マッチレビュー

明治安田J1百年構想リーグの開幕は鹿島アントラーズとの一戦。キックオフ前から雪が舞うホーム味の素スタジアムに2025シーズンリーグ優勝チームを迎えた。

目標に優勝を掲げる東京のスターティングメンバーは、最後尾にキム スンギュ選手、最終ラインは右から室屋成選手、アレクサンダー ショルツ選手、稲村隼翔選手、長友佑都選手が並ぶ。ボランチは高宇洋選手とプロ2シーズン目の常盤亨太選手のコンビ。右サイドミッドフィルダーに佐藤恵允選手、左に遠藤渓太選手を配置し、最前線はマルセロ ヒアン選手と長倉幹樹選手が2トップを組んだ。

1stHALF—遠藤のフリーキック弾も直後に追い付かれる

風と雪が強く吹きつけるなか、キックオフから互いに決定機を作れないまま、刻々と時間が進んでいった。そのなかで先に決定機を作ったのは東京だった。前半40分に常盤選手が左サイドに展開し、遠藤選手の外側をオーバーラップした長友選手がクロスボールを上げる。それをマルセロ ヒアン選手が落とし、中央に侵入した遠藤選手が左足を振る。だが、このシュートは枠を捉え切れない。

その1分後だった。マルセロ ヒアン選手が敵陣でボールを奪うと、鹿島アントラーズの三竿選手がたまらずファウルで行く手を阻む。これが決定機会の阻止と判定され、退場処分となって東京が数的優位に立った。

そして、2026シーズンのファーストゴールが生まれる。ゴール正面気味で得たフリーキックのチャンス。稲村選手のフェイントのあと、遠藤選手が冷静に低く曲がるボールでゴールの右下隅へと流し込み、東京が先制に成功する。

しかし、その直後だった。鹿島に左サイドからのコーナーキックを与えると、ゴール前で混戦を作られ、キム テヒョン選手に押し込まれて同点に追いつかれる。前半終了間際に幸先よく先制したかに思えたが、直後の失点で1-1となり勝負の後半へと折り返した。

2ndHALF—数的優位もゴールを割り切れずPK戦で開幕勝利

後半は、東京が数的優位を生かして主導権を握って鹿島ゴールへと攻め込み続ける。だが、鹿島も前がかりになる東京のスキを突いてカウンター攻撃で応戦してくる。

試合が膠着していくなかで、後半19分に互いのベンチが動く。鹿島はエウベルを下げて林選手を投入。東京は遠藤選手と、ヒアン選手に代えて、山田楓喜選手と佐藤龍之介選手をピッチに送り出した。

後半25分には、相手がゴールキックからつなぐ場面でミスを見逃さずにボールを奪うと、ゴールキーパーが飛び出した後のゴールを長倉選手が狙ったが、ゴールカバーに入った植田選手にゴール目前でクリアされてしまう。

後半32分、再び両ベンチが動く。鹿島は荒木選手と小川選手に代えて、樋口選手と小池選手を投入する。東京は常盤選手と長友選手に代えて橋本拳人選手と橋本健人選手をピッチに送り出す。

その後は交代で入った佐藤龍選手、橋本健選手らが積極的に足を振ってゴールを狙うも勝ち越しのゴールは奪えず。互いに決め手を欠いたまま、アディショナルタイムの5分が終了。勝利チームを決定するために、勝負はペナルティキック戦に突入した。

互いに三人目が成功して迎えた鹿島の四人目の小池選手のキックをキム スンギュ選手が右に飛んでセービング。一方の東京は五人全員が成功して特別大会の開幕戦で2025シーズンのリーグ優勝チームを下して勝利でスタートを切った。

「特別大会はペナルティキック戦があるので、そこでチームを助けて勝利に貢献したい」と口にしていた青赤の守護神が、有言実行でヒーローとなった。

松橋力蔵監督インタビュー

Q、まずは試合の総評をお願いします。
A、今大会のレギュレーションを考えれば、最後はしっかりと勝点2を積み上げられたことは良かったと思っています。ただ、本来は勝点3で終えるべき試合でした。少し甘さというか、まだまだ勝負どころを決め切るという部分では、鹿島アントラーズから学ばなくてはいけないところもたくさんあったと思います。

Q、前半の終盤に相手選手が退場しました。後半は一人多い状態でしたが、どのように勝負を掛けようとしていましたか。
A、相手の陣形というところも少しは意識をしていました。まずは自分たちが外からしっかりと数的優位を作り、2列目からのランニングで相手の組織のスライドの隙を狙い、崩すことや、クロスからのこぼれ球を拾い、セカンドアタック、サードアタックにつなげるというところ。リスク管理も含めてですが、相手が何をしてくるのかは十分に分かっていたのでバランスをしっかり取りながら、試合を進めることを考えていました。

