懐中時計のケースバックカバーの中に収められたユニバーサルカレンダーは、人類が星空との間に生み出した絆に着想を得ています。単一のシステムに基づく伝統的なパーペチュアルカレンダーと異なり、このメカニズムは世界各地で生まれた複数の多様な解釈を取り入れています。そのダイヤルには複雑な天文学的データだけでなく、時計と天文学、伝統が融合した「時の流れを体験する別の世界」を開きます。
ユニバーサルカレンダーはグレゴリオ暦を基準とし、8つのコンプリケーションを搭載しています。太陽暦、月暦、太陰太陽暦を一つのダイヤル上に360度のパノラマで展開し、18の表示を行います。表示内容は、年、閏年、月、日、週、月齢、夏至と冬至、春分と秋分という季節、世界の伝統から選んだ9つの祝日です。祝日は、太陽暦からクリスマス(ローマ太陽神インウィクトゥス)、インティ・ライミ(インカの太陽の祭典)が、月暦からはラマダン開始日、太陰太陽暦からはディーワーリ(ヒンドゥー教の光の祭典)、ローシュ・ハッシャーナー(ユダヤ暦の新年祭)、ペサハ(過越祭)、ウェーサーカ祭(仏教、釈迦誕生日)、イースター(復活祭)、春節(中国)が表示されています。それぞれの祝日は天文学的現象の帰結として示され、宇宙と人類の伝統との深い絆を象徴しています。
このメカニズムの操作は触感的かつ瞬時に行えます。ケースバックの双方向回転歯車をひとひねりするだけで、最大2世紀分の暦が瞬時に更新されます。対象期間は1900年から2099年までの間、一回転の作動は1つのメトン周期に相当し、全ての表示が瞬時に切り替わります。このメカニズムはキャリバー1150とは独立して機能し、タイムピースのパワーリザーブとは関係なく2099年まで同期し続けます。
メティエダールの伝統を守る
このタイムピースは天文学者、時計師、美術工芸職人たちへのオマージュです。その独創的なアイデアにより複数の文明において時の測定が生まれました。“150周年ヘリテージ”懐中時計は、数世紀にわたってオートオルロジュリーを形づくってきた私たちの先祖の知識とノウハウに光をあてます。
オーデマ ピゲはこのタイムピースの装飾を熟練の工芸職人たちに委ねました。深い象徴的価値のある希少なメタル、プラチナ製ケースはハンドエングレービングで包まれています。卓越したクリエーションにのみ施されるこの希少な伝統技術は、一世紀半にわたる創造性、ノウハウ、ヘリテージへの最高のオマージュです。全てのクロノグラフのプッシャーとリューズはケース側面のわずかな表面に集約され、残りのスペースは全て、記念のモチーフを描くキャンバスとなりました。ブランドの歴史、創立者たちの肖像、150周年アニバーサリーロゴのエングレービングで飾られています。
18Kホワイトゴールド製のメインダイヤルにはさまざまなメティエダール(工芸美術)が展開されています。ブルーの透明なグラン・フー・エナメルは透明感のある深さを出すため幾度も炉に入れて完成させたものです。ダイヤル周囲の18Kホワイトゴールドのローマ数字はハンドエングレービングで、幾世代もの時計師たちを魅惑した天体のリズムを感じさせる星空のモチーフで飾られています。手作業によるこの装飾は時計下部のユニバーサルカレンダーにも施され、全体をアストロノミカルなテーマでまとめています。同様にハンドエングレービングによる18Kピンクゴールドの針はコントラストにより視認性が高く、クロノグラフ針、フライング トゥールビヨンのキャリッジのカラーと呼応します。
タイムピースを完成させるのは、調和のとれたエレガントなデザインと機能を備える手作りのプラチナ製チェーンです。チェーン製作の伝統技術へのトリビュートとなっています。ここに見られるエングレービング、エナメル、チェーンという工芸技術の組み合わせは、オーデマ ピゲがいかに伝統技術を重んじながら豊かなクリエーションを生み出しているか、オートオルロジュリーの発展に貢献しているかを示しています。プラチナ製の2本のユニークなタイムピースに加え、18Kホワイトゴールドの8本のバリエーションも登場する予定です。それぞれ同様のクラフツマンシップと美しいディテールを実現します。
150年の経験に根ざして
オーデマ ピゲは一世紀半にわたり、常に進歩を模索する姿勢により卓越性を追求する伝統を築いてきました。1875年の創立者の初期のスクールウォッチ以来、カレンダーウォッチはマニュファクチュールの技術的探求において中心的な役割を果たしてきました。この努力から二つの記念碑的なクリエーションが誕生しました。一つは「ユニヴェルセル」。1899年にユニオン グラスヒュッテ向けに製作され、オーデマ ピゲのこれまでで最も複雑なクロノグラフとされるタイムピースです。もう一つは1921年に英国の時計師スミス&サンズに納入された「グロス ピエス」。18のコンプリケーションと、ブランド史上最もわかりやすいカレンダー機能を搭載したピースです。
このパイオニア精神は数十年にわたって受け継がれてきました。1955年、マニュファクチュールは初の閏年表示付のパーペチュアルカレンダーウォッチ(モデル 5516、キャリバー13VZSSQP)を、続いて1978年には当時最も薄い超薄自動巻きパーペチュアルカレンダー(モデル 5548、キャリバー2120/2800)を発表しました。2015年にはロイヤル オークの41mmケースに合わせたパーペチュアルカレンダー搭載のキャリバー5134を開発、そのエルゴノミックなデザインは画期的なものでした。
2018年のキャリバー5133(RD#2)では超薄構造を再設計し、パーペチュアルカレンダーの全機能を一層にまとめました。その5年後、キャリバー1000(RD#4)では複数のコンプリケーションを一つの人間工学に基づいたデザインのムーブメントとして集約しました。2025年には、キャリバー7138と7136で、オーデマ ピゲはコンプリケーションのあり方に大きな転換をもたらしました。直感的な使い方ができる快適なユーザー体験を求め人間工学をテーマとする新たなアプローチを始めました。
この延長線上にある超複雑手巻きキャリバー1150は、マニュファクチュールのレガシーをメカニズムのさらに先にある技術と洗練されたデザインの完璧な融合というレベルに進めました。
