(CNN) 米国のトランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)の加盟国について、米国が「必要とする」時に「そこにいる」のかどうか改めて疑問を呈した。その際、NATO軍はアフガニスタンの前線から「やや後方にいた」と根拠なく主張した。

「私は常にこう言い続けてきた。『もし我々が彼らを必要としたら、彼らはその場にいるだろうか?』。それこそが本当の試金石になる。だが私には確信が持てない。我々はその場にいただろうし、これからもいるだろう。それは分かる。しかし彼らは果たしてその場にいるのだろうか?」。トランプ氏は22日、スイスのダボスで行われたFOXニュースのインタビューでそう問いかけた。

2001年9月11日の同時多発テロの後、米国はNATO加盟国として初めて北大西洋条約第5条を発動した。現時点で他に同条を発動した加盟国は一つもない。この条項は一加盟国への攻撃を全加盟国への攻撃だと規定している。NATO加盟国とその他の提携国は20年間、アフガニスタンで米軍と共に戦ってきたが、トランプ氏はことあるごとにこの犠牲を軽視してきた。

「彼らを必要としたことは一度もない。彼らに何かを頼んだわけでもない。彼らはアフガニスタンに部隊を派遣したとか、あれこれ言うだろう。実際彼らはそうしたが、部隊がいたのはやや後方だった。前線からは少し距離を置いていた」(トランプ氏)

トランプ氏の一連のコメントは、NATOに加わる米国の同盟国を憤慨させている。同氏は今週、NATOに加盟するデンマークの自治領であるグリーンランドの支配権を握ると再三脅迫し、同盟関係に深刻な緊張をもたらしてきた。

アフガニスタンにおける兵力損失の絶対数で見ると、米国の損失はNATO加盟国の中で群を抜いて多いが、人口が米国よりはるかに少ない一部の欧州諸国も、相対的に見るとほぼ同数の兵力を失っている。

この紛争で死亡した同盟国の兵士は約3500人。そのうち2456人が米国人、457人が英国人だった。侵攻開始時の人口が約500万人だったデンマークは、40人以上の兵士を失った。

イスラム主義勢力タリバンの拠点でありアヘン生産の中心地である南部ヘルマンド州に派遣された部隊は、当初は主に英国とデンマークの部隊で構成されていたが、08年に米国が増援部隊を派遣した。英国とデンマークはヘルマンド州で多くの死傷者を出した。

2007年10月、アフガン南部ヘルマンド州で死亡したデンマーク兵2人の棺が本国の軍用空港に到着した/Claus Fisker/AFP/Getty Images
2007年10月、アフガン南部ヘルマンド州で死亡したデンマーク兵2人の棺が本国の軍用空港に到着した/Claus Fisker/AFP/Getty Images

23日、英国のスターマー首相はトランプ氏の発言を「侮辱的で、率直に言ってぞっとする」と厳しく批判。同氏は謝罪する必要があると示唆した。

ホワイトハウスはスターマー氏の批判を一蹴し、トランプ氏の見解は正しいと主張した。

アフガニスタンに2度派遣された英国のヘンリー王子は23日、報道官を通じて発表された声明の中で、NATO軍の犠牲には敬意を払うべきだと述べた。

「こうした犠牲については誠実に、敬意をもって語るべきだ。我々は皆、団結を維持し、外交と平和の防衛に向けて忠実に取り組んでいるのだから」(ヘンリー王子)

年初来、トランプ氏はNATOによる対米支援の意思を繰り返し疑問視している。7日には自身のSNSトゥルース・ソーシャルで「本当に必要とされる時に我々の味方になってくれるとは思えない」と、NATOを痛烈に非難。「我々は常にNATOの支援に動く。たとえNATOの方が我々を支援してくれなくても」と綴(つづ)った。