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Reuters

掲載日

2026年1月12日

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は月曜日、欧州連合(EU)とインドが1月末までに画期的な自由貿易協定に署名する可能性に言及し、保護主義が台頭し米印協議が停滞するなか、世界の貿易関係を再編しかねない動きだと述べた。

インドのアーメダバードにあるガンジー・アシュラムを訪問中のナレンドラ・モディ首相と歩くフリードリヒ・メルツ独首相(2026年1月12日撮影)インドのアーメダバードにあるガンジー・アシュラムを訪問中のナレンドラ・モディ首相と歩くフリードリヒ・メルツ独首相(2026年1月12日撮影) – REUTERS/Amit Dave

メルツ首相は同日、インド西部の都市アーメダバードでナレンドラ・モディ首相と会談後、記者団に対し、交渉が期限内にまとまれば、EUの首脳らが協定の締結のために訪印するだろうと語った。

「いずれにせよ、この自由貿易協定の実現に向けて、さらに大きな一歩を踏み出すことになるだろう」と、首相就任後初のインド訪問で述べた。EU当局はまだコメントしていない。

長年議論されてきたこの貿易協定は、双方にとって経済関係を強化し、中国やロシアへの依存を減らす好機とみられている。インドとEUの二国間貿易は2024年に総額1,200億ユーロ(1,402億1,000万ドル)に達し、EUはインドにとって最大の貿易相手となっている。

米国がドナルド・トランプ大統領の下でインド製品への関税を引き上げ、ニューデリーにロシア産原油の購入停止を迫って以来、協議は加速している。別の米印貿易協定は昨年、両政府間の意思疎通の不備から頓挫した。

EU・インド間の協定は、EUが最近、南米のメルコスール・グループと結んだ合意に続くもので、世界のルールが変わりつつあるなかで新たな貿易ネットワークを構築しようとする欧州の取り組みを後押しする。インドのピユシュ・ゴヤル貿易相は、西部グジャラート州での別のイベントで、合意はほぼ最終段階にあると述べた。

ドイツ政府関係者はロイターに対し、メルツ氏とモディ氏による直近の会談は「非常に踏み込んだ」内容で、突破口への期待が高まっていると語った。EUは、自動車、医療機器、ワイン、蒸留酒、食肉に対する関税の大幅な引き下げと知的財産権ルールの強化を求める一方、インドは労働集約的な商品の関税ゼロでの市場アクセスと、成長著しい自動車・エレクトロニクス分野に関する認証・承認手続きの迅速化を求めている。

協議に詳しいインド政府関係者は先月ロイターに、鉄鋼、炭素課徴金、市場アクセスをめぐる争点にはさらなる妥協が必要だと語った。両国はメルツ氏の訪問中に、鉱物、ヘルスケア、人工知能に関する協定に調印した。

ドイツは成長市場としてインドへの依存を強めており、ドイツ首相は、世界がドイツとインドに害を及ぼす「不幸な保護主義の復活」を経験していると述べた。具体的な国名には言及しなかった。

米国が貿易相手国に関税を課す一方で、中国は自動車などに使用される鉱物に対する輸出規制を導入。米中貿易戦争の影響もあって、昨年は数カ月にわたりサプライチェーンが混乱し、ドイツの自動車メーカーに影響が及んだ。
また、オランダ政府が中国資本のチップメーカー、ネクスペリアの支配権を掌握する決定を下した後、北京は自動車産業で広く使用されている一部の半導体にも制限を課した。

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