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ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家
アメリカと同じ道を歩み始めた日本の選挙
アメリカ各種メディアが、2月8日に投開票される日本の衆院議員選挙の行く末を熱心に報じている。
アメリカのメディアがここまで日本の選挙を追いかけることは、これまでほとんどなかった。今回の衆院選報道は、30年以上アメリカに住む筆者にとっても、異様と思えるほどの熱量だ。

写真提供=共同通信社
街頭演説で手を振る自民党総裁の高市首相=2026年1月31日午後、横浜市
海外メディアが注視しているのは、日本政治や経済の不安定化だけではない。
選挙が「政策を選ぶ場」から、「感情を動員し、消費する場」へと変わり始めてはいないか――その兆候に警鐘を鳴らしているのだ。
本稿は、特定の候補者や政党を評価するためのものではない。
ここで伝えたいのは、選挙の“中身”ではなく、選挙の“形”が変質していくことに、アメリカのメディアが強い危機感を抱いている、という事実である。
なぜなら、それはアメリカがすでに通った、「もう戻れない道」でもあるからだ。
政策評価よりも感情が先に立つ政治
「ハンドバッグは完売し、ピンク色のペンはバイラル化(急速に拡散)した。お気に入りのスナック菓子までが品薄になっている」
ロイター通信は2月4日付の記事で、こう書き出している。日本の高市早苗首相が、若者主導の熱狂に乗って選挙戦を進めている様子を描いたものだ。
記事は、高市氏がSNSの活用にも長けていることを続けて紹介している。Xでは約260万人のフォロワーを持ち、これは最大野党党首の野田佳彦(約6万4000人)を大きく上回る。
さらに、Netflixの『K-Popガールズ! デーモンハンターズ』のヒット曲「Golden」に合わせ、韓国の李在明大統領とドラムを叩く映像が拡散され、大きな反響を呼んだことも伝えている。

高市早苗総理、李在明大統領と日韓首脳会談でドラム演奏(2026年1月13日、奈良)(写真=内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons)
64歳のリーダーが生み出したこのブームは、想定外の広がりを見せている。前回の選挙で自民党が両院の支配を失い、前任者が辞任に追い込まれた直後であることを考えれば、ロイターが「驚くべき巻き返し」と表現するのも無理はない。
さらに海外メディアを驚かせているのは、12月中旬に行われた産経新聞・FNNの世論調査で、18〜29歳の内閣支持率が92%に達したことだ。
若者が政治から距離を置きがちな日本において、これは極めて異例の数字だと、海外メディアは受け止めている。
ここでロイターが注目したのは、支持の「理由」よりも、その「かたち」だった。バッグやペン、SNSの振る舞いまで含めて共有されるこの熱狂は、政策への評価というより、感情が先に立つ政治参加の入り口を、はっきりと可視化している。
