
週末の喧騒に包まれた大阪・ミナミが、鮮血と悲鳴に染まった。2月15日未明、道頓堀のど真ん中で起きた3人刺傷事件。17歳の若き命を奪い、闇夜に消えたのは「20代の男」だった。当初囁かれた「通り魔」説を覆す、被害者グループとの“接点”とは――。
「グリ下」の狂気…観光名所が一変
ネオンが川面を照らす道頓堀が、禍々しい赤色灯の光に支配されたのは、日付が変わったばかりの2月15日午前0時ごろだった。
現場となったのは、大阪の大動脈・御堂筋にかかる道頓堀橋の南詰。すぐそばには、あの有名な「グリコの看板」や、通称“ひっかけ橋”と呼ばれる戎橋(えびすばし)がある。日中はたこ焼きやカニの看板を目当てに世界中から観光客が押し寄せる、まさに大阪の顔とも言えるエリアだ。
しかし、夜の帳が下りればその表情は一変する。客引きのスカウトやホスト、さらに近年は行き場を失った若者たちが集う「グリ下」界隈としても知られ、華やかさと混沌(カオス)が入り混じる欲望の街となる。
そんな眠らない街のど真ん中で、「人が刺されている!」という悲痛な110番通報が相次いだ。
捜査関係者や目撃情報によると、現場にいたのは数人の男女グループ。そこに20代とみられる男が立ちはだかり、何らかのトラブルになったという。
口論は瞬く間に凶行へと変わったのか。男は隠し持っていた刃物を取り出すと、グループにいた10代から30代の男性3人を次々と刺したというのだ。
「誰彼構わずというより、狙って刺しているように見えた。倒れた人がいるのに、男はその場から逃走していった…」(現場付近の目撃者)
刺された3人のうち、搬送先の病院で死亡が確認されたのは17歳の少年だった。残る2人も負傷しており、ミナミの楽しい夜遊びは一瞬にして地獄絵図と化した。
「通り魔」ではなく「知人間」か?
事件発生直後、SNS上では《道頓堀で通り魔事件!?》《怖すぎてミナミ歩けない》といった投稿が拡散し、パニック状態となった。しかし、夜が明けるにつれて事件の別の側面が浮上している。
共同通信などの報道によると、大阪府警では逃走した男と被害者グループの間には「知人間のトラブル」があったとの情報があるという。無差別に通行人を襲う通り魔ではなく、何らかの因縁、あるいは直前の揉め事が引き金となった顔見知りによる犯行の可能性が高い。
現場は規制線(KEEP OUT)が広範囲に張られ、多数の消防車両やパトカーが集結。捜査員たちが血痕の残る路上を入念に調べている。
17歳の命を奪い、今も逃走中
犯人の男は20代とみられ、現場から逃走したままだ。なぜ10代から30代という幅広い年齢層の男女グループが狙われたのか。そして、なぜ17歳の少年が命を落とさなければならなかったのか。
府警は殺人事件として捜査本部を設置し、防犯カメラの映像解析などを急いでいる。男が凶器を持ったまま潜伏している可能性もあり、ミナミの街には張り詰めた緊張感が漂っている。