戦略的な価格で提供される中国の有能EV

電動化という世界的うねりの中で、上級サルーンの勢力図は書き換えられつつある。従来のクラスリーダー、BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスが優勢を保つことは、もはや簡単ではない。

欧州を中心に、バッテリーEVの優遇税制や補助金は一般化。急速充電器の普及も進んでいる。収益性の高いクラスだけに、中国の新興ブランドの参入も積極的だ。

左からテスラ・モデル3 デュアルモーター・ロングレンジ、メルセデス・ベンツCLA 250+ ウィズEQテクノロジー AMGライン・プレミアムエディション、MG IM5 100 ロングレンジ。左からテスラ・モデル3 デュアルモーター・ロングレンジ、メルセデス・ベンツCLA 250+ ウィズEQテクノロジー AMGライン・プレミアムエディション、MG IM5 100 ロングレンジ。    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

最近、グレートブリテン島に上陸したMG IM5も、そんな変化を追い風にする1台。ところが、ボディやインテリアを見回しても、八角形のMGロゴは見当たらない。親会社、SAIC社が手掛けるインテリジェンス・モーションL6の、OEMモデルだからだ。

駆動用バッテリーは96.5kWh。航続距離は709km。396kWの急速充電に対応し、後輪操舵システムも備わる。こんな高性能EVが、4万4995ポンド(約936万円)という戦略的な価格で提供されている。

満充電で779km走れるCLA モデル3は749km

当然、欧州勢も黙っていない。新しいメルセデス・ベンツCLAは、最新のMMAプラットフォームを採用。モーターとバッテリーだけでなく、エンジンにも障壁なく対応する。

今回のCLA 250+が搭載するのは、85kWhの駆動用バッテリーと、271psのモーター。高効率な、シリコンカーバイド基盤のインバーターも採用する。ポルシェ・タイカンのように2速ATを実装し、320kWで急速充電でき、満充電で779km走れる。

メルセデス・ベンツCLA 250+ ウィズEQテクノロジー AMGライン・プレミアムエディション(英国仕様)メルセデス・ベンツCLA 250+ ウィズEQテクノロジー AMGライン・プレミアムエディション(英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

電動サルーンを牽引してきたテスラ・モデル3も、新たな競争へ備えている。シングルモーターのロングレンジ仕様の場合、航続距離は749km。ツインモーター版でも659kmが主張され、急速充電は250kWまで。ウインカーレバーも、新たに獲得した。

果たして今回の比較は、アメリカ、ドイツ、中国x英国という三つ巴。2026年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーも受賞した、CLAの善戦を期待したいところだ。

プレミアムな雰囲気を醸し出すIM5

3台を並べると、CLAが最も見慣れた雰囲気にあることがわかる。空気は通過しないが、明確なフロントグリルが存在し、先代の面影も重なる。同時に空気抵抗を示すCd値は0.21と小さく、滑らかな面構成が最新版であることを主張する。

ドアをアンロックすると、フロントに散りばめられたスリーポインテッド・スターがきらめく。通りがかりの人に、「カッコいいね!」と褒めてもらえた。

MG IM5 100 ロングレンジ(英国仕様)MG IM5 100 ロングレンジ(英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

IM5にそんなギミックはないが、3台では最もお手頃な英国価格と、全長4931mmの立派な体格でアピールする。有機的なカーブが滑らかに繋がり、低いルーフラインと相まって、プレミアムな雰囲気を醸し出す。

モデル3は、ハイランドと呼ばれる最近のアップデートにより、スリムなヘッドライトを獲得。それでも見慣れたサルーンといえ、街なかで誘目度が高くないことは確かだ。

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