中国家庭料理をシンプルでモダンに、そして誰もが作りやすいレシピで教えてくれる料理家のウー・ウェンさん。「小麦粉料理の技術と楽しさをぜひ皆さんにお伝えしたい」と、初めての動画コンテンツ「ウー・ウェン小麦粉学校」を作りました。これまで100冊近い中国家庭料理のレシピ本を発表し、主宰するクッキングサロンはなかなか空席が出ず、常に満席の人気ぶり。「これは一生モノです」と先生自身も語る技術を、お手元でご覧になってください。第2回の記事では、餃子について伺いました。
【第1回を読む】【ウー・ウェン小麦粉学校】シンプルなのに奥深い。北京発の小麦粉料理を動画で徹底マスターするオンライン講座

タンパク質、炭水化物、野菜が一つになった餃子は完全食!
「餃子は完全食!」とは、ウー・ウェン先生の口癖です。
「餃子の歴史は長く、いつの時代も人気です。その理由は、やっぱり栄養バランスが整っているから」と、ウー・ウェンさん。
「長い中国料理の歴史のなかで、献立も豊かになりいろいろやれることは増えてきたと思いますが、今でも食べ続けられ圧倒的に餃子の人気が高いのは、先人たちの知恵が詰まっているからだと私は思います。タンパク質と野菜と炭水化物。これらが一つになった餃子は、まさに先人の知恵の集積です」
特にウー・ウェンさんの出身地である北京をはじめ、中国北部では年中食べられているソウルフードのような存在だそう。
中国で餃子といえば水餃子! 焼き餃子はおつまみです
餃子と聞くと日本では「焼き餃子」をイメージする人が多く、中国料理店に限らず、居酒屋でも焼き餃子とビールは愛され続ける鉄板メニュー。けれど、「それは主食ではなくおつまみ」とウー・ウェンさん。
「中国では焼き餃子のことを鍋貼(ゴーティエ)といって、屋台で食べられるおつまみのようなものです。だから中国では、餃子といえば水餃子なのです」
日本人が毎日お米とおかずを食べるように、中国の家庭でも日常的に餃子が食卓に並びます。
「日々の食卓でおかずが変わるように、具材を変えれば毎日だって水餃子を食べられる。つまり、水餃子は家庭料理なんですね。焼く、茹でるという調理法以上に、焼き餃子と水餃子とではスタンスが全く異なります。だから春節(中国で祝われる旧正月)で食べるのも、水餃子なんです。熱湯で茹でて加熱するというのは一番シンプルな調理法だと思いますし、そして簡単という意味では人間にも優しい。ナチュラルな調理法だと思います」

水餃子は家庭料理。誰もが家庭で作るもの
さて、そんな家庭料理である水餃子とあれば、ぜひ手作りの皮から挑戦したいものです。餃子の美味しさの秘訣は、やはり皮!『ウー・ウェン小麦粉学校』の「水餃子」の回では、皮を手作りする方法に焦点を当てながら本格的な調理法まで丁寧に紹介します。
小麦粉は勝手に動きませんよ。キッチンを汚すのは人ですから!
小麦粉から皮作りなんて大変そう。手もキッチンも汚れるのでは…。なんて視聴者の声が聞こえてきそうですが、「汚すのは、小麦粉じゃなくて人ですから!」というウー・ウェンさんのウィットに富んだコメントが突き刺さります。
「生地に水分をしっかり吸い込ませるためにまずは菜箸で大きく混ぜる」「ここでいくら混ぜても意味がないから、すぐに水分を入れる」「菜箸で混ぜてから手で混ぜる」「ある程度まとまったら、あとは時間に任せる方が合理的です」というウー・ウェンさんのアドバイスに従い、動画を見ながら手を動かしていけば、みるみるうちに生地がまとまっていきます。そして思いの外、ボウルも作業台も汚れていないことに驚くはずです。
「がんばって捏ねるというより、乾いている粉にいかに水分をいき渡らせていくか、という時間を大事にしていくと生地づくりはとっても楽になります」とウー・ウェンさん。
ただ闇雲に捏ねるのではなく、小麦粉と水が結合することで生成されるグルテンをいかにコントロールするか。捏ねる時に意識するポイントなどをわかりやすく解説してくれるので小麦粉料理がますます楽しくなります。そして、菜箸を使う利点、ラップではなく濡れ布巾を被せる理由を、ぜひ作りながら実感してみてください。

