滋賀県高島市大溝地域の3つの古民家で、「ASK01 滋賀県立美術館 湖北における現代美術展 『キュンチョメ 100万年の子守唄』」が2月21日から開催されます。観覧料無料。

この展覧会は、滋賀県立美術館が琵琶湖の北側地域(湖北)で始める新たなプロジェクト「ASK」の第一弾です。ASKは「アート・スポット・イン湖北(Art Spot in Kohoku)」の略で、アートを通して、みなさんの心に何かを問いかける(ask)ためのプロジェクトです。令和7年度から3年間かけて、高島市、米原市、長浜市を順番に巡ります。

「ASK01 」と銘打たれた本展では、ホンマエリとナブチの2人からなるアートユニット「キュンチョメ」が琵琶湖の西岸、昔ながらの港町・城下町の趣を残す、高島市大溝地区の3つの民家で、映像作品や立体作品、写真作品など、多彩な作品を披露します。社会問題や自然災害、あるいは自然そのものと向き合い、観る者の心に深く響く彼らの表現は、高く評価され、国内外で幅広く紹介されています。この地を訪れたキュンチョメは、悠久の時を刻み、人々やあらゆる生き物を見守り続ける琵琶湖の存在を「100万年の子守唄」になぞらえました。

ぜひ、キュンチョメと高島の地との特別な出会いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

キュンチョメ《金魚と海を渡る》2022年 映像
キュンチョメ《海の中に祈りを溶かす》2022-2023年 映像

ASK01 滋賀県立美術館 湖北における現代美術展
「キュンチョメ 100万年の子守唄」

会場:滋賀県高島市大溝地域の3つの家
①旧福井盛弘堂:高島市勝野1340(※鑑賞はここからスタート)
②中田家住宅旧米蔵:高島市勝野1350
③林家住宅旧米蔵:高島市勝野1256
※滋賀県立美術館は、会場ではありません。

会期:2026年2月21日(土)~4月19日(日)
※会期中の金曜日、土曜日、日曜日、2月23日(月・祝)に開場

開館時間:10:30~16:30

休館日:月曜日~木曜日(2月23日を除く)

観覧料:無料

アクセス:
<電車>
京都駅からJR湖西線で近江高島駅まで約40分。近江高島駅より徒歩約10分、
駅にてレンタサイクル貸出あり。<車>
湖西道路(E161)から国道161 号を北進、「近江高島駅」方面へ約11分
会場付近の「市営勝野駐車場(無料)」が利用可能

詳細は、滋賀県立美術館公式サイトまで。

本展のみどころ
気鋭のアートユニット、キュンチョメによる関西での初個展

東日本大震災をきっかけに映像作品を制作し、以降、話題を呼ぶ作品を多く発表し、第17回岡本太郎現代芸術賞受賞をはじめ、注目を集めてきたアートユニット、キュンチョメ。本展は、2人の関西での初個展となります。

「100万年の子守唄」のタイトルは、有数の古代湖である琵琶湖、またその周辺で水とともに住まう人たちの高島市大溝地区にインスパイアされたキュンチョメによる命名です。

展示では、「水」の存在が印象的な映像作品や、自然と人間のつながりを問う写真作品、また本展が初展示となる4点の新作(《あいまいな地球に花束を》《あなたの傷が癒えますように》《Ghost in the Ocean》《ライフ・イズ・ビューティフル》)など計8点(平面作品2点、立体作品3点、映像作品3点)を展示します。琵琶湖にほど近い環境で、キュンチョメの近作や新作を、まとまって鑑賞できる特別な機会となります。

キュンチョメ《あなたの傷が癒えますように》2025年 写真
キュンチョメ《ライフ・イズ・ビューティフル》2024年 写真
キュンチョメ《Ghost in the Ocean》2025年 映像
舞台は、美しい水辺景観と歴史情緒にあふれる高島市大溝地区

展示の舞台は、美しい水辺景観で知られる高島市大溝地区です。琵琶湖にほど近く、古くから水路や内湖とともに暮らしてきたこの町には、独自の水の文化が息づいています。会場は、現在は使用されていない旧家や米蔵などの歴史ある建物。奥ゆかしい建物に、漂う暮らしの気配、そしてキュンチョメの作品。大溝ならではの魅力とアートが交差する、ここだけの展示をぜひご体感ください。

会場①旧福井盛弘堂/鑑賞はここからスタートする

作品を見終えたら、周囲の町を散策するのもおすすめです。1日をかけて、アートと町をたっぷりと楽しんでいただけることでしょう。また本展は、滋賀県立美術館の主催ですが、美術館を飛び出し、高島市で開催します。スタッフや協力団体には、現地の企業や団体が加わります。同じ県内でありながら美術館へのアクセスが良いとはいえない高島地域―その地域の人たちとともに取り組む展覧会の試みでもあります。

大溝の水辺景観遠景(写真提供:大溝の水辺景観まちづくり協議会)
中町通り(写真提供:大溝の水辺景観まちづくり協議会)
キュンチョメ・プロフィール

キュンチョメは、ホンマエリとナブチによって2011年に結成されたアートユニット。海や自然、動植物、死者、目に見えない存在に焦点を当て、人間中心主義を超えた「新しい愛のかたち」やウェルビーイングのあり方を探求しています。表現方法は、映像、インスタレーション、参加型パフォーマンスなど多岐に亘り、詩的でユーモラスな作品を制作しています。近年の主な展覧会に個展「All Living Things Are Breathing Now」(フィリピン、ヴァルガス美術館 2025)、「六本木クロッシング2022:往来オーライ!」(森美術館 東京)、「現在地:未来の地図を描くために[1]」(金沢21世紀美術館 2019)、「あいちトリエンナーレ2019」(愛知)などがあります。

キュンチョメのポートレート(右:ホンマエリ、左:ナブチ)

歴史ある城下町の佇まいが残る高島市大溝地区。そこにある3つの民家が、本展では現代アートの力によって全く新しい空間へと生まれ変わります。古民家の静寂と映像が織りなす幻想的な体験や、美しい水辺の町をゆっくりと堪能できるまたとない機会になりそうです。琵琶湖が奏でる“100万年の子守唄”に耳を澄ませながら、キュンチョメが提示する「新しい愛のかたち」に触れてみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)