高市早苗首相の母校としても知られる奈良県立畝傍(うねび)高校。例年、京大・神大をはじめとした難関国立大に合格者を出す名門校だが、昨季は県大会で春に王者・智弁学園を倒すジャイアントキリングを見せると、夏にはベスト8まで食い込む活躍を見せた。普通の公立校の躍進のウラにはどんな理由があったのだろうか。《NumberWebレポート全3回の3回目/最初から読む》
甲子園に出場したことのない畝傍高校は、「甲子園1勝」の目標を掲げている。達成できると信じ、日々邁進できる理由に、奈良県には智弁学園、天理と全国的な強豪として名を馳せる存在が君臨していることが大きい。
「超強豪校」相手に善戦する公立校の存在
近年は両校が覇権を二分するとあって難攻不落を固持するが、畝傍が勇気を持ち続けられるのは、自分たちと同じ文武両道にプライドを持つ進学校のレベルの高さである。2019年秋の3位決定戦で奈良高校が天理に1-2と肉薄。24年秋には郡山高校が智弁学園に9-13と敗れたものの、終盤までリードする善戦だった。
公立校と2強との戦績をたどれば、どちらかと言えば一方的な敗戦ばかり。それでも「打倒」を標榜できるのは、彼らがそれぞれ刺激を受け、勝利への希望を抱けるからだ。
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監督の雀部(ささべ)尚也が、同じ境遇で切磋琢磨するライバルを称えるように気を吐く。
「全国で上位に勝ち上れるチームが身近にいて『もしかしたら、あと一歩でひっくり返せる』という試合を、たくさんの公立校さんがやってくれてはるんで。『自分たちも不可能じゃない』という気持ちがうちもモチベーションになっていますし、智弁さん、天理さん、それに奈良大附属さんの牙城を崩していくっていうのが、楽しみっていうわけじゃないですけど、大きな目標にはなっています」
奈良で2強をはじめとする強豪と対等に渡り合う。しかし、そのために雀部は「特別なことはしていない」と言う。
畝傍が普段から心掛けていることは、「当たり前の基準を高める」ことだ。
日々のトレーニングの質にこだわることは言うまでもない。練習試合でも、県外の手練れたちと白球を交えることで「自分たちのやってきたことがどれだけ通用するのか?」「どのように食らいつけば勝負になるのか?」と、常に俯瞰してチームを見る。