しっかり丁寧に。でも、効率よく時間を無駄にしない
忙しく働く現代人にとって、時間を無駄にしない調理の段取りも欠かせないポイントですが、ウー・ウェンさんの小麦粉料理はその点もばっちりです。生地を柔らかくするために寝かせている間に、包む具材の準備に取り掛かります。
多民族国家である中国では、野菜はもちろん肉、魚介などの動物性タンパク質から豆腐や湯葉といった植物性タンパク質まであらゆる食材を餡にして包みます。動画では、旨味と塩味を兼ね備えた中国の発酵食品を調味料として活用するなど栄養バランスと美味しさを追求したウー・ウェンさんならではのレシピをご紹介。肉の下味から香味野菜の活用、そして混ぜ合わせる順番まで、美味しさを最大限に引き出すプロの技が満載です。
餃子の具材にルールはありません。季節に応じた旬の食材を取り入れながら、365日、まさに毎日でも飽きずに食べられるのも水餃子の魅力。
「ご飯とおかずを作るような感覚で様々なバリエーションがあると思ってください」と、日本人の食卓に欠かせないお米を引き合いに出しながらの解説もとてもわかりやすいので、具材をアレンジする際の参考にもなります。

動画だからこそわかりやすい!圧巻の技術
具材の準備ができたら、いよいよ成形です。生地の分割方法、簡単にできる皮の伸ばし方、そして点心師顔負けの憧れの「ひだ」を美しく作るための包み方のコツまで、一つ一つ丁寧に実演。間近で見られるウー・ウェンさんの指遣いは圧巻です。
レシピ本だけでは伝わりきらない捏ねる際の手つきやスピード感、生地の質感なども臨場感たっぷりに学べるのは動画教室ならでは。まさに大人気のウー・ウェンクッキングサロンの生徒になったような気分で水餃子作りを習得することができます。
手作りの皮はよく伸び、形を自由自在に変化させることができます。巾着のように無駄なく、皮が具材に寄り添ってくれます。ちょっとくらい具材がはみ出しても、破れてしまっても、ちょいと指で摘めば、具材も失敗も優しく包み込んでくれます。
続いて、茹で加減。「中身が違うので、時間で計ることはできません」と、具材に応じた茹で上がりの見極めポイントも必見です。最後に、水餃子を一層美味しくする自家製ラー油の作り方や栄養バランスを考えた副菜までお伝えします。
この動画を見れば、小麦粉料理がより楽しく、身近に感じられるはずです。中国の食文化の奥深さと、ウー・ウェンさんの優しい家庭料理の真髄に触れながら、食卓を豊かに彩る一歩を踏み出してみませんか。

【第3回を読む】【ウー・ウェン小麦粉学校】コンビニよりおいしい肉まんは自宅で作れる。肉まん作りで小麦粉料理の奥深さを体験する60分
ウー・ウェン小麦粉学校の詳細はこちら:https://mosh.jp/wuwen_cooking/profile
公式Instagram:https://www.instagram.com/wuwen.academy/
ウー・ウェン/中国・北京生まれ。ウー・ウェン クッキングサロン主宰。1990 年に来日。料理上手な母から受け継いだ料理が評判となり、料理家に。医食同源が根づいた中国の家庭料理とともに中国の暮らしや文化を伝えている。主な著書に『ウー・ウェンの100年スープ』 (主婦の友社)、『ウー・ウェンの毎日黒酢』(講談社)、『10品を繰り返し作りましょう わたしの大事な料理の話』(大和書房)など。https://cookingsalon.jp/
プロデュース・構成/かぐら食文化研究所
文/西野入智紗
