決断の座標 2026いわて衆議院選挙 ③外国人政策と地方創生

 2月8日の投開票まで、戦後最短の政治決戦となる衆院選は、各地で真冬の舌戦が繰り広げられている。物価高、外国人との共生と地方創生、1次産業、そして外交・安全保障。課題は山積し、主権者であるわたしたちの1票が政権と日本の針路を左右する。大切な決断の座標軸を探る。

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③外国人政策と地方創生 外国人政策が争点の衆議院選挙 排外的言説の一方で支えられる岩手の産業

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 「共生」在り方いかに

 排外主義的な言説が街頭や交流サイト(SNS)上で広がった参院選から半年余。外国人政策は今衆院選も焦点の一つだが、本県の産業現場は、海外からの働き手なくしては、立ちゆかないのが実態だ。

 一関市室根町の鶏肉生産加工販売業オヤマ(小山雅也社長)は、従業員の15%ほどに当たる約130人の特定技能外国人が勤務する。2019年の受け入れから年々増え、仕事は鶏肉のカットや味付け、包装、鶏の生産と幅広い。

 各党の公約には外国人政策を巡り、外国人の土地取得ルール策定や受け入れ制限など「規制」と「共生」が入り交じる。昨夏は根拠に乏しい言説も散見され、人々が社会に抱く閉塞(へいそく)感も垣間見えた。だが、地方の人手不足は深刻で、「共生」は企業存続に関わる現実的な問題だ。

不可欠な戦力、進む現場の融合株式会社オヤマ©Google

 同社は定着に向け住居を完備し、旅行やスポーツなどで余暇の充実も図る。積極的なコミュニケーションで、地元社員とも理解し合う。インドネシア出身のレオ・ヘリ・ジュピトラさん(32)は「日本人は厳しいと思っていたが、自分のために怒ってくれるところが優しい。日本で新しいことを学び、働いていきたい」と意欲があふれる。

 「彼らなしでは会社は回らない。日本に来たら日本人と同じだと思って大切にする」と小山達也専務。ただ、「共存」が当たり前の同社も5年の在留期限を待たず、待遇の良い都市部へ転職する人がいるのも事実。技能実習に代わって2027年度から導入される「育成就労」が、人材流出を加速させないかと懸念する。

 育成就労は外国人材育成や労働力確保が目的で、原則3年働いた後、特定技能への移行を想定。しかし、本人意向による「転籍」が一定条件で認められる。手塩にかけた人材が現状以上に都市部へ向かいかねず、地方はむしろ「選ばれる」努力が必要になる。

新制度での「都市流出」に懸念

 全国知事会は2025年11月、「多文化共生と地域社会の安定を両立させる持続可能な社会づくりを国と共に進める」とする共同宣言を採択。背景には人口減少と高齢化があり、地方創生の重要性は増している。

 2005年の合併時から人口が4割減った西和賀町。豪雪地帯の魅力を生かした地域ブランド「ユキノチカラ」を展開するユキノチカラプロジェクト協議会事務局の加藤紗栄さん(48)は、若い世代の挑戦に手応えを感じつつ、特産の「西わらび」などの生産者が減る現状に「魅力をいかに市場へ訴求するか知恵を絞る必要がある」と危機感を強める。

 自身も2019年に移住し「首都圏の人が恒常的に目を向ける仕組みが不可欠だ」と実感する。「地方活性化には時間を要し、成果はすぐに数字に表れにくい面もある」。全ての人々が安心して暮らし、働ける。都市と地方の活力と成長を導く。そんな国のリーダーシップが求められている。