大分トリニータ 湧き上がれ開幕弾へ キム・ヒョンウの決意 【大分県】

 トレーニングマッチ3試合で連続ゴール。プレシーズンマッチでもネットを揺らした大分トリニータのFWキム・ヒョンウは万全の状態で新シーズンを迎えようとしている。昨季途中に期限付き移籍していたいわきFCから復帰した今季、その体はひと回り大きくなり、当たり負けしない強さを備えた。前線で体を張り、ボールを収め、味方を押し上げる。ポストプレーで時間をつくり、自らも迷いなくゴール前へ入り込む姿は、攻撃を成立させる土台となっている。

 積雪により開幕戦は中止となったが、動じる様子はない。「初めての経験だったがプラスに捉えるしかない。もう1週間、いい準備ができた」と前を向く。青森山田高出身のストライカーにとって雪は特別な障害ではない。「あれくらいの雪は何ともなかった」と笑う余裕も見せたが、その胸中にあるのはただ一つ、仕切り直しの一戦で結果を出すことだ。

好調を維持するキム・ヒョンウ

 4試合連続得点という事実は、偶然ではない。「結果が出ているのは準備してきた証拠。僕の仕事はゴールを決めること」と言い切る。ゴール前でのワンタッチシュート、こぼれ球への鋭い反応。本人が「嗅覚」と表現する得点感覚は、今や確かな武器となった。どんな形でもネットを揺らす覚悟がある。「格好よくなくてもいい。泥臭くてもいい。ゴールはゴール」。その言葉に、ストライカーの本質が凝縮されている。

 いわきに移籍した約半年は、決して順風満帆ではなかった。「悔しい思いもした」と振り返るが、その経験がフィジカルだけでなく、勝負への執着心を研ぎ澄ませた。再び大分のエンブレムを胸に戦える喜びを「ただいま」と表現し、「ゴールで恩返ししたい」と続ける。目標は明確だ。「チームの勝利につながる2桁得点」。継続してピッチに立ち、量産体制に入れるかどうかが今季のカギとなる。

 そして何より揺るがない信念がある。「ストライカーは結果が全て。得点こそが自分の価値を証明できる」。その言葉に迷いはない。ボールキープも守備も走力も備えた万能型FWを理想に掲げながらも、最優先はあくまでゴールだ。試合の流れがどれほど拮抗(きっこう)しようとも、決めるべき場面で決め切る。その一点に存在意義を見いだしている。

「チーム初ゴールは僕が決める」と宣言

 開幕を迎えるホームのピッチで、「僕のゴールで勝ちたい」と力強く語った。その視線はすでにゴールネットを射抜いている。歓声に包まれる瞬間を思い描きながら、覚悟を胸にストライカーは静かに闘志を燃やす。90分のどこかで訪れる一瞬。その刹那を仕留めるために走り、ぶつかり、待ち続ける。

 共通ワードは「湧き上がるサッカー」。後方からのパスが前線へ届き、競り合い、こぼれ、再び押し込む。その最前線で火をつける役割を担うのがキムである。泥臭くてもいい。押し込む一歩、触れる一足が流れを変える。仕切り直しの一戦、スタジアムに響く歓声とともにネットが揺れる瞬間は近い。ゴールに飢えたストライカーの一撃が、今季の大分の攻撃を一気に加速させる。

(柚野真也)