学校での授業中、地震が起きた。その直後にとる行動は何か──すぐに自分の机の下に潜る。その一択だろう。なぜなら、そう教わり、その行動を練習してきたから。

けれども、もし「未知の災害」に襲われたら、特に子どもたちは柔軟に対処することができるだろうか。少なからず混乱をきたすはずだ。

今やその未知の災害が身近に迫ってきている。気候変動による洪水や山火事だ。その被害をすでに受けているスペインでは、2024年10月の洪水で約220人が命を落とし、2025年8月の山火事は例年の約3倍もの土地を焼き尽くした(※)。このように世界各地で肌身に迫る災害を「未知」にせず、知識を持ち避難できるよう準備を整えることは、現在世代の責任ではないだろうか。

その災害を受けて、スペインの文部科学省は2025年9月、洪水や山火事、火山噴火、産業事故も含めた自然災害や人災への対応について、必修授業に組み込むことを発表した。これは同国ペドロ・サンチェス首相が主導する、気候緊急事態に備えるための10項目の計画の一角である。

これにより、3歳以上の子ども、計2万5,000校の80万人以上が災害対策授業を受講することになる見込み。幼児や小学校低学年の必修授業は最低2時間、高学年は最低4時間。警報音の学習や、高台への避難訓練など実践的な対策が盛り込まれるという。

2024年10月の洪水時の街の様子|Image via Shutterstock

洪水時には車が横転する様子も多く報じられた|Image via Shutterstock

日本では地震や津波の避難訓練をしているから問題ない──本当にそうだろうか。身の危険を感じさせる盛夏の暑さを思えば、激甚化する災害や新たな災害への適応は決して他人事ではない。

そして、それが当たり前になるかもしれない未来を生きるのは子どもたちの世代だ。命を守るためには、気候変動を緩和する策を施しながらも、気候危機の迫る世界で育つ子どもたちに何を伝え、社会として共にどんな準備を整えるのかが問われている。

日本政府の気候変動適応計画には、「気候変動適応の重要性の教育、防災教育が必要であるものの、現時点では、国民の気候変動適応に対する理解は必ずしも高いとは言えない」という旨が書かれている。災害大国に住まう私たちもまた、天災に「慣れる」ことなく気候危機の最前線に立つコミュニティや国々の動きから学び、正しい危機感のある教育へアップデートするべき時期にあるのではないだろうか。

※ ‘Unlike any other kind of fear’: wildfires leave their mark across Spain|The Guardian

【参照サイト】Spanish schools to teach pupils how to cope with climate crisis disasters|The Guardian
【参照サイト】‘Unlike any other kind of fear’: wildfires leave their mark across Spain|The Guardian
【参照サイト】Climate change kills, Spanish PM tells deniers at launch of plan to tackle crisis|The Guardian
【参照サイト】Pedro Sánchez sets Spain as a benchmark by making the culture of emergency and civil protection training compulsory in non-university education|La Moncloa
【参照サイト】Pedro Sánchez proposes a State Pact to tackle the Climate Emergency between all administrations and with the cross-cutting support of civil society|La Moncloa
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