのが、ヘルスサイエンス事業だ。プラズマ乳酸菌事業や子会社のファンケル、ブラックモアズなどを含む同事業の連結売上高は2514億円と前年同期比43.4%増。営業利益は111億円を計上(前期は109億円の赤字)した。ヘルスサイエンス事業をセグメント化した2023年以降、初の黒字化となる。

とりわけプラズマ乳酸菌事業は大きくのび、売上高は前年比2割増。海外向けの菌体出荷は金額ベースで5割増と、ブラックモアズとの連携も奏功してグローバル展開も加速した。

逆風下で続けた賭け

この構造変化を見据え、同社は2019年にヘルスサイエンス事業を本格始動。「収益の柱」に育てると宣言した。

ただし当初、市場の目は冷ややかだった。実績は乏しく、収益も伴っていない。アクティビストからは「酒類以外の事業を売却すべきだ」との提案を受けたこともある。

それでも、

「当時はほぼ実績がなく、不安が市場にあったのは事実だが、この方向性は間違いないと考え、やるべきことをやってきた」

と、南方COOは振り返る。

2023年にオーストラリアの健康食品大手ブラックモアズをM&Aで取得。2024年にはファンケルを完全子会社化し、ヘルスサイエンス領域の規模を一気に拡張した。足元は両社のPMIを進めるフェーズにあるが、業績は堅調に推移している。

両社を含むヘルスサイエンス事業は黒字化を果たし、グループ内での存在感を強めつつある。かつては「挑戦」と見られていた領域が、成長ドライバーとしての輪郭を帯び始めた。

「株主や投資家、アナリストと話す機会があるが、今はポートフォリオが間違っているという声には出合わない。一定の評価をいただいたのではないか」

南方COOは、手応えをにじませた。

土屋咲花[Business Insider Japan記者]