福島ユナイテッドFCの選手、監督、コーチ、現場スタッフ、そしてフロントスタッフのみなさま。そして福島ユナイテッドFCサポーターのみなさま。まずは10年間番記者としてたくさん取材させていただき、本当にありがとうございました。感謝してもし尽くせない、本当に宝物のような時間でした。
10年前初めてとうほう・みんなのスタジアムにやってきた時、とうスタには夜間照明も、机のある記者席もありませんでした。芝生は高麗芝で、まだ3月だったこともあって黄色かったのを覚えています。練習場は硬い人工芝グラウンドでした。外国籍選手はいましたが通訳がおらず、ポルトガル語が担当な、当時選手だった戸川健太さんが通訳に入ってくれました。そして選手の多くはスクールコーチ契約、いわゆるアマチュアのような契約だったかと思います。プロとは言うものの非常に厳しい環境でした。
それでも一つ一つの試合に全力を尽くし、声援を送るサポーターのために頑張る選手の姿を見て、サッカーの原点のようなものがこの福島にはあると思いました。
あれから10年経ちました。とうほう・みんなのスタジアムには夜間照明が付いて、机のある記者席ができて、ナイトゲームを行えるようになりました。芝生は最新鋭の技術で水はけが良くなり、プロの試合を行うに相応しいピッチが1年中保たれています。練習場も2面の天然芝。先日三浦知良選手が1月なのに青々としていると絶賛していましたが、福島の練習場は恵まれているのです。練習場のロッカールームは最低限のものですが昨年できたことで、練習前ミーティングも夏は涼しく冬は暖かい環境でできるようになり、ケータリング(日によっては弁当)で温かい食事も食べられるようになりました。選手は今では全員プロ契約です。そして、J2ライセンスも2022年以降ずっと取得し続けており、ようやく上のカテゴリーを目指せる体制が整いました。この10年でそれだけ福島は進化したのです。
そして何よりサポーターの数がこの10年ですごく増えました。昨年8月末の8,000人を超える観客には本当に感動しましたし、2,000人を超える日も増えて、本当にとうスタが賑わいの場所になったことが嬉しくてなりません。観客が1,000人を下回る試合を何度も見てきただけに、毎試合多くの観客で賑わうことが当たり前になってきたことが心底嬉しいです。さらには応援の熱量も上がりました。熱量が上がっただけでなく、子どものサポーター集団ができるなど、福島らしい人の温かさが前面に出た応援になりました。勝利の後のわらじ踊りも定着し、福島ならではのサッカー文化が根づきつつあるのです。
また、クラブが続けてきた農業部の活動もすっかり定着し、選手たちは農業の現場で社会を学ぶことができ、サポーター側は美味しい福島の農産物を堪能でき、今では他のクラブからも試合前の販売で引っ張りだこになるなど、福島の大きな収益源、そしてクラブのカラーとしてその存在感は今なお増し続けています。
ただ、この10年間は良かったこと、楽しかったことよりも苦しかったことやつらかったことが多かったかもしれません。活躍した選手や監督は上のカテゴリーに引き抜かれていったり、同じ県に立ち上がったいわきFCが先にJ2へと昇格していったり、何度となく経営危機に見舞われたり、2023年にはJ3残留争いを経験したり、苦しいことは多かったです。それでも、このクラブを何とか存続させたい、福島からサッカーの灯を消したくない、そうした全てのみなさんの思いが結集し、今、福島ユナイテッドFCはここにあります。
サッカーの現場の方では、寺田周平監督の中央を突く超攻撃的スタイルがこの2年間で定着しました。前からプレッシャーをかけられ、ビルドアップが寸断されて失点することも何度もありました。そして今、流行のスタイルは強度を高くした武骨なサッカーなのかもしれません。しかしながら福島のみなさんは本当に我慢強く寺田監督のスタイルを支えてくれました。ハマれば面白いように点が取れて、この上なく楽しいサッカースタイルに魅せられ、この2年間福島ならではのスタイルとして進化を遂げることができました。寺田監督の続投が決まり、このスタイルの進化がさらに続いていくことが嬉しくてなりません。サッカーの流行は不変ではありません。今は強度やフィジカルが求められる時代かもしれませんが、絶対に技術の部分への揺り戻しは来ます。自信を持って今の攻撃的なスタイルを継続してほしいと願っています。
こんな素晴らしいクラブと10年ともに歩めたことが、本当に幸せでなりません。もっともっと取材を続けたい、と思うことは今でもあります。未だに今年から、十六沼公園やとうほう・みんなのスタジアムに通い続けることが無いということにまだ実感が湧いておりません。しかしながら、私自身今後の人生を考え、新たな方向に舵を切らなければいけない時だと決断しました。この「福島ユナマガ」を立ち上げておきながら、4年2ヶ月で執筆を辞めてしまうのは大変申し訳ないのですが、この度2月以降も継続できる運びとなりました。これまで有料登録をしていただいたみなさまに、今後も喜んでいただけますと幸いです。文体とかサッカーの見方とかは恐らく変わることになるかと思うのですが、ぜひ新たに取材に入る近藤健多朗さんを支えていただき、有料登録を継続していただけますと幸いです。なお、私は完全に1月31日で執筆を引き継ぐ予定でしたが、2月中旬くらいまではスムーズな移行のために、私も何度か寄稿させていただくかと思いますので、宜しくお願いいたします。
私は2月15日にハワイアンズスタジアムいわきにて行われる、J2・J3百年構想リーグ第2節いわきFCvs福島ユナイテッドFCの試合をもって、福島の取材活動を終了いたします。その後ですが、とうほう・みんなのスタジアムにはいつかフラッと観戦に遊びに行きたいなと思っています。今までは試合後に原稿執筆があったので立ち寄ることのできなかったスポーツバーファントムにも寄れたら良いな、と思っております。その時私を見かけたらお声かけいただけますと幸いです。
これからも福島ユナイテッドFCを応援し続けます。
10年間、本当にありがとうございました。福島ユナイテッドFCのますますのご発展、そしてJ2、J1へとチームが昇格していくことを心から願っております。
2026年1月31日 小林 健志
