(CNN) オランダでかつてチューリップを守るために使われていたネットが、ロシアのドローン(無人機)からウクライナの兵士や民間人を守るという新たな役割を担っている。
廃棄された漁網などあらゆる種類の網も同様にドローンの命中を防ぐのに役立つ。欧州各地の農業・漁業従事者がこれらを集め、数千キロ離れた場所の命を救おうとしている。
数百キロに及ぶ道が今やネットで覆われている/The Union of Entrepreneurs of the Television and Film Industry
ロシアのドローンは、ウクライナ軍の補給路や後方基地を標的にし、前線の部隊を孤立させかねない脅威となっている。病院や民間の鉄道も攻撃にさらされている。
ドローン攻撃を頻繁に受けている地域の一つが南部の都市ヘルソンと、ウクライナを外部とつなぐ「命の道」と呼ばれるルートだ。
「平均すると、ロシアは毎週およそ2500機の無人航空機(UAV)を我々の地域に向け発射している。その結果、今年に入ってヘルソン州では120人が死亡した」と、ヘルソン軍政当局幹部オレクサンドル・トロコニコウ氏は昨年11月にCNNに語った。
この1年で張りめぐらされたネットの数は増えている。市内では、病院の中庭や発電機、商店街が保護されるようになった。ひらけた道路では、支柱を立ててネットの天蓋(てんがい)が設けられている。

市場の通りもネットで防護されている=2025年11月11日、ヘルソン/Ukrinform/Shutterstock
「今は道路の保護を強化する作業が進められており、すでに数十キロにわたるルートがネットで守られている」とトロコニコウ氏は述べ、多種多様なネットの耐久性を試してきたと説明した。
複数の対策の組み合わせと大胆な決断によって、今ではドローンの80〜95%を破壊できているという。
網は、欧州各地の多くの慈善団体からトラックでウクライナに運ばれている。最大規模の団体は、オランダでクラース・ポット氏が運営する「ライフ・ガーディアンズ」で、これまでに8000トンを超える網を届けた。これはウクライナが受け取った総量のおよそ半分に当たる。
縦編みのポリエチレンでできたチューリップ用のネットは軽量で耐久性がある。前線やその周辺で大量に使われている小型FPV(一人称視点)ドローンやクアッドコプターを阻止できる。
漁網はチューリップ用のネットよりも強度が高く、戦車や大砲の防護に多く使われてきたとポット氏は説明した。現在では、ほぼ毎日のようにロシアのドローン攻撃を受ける電力インフラを守るためにも使われているという。
数千トンに及ぶ網がウクライナ兵のもとに届いている/The Union of Entrepreneurs of the Television and Film Industry
スウェーデンの団体「オペレーション・チェンジ」は、欧州連合(EU)の漁獲枠制限によって使われなくなった漁網を回収し、約400トンをウクライナに送ってきた。
フランスの団体「ケルニック・ソリダリテ」は、全長280キロにも及ぶ頑丈な馬毛のネットをウクライナに届けた。
ウクライナ軍のユリー・アンドルセンコ氏によれば、「(より大型のロシア製ドローン)ランセットを網で捕らえた例はいくつもある」。
ランセットは2〜3キロの重さの爆発物を搭載でき、攻撃時の最高速度は時速150キロに達する。

ドローンは前線からかなり離れた地域にも飛来する/11 Army Corps/Facebook
オランダやデンマークで余剰ネットの備蓄は減少しつつあるが、ポット氏は供給を続けるために別の地域を探している。「このプロジェクトはまだ終わっていない。取り組みを欧州全体に拡大していく」
「協力している人々はみな同じ動機を持っている。それはウクライナを助け、歴史の正しい側に立つことだ」(ポット氏)
