2026年02月06日 16:00 / 経営
群馬経済研究所は2月6日、「第17回トラック輸送における取引環境・労働時間改善群馬県地方協議会」で「群馬県内トラック運送業界の2024年問題~県内トラック事業者アンケート結果~」を公開した。
トラック運送業界に対する「働き方改革」関連の労働規制強化等が、2024年4月1日から始まって丸1年以上が経過したことを機に、群馬県トラック協会の会員事業者へのアンケート調査を実施し、群馬県におけるトラック運送業界の「2024年問題」の現状や課題を探った。調査期間は、6月16日~7月28日で、群馬県トラック協会の会員事業者971社に対して、調査を郵送により配布・回収した。回答数は394社で、回答率は40.6%。
アンケート結果によれば、「2024年問題」に関して、群馬県内のトラック運送業界では「荷主との運賃交渉」「人件費増加」等をはじめとした課題が生じており、事業者も対策として「荷主との運賃交渉」等に取り組んでいる。 運送経費上昇分の転嫁について十分に行えなかったり、適正な運賃を収受できていないとする事業者が多く、「荷主との運賃交渉」の困難さも伺えた。
群馬経済研究所の伊勢和広研究部副部長は、「通常のアンケート調査の回収率は20%程度だが、今回は回収率が40.6%と高く2024年問題に対する関心の高さが伺えた。荷主との運賃交渉では、トラック事業者が弱い立場にあることが伺えた。また、年間労働時間・給与額を見ると、群馬県の主要産業の一つである輸送用機器器具の製造業とくらべ7割程度にとどまっており、大型免許をもたないと運転ができななどハードルが高い割に、給与水準が低い。現状では、ドライバー不足が加速する可能性が高い」と調査を解説した。
<2024年問題で生じた課題>
2024年問題で生じた課題について、複数回答で尋ねたところ、「荷主との運賃交渉」58.1%が最多となった。次いで、「人件費増加」45.2%、「勤務時間制限によるドライバー収入の減少」37.3%が続いた。
<長距離輸送事業者の課題>
運送距離別の事業者の課題を聞いたところ、長距離輸送を行う事業者の75.0%が、「長距離輸送の回数制限・距離縮小」「荷主との運賃交渉」に課題があると答えた。「荷主との待ち時間削減交渉」58.3%、「人件費増加」58.3%、「扱える仕事量の減少」50.0%となり、近距離定例ルート配送、近距離輸送、中距離輸送の事業者と比べて、課題が多い状況が分かった。
<取り組んだ対策(複数回答)>
具体的に取り組んだ対策について、複数回答を求めたところ、「荷主との運賃交渉」が76.6%で最多となった。次いで、「賃金見直し」49.4%、「荷主との荷待ち時間削減交渉」42.7%、「ドライバー採用」36.6%、「労働環境見直し」28.8%と続いた。
<適正価格取引の割合(1社あたり)>
また、1社あたりの適正価格取引の割合は、「0~40%未満」34.8%、「40~60%未満」18.2%、「60~80%未満」25.2%、「80~100%」21.8%となり、大半の事業者が適正価格ではない取引を抱える状況も明らかになった。
<適正運賃が収受できない理由(複数回答)>
適正運賃が収受できない理由を複数回答で求めたところ、「国が定めた『標準的運賃』に強制力がない」が60.9%を占め最多だった。「無理をして仕事を失えば意味がない」39.4%、「交渉しても荷主が応じない」33.9%が続き、運賃交渉に応じない荷主の存在が伺えた。
<人件費上昇分・燃料費上昇分の転嫁割合>
人件費上昇分、燃料費上昇分の転嫁割合を尋ねたところ、人件費上昇分では「0~40%未満」が72.2%、燃料費上昇分では「0~40%未満」が60.7%で最多となった。いずれも価格転嫁が進んでいない状況が伺えた。
<その他の運送費用上昇分と附帯業務費等上昇分の転嫁割合>
その他の運送費用上昇分と附帯業務費等上昇分の転嫁割合と聞いたところ、その他の運送費用上昇分の転嫁割合では、「0%超~40%未満」が59.2%で最多となった。一方で、附帯業務費等上昇分の転嫁割合は、「0%」が34.6%、「0%超~40%未満」が40.7%となり、7割を超える事業者が附帯業務費等上昇分を転嫁できていないことが分かった。
<ドライバーの過不足状況>
ドライバーの過不足状況を見ると、「特に過不足はない」が29.6%で最多だった。一方で、「5%以下の不足」18.3%、「5%超~10%以下の不足」19.1%、「10%超~20%以下の不足」17.3%、「20%超~30%以下の不足」6.0%、「30%超の不足」6.0%となり、不足の合計は66.7%に達した。
<ドライバーの過不足状況(輸送形態別)>
輸送形態別のドライバーの過不足状況を見ると、「不足」の割合は、中距離輸送79.4%、近距離輸送68.1%、長距離輸送66.6%、近距離定例ルート配送59.8%、全体66.7%となり、どの輸送形態でもドライバーが不足している。
<年間労働時間と給与の比較(群馬県内)>
群馬県内産業と運輸業・郵便業の年間労働時間と給与額を比較すると、年間労働時間は、産業平均2112時間に対して、運輸業・郵便業は2388時間で276時間年間労働時間が長い。年間給与額は、産業平均486万4000円に対して、運輸業・郵便業は474万8000円で、11万6000円低かった。1時間あたりの労働単価を見ると、産業平均は1時間あたり2300円だが、運輸業・郵便業は1990円となり、310円低かった。
<時間外勤務の増減(近距離定例ルート配送・近距離)>
時間外勤務の増減を尋ねたところ、近距離定例ルート配送は「ほぼ変わらない」50.0%、「減少した」45.5%、近距離輸送は「ほぼ変わらない」52.8%、「減少した」43.1%とほぼ同様の傾向を示した。
<時間外勤務の増減(中距離・長距離輸送)>
一方で、中距離輸送、長距離輸送の事業者を見ると、中距離輸送では「減少した」66.7%、「ほぼ変わらない」28.2%、長距離輸送では「減少した」83.3%、「ほぼ変わらない」16.7%となり、近距離輸送に比べて、時間外勤務が減少した事業者が多かった。
<2024年問題は今後どうなるか>
2024年問題の今後を尋ねたところ、「しばらく現状が続く」38.4%、「さらに悪化する」33.8%、「根本的には解決しない」24.0%、「今後解決に向かう」3.8%となった。今後解決に向かうと答えた事業者は少なく、問題解決に向けたさらなる取り組みが求められている。
<今後も事業を継続できるか>
今後も事業を継続できるか聞いたところ、「継続可能」19.3%、「何とか継続可能」46.1%で、65.4%の事業者は事業継続が可能と答えた。一方で、「事業を縮小する」21.1%、「M&A等で売却検討」6.4%、「廃業を検討」7.0%となり、合計34.5%が事業継続に難色を示している。
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