日本貿易振興機構(JETRO)は、「2025年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)」を公表しました。本調査では、アフリカ市場に進出する日系企業の業績動向や事業展開の方向性、投資環境に対する評価が多角的に示されています。
黒字企業比率が2年連続で過去最高水準に達した一方で、規制や為替、政治・社会情勢といった課題も依然として存在しており、アフリカ事業が新たな段階に入っていることがデータから読み取れます。
黒字企業増加も国別差が鮮明に
2025年の営業利益見通しにおいて、アフリカ地域全体で黒字を見込む日系企業の割合は61.6%に達し、比較可能な2013年以降で過去最高を更新しました。
赤字を見込む企業の割合は年々低下しており、全体としてアフリカ事業の収益性が着実に改善している状況がうかがえます。
この結果は、アフリカ市場が「将来投資」や「試験的進出」の段階を越え、事業として一定の成果を生み出す局面に入っていることを示しています。

画像引用元:2025年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)
一方で、黒字化の進展は地域全体で一様に起きているわけではありません。南アフリカ共和国やエジプトでは引き続き高い黒字比率が維持されているのに対し、ケニアでは赤字割合が相対的に高いなど、国ごとの事業環境や事業成熟度の違いが明確に表れています。
この点から、アフリカを一括りの市場として捉えることの難しさが改めて浮き彫りになっています。
さらに、2026年の業績見通しでは「改善」と回答する企業が増加し、「改善」または「横ばい」を合わせると9割を超えています。
これは短期的な回復期待というよりも、中期的に事業が安定し、成長局面に入ると見込む企業が多いことを示しています。
特に製造業では、非製造業を上回る改善見通しが示されており、アフリカを販売拠点としてだけでなく、生産や付加価値創出の拠点として位置付ける動きが進んでいることがうかがえます。
拡大意欲は高水準、新規事業開発も進展
今後1〜2年の事業展開については、「拡大」と回答した企業がアフリカ全体で54.0%に達しました。この割合は世界各地域の中でも高水準であり、アフリカ市場が引き続き成長余地のある地域として認識されていることを示しています。
特に製造業では7割を超える企業が「拡大」を選択しており、慎重さを保ちつつも、一定のリスクを織り込んだうえで事業を前進させる判断が広がっています。

画像引用元:2025年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)
拡大の理由として最も多く挙げられたのは「現地市場ニーズの拡大」で、8割以上の企業がこの点を選択しています。
人口増加や都市化の進展、中間層の拡大といった構造的な変化が、実際の需要として企業活動の現場で実感されていることが背景にあります。
これにより、アフリカ市場が単なる将来市場ではなく、現在進行形のビジネス機会として捉えられていることが明らかになっています。
拡大する機能を見ると、「販売」が約7割で最も多い一方、「新規事業開発」が4割を超えている点も注目されます。

画像引用元:2025年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)
これは、既存事業の延長線上だけではなく、現地ニーズに即した新たな事業モデルの構築を模索する動きが強まっていることを示しています。
日系企業のアフリカ事業が、単純な輸出や販売中心のモデルから、より多様な形へと変化しつつある様子がデータから読み取れます。
投資環境の課題と戦略転換の必要性
アフリカに拠点を構える理由として、最も多く挙げられたのは「市場の将来性」であり、8割以上の企業がこの点を評価しています。短期的な利益よりも、中長期的な市場成長を重視する姿勢が主流であることが、本調査から明確に示されています。

画像引用元:2025年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)
一方で、投資環境に関する課題も依然として重く存在しています。
「規制・法令の整備や運用」「財政・金融・為替面」「不安定な政治・社会情勢」は、いずれも過半数の企業が課題として認識しており、特に行政手続きの煩雑さや為替の不安定さは、事業計画や資金管理に直接影響を与える要素となっています。
こうした課題は、アフリカ市場の魅力と同時に、事業運営の難しさを浮き彫りにしています。

画像引用元:2025年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)
しかしながら、これらの課題が存在する中でも高い事業拡大意欲が示されている点は重要です。
これは、日系企業が投資環境リスクを回避すべき特別な障害としてではなく、事業設計の前提条件として織り込んだうえで判断を行っていることを示しています。
アフリカ事業は、どの国で、どの分野に入り、どの機能を担うのかを具体的に設計する段階に入っており、本調査はその転換点を示すデータとして位置付けられます。
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❚ アクセルアフリカについて
『日本とアフリカ諸国を繋ぎ、社会課題解決型ビジネスを共創することで、アフリカの持続的成長に貢献する』をビジョンに日本企業のアフリカへのビジネス進出や現地での事業開発をサポートする日系コンサルティング会社です。
ケニアに事務所及びコミュニティハウスを持ち、アフリカの主要国をカバーしています。アフリカでの事業展開についてお悩みの方はぜひお気軽にご連絡ください。

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