流れのなかで足りていないことを交代選手に伝えながらメッセージをチームに伝えて、最後に仕留めることを意識して、交代カードをどんどん切っていきました。残念ながら相手のゴールをこじ開けることができなかったことは大きな課題だと思っています。

Q、今日は常盤亨太選手をスターティングメンバーに選びましたが、その意図と彼の評価を教えてください。
A、起用については、沖縄・糸満キャンプもそうですし、今シーズンに入ってから非常に好調を維持しています。それが起用した大きな理由です。今日の評価をするとしても非常に良かったです。これまでのリハーサルのなかではさらに良い部分、攻撃的な部分なども出ていました。ですが、相手の人数が減ったなかで自分が割って入るようなスペースがなくなってきたりしていました。こういった戦いを実戦のなかでは多く経験していないというところでは、本人なりにきっと考えるところはあったと思います。それでも、彼にとってはデビュー戦ではありませんが、新しいシーズンの初戦としては非常に良いパフォーマンスを出してくれたと思っています。

選手インタビュー
遠藤渓太選手

Q、開幕戦ということで、どのような気持ちで臨みましたか。
A、キャンプであったり、練習で積み上げてきたものを表現する場としては、開幕戦が鹿島アントラーズという相手だったのは良かったと思います。では、自分たちがそこでやってきたことを十分に出せたかというと、やはり少しびびっている部分やそういうシーンもあったと思います。試合に入れていないというか、ボールが足に付いていないシーンもあったと思うので、開幕戦という緊張感もあったとは思いますが、それは改善すべき点だと思います。

Q、相手が昨シーズンリーグ戦優勝の鹿島アントラーズということで、自分たちが意識していたことや監督からの指示がありましたか。
A、自分たちが優勝をめざしていくためには、昨シーズンに鹿島が優勝していて、それを越えなければいけないという意味では良い相手だということは常々言っていました。自分たちのミーティングでも鹿島が優勝しているシーンを映像で見せられて、次は自分たちがこの立場にいるんだと言われてきました。今日は、やはり勝点3をとらなければならない試合だったとは思います。しかし、鹿島に追い付かれてペナルティキック戦でやられてしまうような鹿島の勝負強さというか鹿島の流れに負けずに、最後に勝ち切ったというのはポジティブな要素だと思っています。

Q、ご自身のゴールシーンを振り返ってください。
A、人生で初めてフリーキックを決めました(笑)。相手のゴールキーパーが昨シーズンのJリーグMVPの早川友基選手で、やはり非常に良い選手ですので、普通のシュートでは入らないだろうなと思っていました。むしろ、より研ぎ澄まされた感覚で蹴ることができて、狙いどおりの良いコースにいってくれました。

Q、次節も一週間後、ホーム味の素スタジアムでの浦和レッズ戦です。
A、やはり勝点3を獲ることに意味があると思うので、勝利をめざしてやりたいと思いますし、浦和レッズとは個人的に相性が良いと思っています。今日も終盤の展開を見ていて、ゴール前までは運べるけれど、なかなかシュートで終われないようなシーンもあったので、もっともっと足を振ることも大事だと思っています。

Q、雪の中でしたが、多くのファン・サポーターのみなさんが駆け付けてくれました。
A、ペナルティキック戦の時には相手チームはプレッシャーになったと思いますし、迫力も感じたので、本当に感謝の気持ちがあります。次は勝点3を届けられるようにやっていきたいと思います。

キム スンギュ選手

Q、 ペナルティキックをストップした場面を振り返ってください。
A、(鹿島アントラーズに)昨シーズン在籍していた選手たちを分析して準備はしていましたが、その選手がなかなかキッカーにいませんでした。とはいえ、四人目の選手まで止められるチャンスはあったので、そこは残念です。自分のなかでは、完璧というよりもう少しできたかなと思います。 

Q、右に飛ぶことは決めていたのですか。
A、キッカーが蹴る前のモーションで、右かなと思ったので、そこを見て判断して飛びました。 

Q、試合全体を通して振り返ると、90分で勝ち切りたかったですね。
A、試合を通して良い部分も悪い部分もありましたが、相手が退場者を出した時に試合を決め切れれば良かったです。ただ、今日はシーズンの初戦ということもあったので、しっかりと勝ったということは大きな成果になったかと思います。 

Q、得点直後の失点については課題として残ったと感じますか。
A、得点をとった後ということで非常に残念なところありましたし、ただ、ゲームが一旦切れたら自分がコントロールしようかなと思っていました。しかし、試合が切れる前にすぐにリスタートしてしまって失点をしてしまいました。この経験を糧に次の試合では同じことを繰り返さないようにやっていきたいと思います。 

