台湾オフィスでは、Pixelをはじめとしたハードウェア製品の多くが研究・開発されている。撮影:西田宗千佳
グーグルは台湾にハードウェアの研究開発拠点を持っている。アメリカ国外のものとしては最大規模のものだ。
この開発拠点に世界各地のプレス関係者を集め、Androidと同社製スマートフォン「Pixel」シリーズの状況について、責任者が直接記者の質問に答えた。
その内容は、Pixel 10に実装された「AirDrop互換機能」開発の裏側から、今後のAI搭載の方向性まで多岐にわたった。

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台湾のメリットは「すべてが近くにある」こと
グーグル・ハードウェアエンジニアリング担当のエルマー・ペン氏は、台湾がアメリカに次ぐ規模のハード開発拠点と説明。撮影:西田宗千佳
グーグルは台湾に複数の拠点を持つ。中でもハードウェアの開発拠点は大規模なものだ。開発が行われているのは、自社ブランドのスマートフォン「Pixel」シリーズが中心になる。
とりわけ価格重視の「a」シリーズは、台湾が主体となった製品であるという。
台湾オフィスは設立から20年を迎え、さらに規模を拡大中だ。
グーグルでハードウェアエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるエルマー・ペン(Elmer Peng)氏は、「台湾のチームは10年間で20倍以上の規模に成長、現在は40カ国以上から人材が集まるグローバルな組織になっている」と話す。
自動車で移動可能な圏内に多くの関連産業が集中しており、効率的な開発が進むことが台湾の利点だという。撮影:西田宗千佳
台湾に拠点が設けられている理由は「距離にある」(ペン氏)。TSMCなどの半導体メーカーに製造企業、サーバー関連企業が自動車で数時間以内の距離に集まっており、必要なコミュニケーションが素早く進む。彼らはこの状況を「クラスターエコノミー」と呼んでいる。
特にAIでは、半導体・サーバー・デバイスと、関連企業の7割から9割が台湾に集まっている状況にある。スマホからサーバー、AIモデルまで全てを開発し、トータルで争うグーグルにとっては重要な拠点だ。
台湾生まれのPixel 10「AirDrop互換」他デバイスへも拡大
Androidプラットフォームのエンジニアリング担当バイスプレジデントのエリック・カイ氏(左)と、Pixelエコシステム・プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのヴェンカット・ラパカ氏(右)。撮影:西田宗千佳
記者からの質問には、Androidプラットフォームのエンジニアリング担当バイスプレジデントのエリック・カイ(Erik Kay)氏と、Pixelエコシステムのプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのヴェンカット・ラパカ(Venkat Rapaka)氏が答えた。
2026年に強化される方向性として言及されたのが「OS間の相互運用性」だ。ここでいう「OS間」とは、異なるAndroid同士のことではなく、iOSをはじめとしたアップルのOS群とAndroidとの間での相互運用を指す。
その具体例が、2025年11月からPixel 10シリーズに実装された「AirDropとQuick Shareの相互運用」だ。アップル製品同士でしか使えなかったAirDropが、Pixel 10シリーズとiPhoneの間でも利用可能になっている。
Pixel 10シリーズではAirDrop互換機能が搭載され、iPhoneなどアップル製品との間で、AirDropによるファイル転送が可能に。画像:筆者によるスクリーンショット
カイ氏はこの機能について、「台湾の本当に優秀なエンジニアたちが、互換性のある独自の実装を構築したもの」と説明した。実装の背景が関係者の口から明確に語られたのは、おそらくこれが初めてのことだ。
単に転送を実現しただけではない。安全性も担保し、さらに、iOSだけでなくiPadOSやmacOSとの間での転送も、アップル製品と同じように「正規のAirDrop対応先」と認識する仕組みを整えた。このためには「多大な労力を必要とした」(カイ氏)という。
Pixel 10からスタートしたのは、「ハードウェアからソフトまで、フルスタックの投資をしている」(ラパカ氏)からだ。
AirDropでは、Wi-FiとBluetoothを組み合わせた特殊な制御が行われている。それを再現するには、ハードウェアの直接制御が行えるデバイスであることが望まし、まずはPixelで実装と検証するのが近道だった。