Q、開幕戦で昨シーズンリーグ優勝している鹿島を相手に勝点2ではありますが、勝利できたことをどう繋げていきたいですか。
A、こういった試合のように、シーズンを通して勝ち切れない試合もあるかもしれませんが、今日に関しては、鹿島に対してしっかりと勝点2をとれたことはポジティブに考えて、次の試合にしっかりと臨んでいきたいと思います。 

Q、試合開始の時にはひどい雪でしたが、これだけの雪の中でプレーした経験はありますか。
A、柏レイソルに所属していた時に、サンフレッチェ広島と対戦した時に、これよりももう少しひどい雪の中での試合を経験したことがありました。その時は芝も真っ白になってしまうくらい積もっていました。 

Q、視界が遮られることによってボールが見えにくいことはありましたか。
A、おっしゃる通りで、前を見るのが少し難しかったのと、風も自分たちの方に吹いていたので、それもあって少し見にくい部分もありました。 

稲村隼翔選手

Q、憧れていた青赤での味の素スタジアムのピッチに立ちました。
A、聞き馴染みのあるチャントばかりだったので、初めてという感覚よりは懐かしいなと感じました。

Q、ペナルティキック戦ではありましたが、勝利で終えることができました。
A、もちろん90分で勝ち切りたかったですし、相手は10人だったのでなおさらそう思いますが、勝ち切ることがこのチームには必要なことだと思っていましたし、そういう意味では良いスタートを切れたと思います。

Q、開幕戦ということで手堅い試合だったと思いますが、ここからさらに内容を良くしていくためにはどういうところが大事ですか。
A、やり続けることが大事だと思いますし、自分も含めて各々まだまだここからコンディションが上がっていく選手ばかりだと思います。練習の質にこだわって、今日も決定機はたくさんあったと思うので、決め切る部分などはしっかり上げていきたいです。

Q、ビルドアップの特長も見せていましたが、こじ開けることができませんでした。
A、もっと相手の背後をとることが大事だと感じました。コンパクトに守られてしまうと難しくなってしまうので、うまくロングボールも使いながら相手を引き延ばして、相手の嫌なところを突いていくことが必要だと思います。

Q、今日の失点の場面は次の試合への課題でしょうか。
A、セットプレーはそれだけで試合が決まってしまうと思いますし、得点の直後だったのですごくもったいなかったと思います。そこはもっと練習から改善していかなければいけないと思います。

Q、全体的なご自身のパフォーマンスとしてはいかがでしたか。
A、全然良くなかったので悔しい気持ちしかないです。もっと安定感が必要だと思いますし、相手も含めて今日試合に出ていたセンターバックの選手たちはもっとレベルが高いと率直に感じていました。自分自身、攻守ともに全部をレベルアップする必要があります。パスの精度も以前に比べたらまだまだ低かったと思いますし、それ以上に守備のところはもっと課題だと感じています。『稲村がいれば守れる』と思ってもらえるようになりたいと思います。

 少しビビりながらやってしまった部分もありましたが、前半に長友佑都選手に一本良いパスを出せた場面もありましたし、潰しにいくところも思い切っていけていました。イエローカードは自分のミスでしたが、まだまだできると思います。

Q、久しぶりにJ1リーグのクラブと公式戦で対戦した感覚はいかがでしたか。
A、半年ぶりだったので、何度か地に足が付いていないような感覚になった時間もあったのですが、少しずつ慣れてきました。それも含めてコンディションはまだまだ上げられると思いますし、ここからが楽しみです。アレクサンダー ショルツ選手とは、試合後にも「自分たちはまだまだクオリティを上げられる」という話をしましたし、他の選手たちとも細かい修正の話はできているので、続けていくことが大切だと思います。自分もショルツ選手も前に運べる選手だと思いますので、状況に応じてもっといろいろな崩し方もできると思います。ここからの対戦はもちろん同じ相手ではないので、臨機応変にやることも大事だと思っています。

 Q、FC東京U-15深川で同期だった常盤亨太選手と開幕スタメンという立場で同じピッチに立つことができましたね。
A、シンプルに嬉しいです。キャンプでもそういう話を二人でしていたので、実現できることができました。でも深川時代から応援してくれていた方々の方が嬉しいと思いますし、その想いに二人で応えていきたいです。

Q、二人ともここからがまた勝負ですね。
A、今日は出場できましたが、経験のある選手がたくさんいます。自分たちはまだ経験のある選手ではないですし、これから一つひとつ色々なことを経験して成長して、このポジション争いに立ち向かっていきたいです。