集中豪雨による災害を将来的に減らそうと、雨雲を人工的に制御する世界初の取り組みを富山大学などが進めています。
きのう、入善町で始まった実験。雨をどのように制御するのか、そして、どんな成果が得られたのか。
岡川記者のリポートです。

きのう、入善町の上空に現れたプロペラ機。高度およそ3000メートルで行われていたのは…
空から「あるモノ」を散布し、大気がどのように変化するかを確かめる、世界初の実験です。

先月、千葉大学・富山大学・富山県立大学でつくる共同研究チームは、富山湾近くのキャンプ場に気象レーダーなど大気や雲の様子を観測する機器を設置しました。
◆富山大学 都市デザイン学部 濱田篤 准教授
「けっこう挑戦ですよね。雨を制御するという、ある意味“攻めの技術”ですね。本当の野外での実証実験は行われたことがなくて我々が本当に世界で初めてなので」
実験で飛行機から散布するのは…
◆濱田篤 准教授
「積乱雲の上から飛行機でドライアイスを散布する」
直径およそ3ミリの、ドライアイスの粒です。

研究チームは、雲の中で氷の粒子を人為的に増やして雲を発達させることで、雲が横に広がり、雨の降る範囲が広く分散すると仮説を立てました。これにより、雨が局地的に降るのを防ぎ、災害を減らせる可能性があります。

また、海上にある積乱雲にドライアイスを散布し、海の上で雨を降らせることで、陸地に近づく前に勢いを弱められるかどうかも検証します。
ドライアイスは空中で完全に気化するため、陸地や海への影響はないとしています。
国などは2050年までに、集中豪雨による災害を抑制することを目標としています。
◆濱田篤 准教授
「地球温暖化が進んでいって激しい雨が増えていることは事実であって、そういったときに雨に対して我々が身を守る、社会を守る手段の一つとして豪雨の制御を我々は目指している」
天候や風向きに大きく左右されるこの実験。きのう、条件が整い、初めて実施されました。
きのうは予備実験として、上空と地上のスタッフがうまく交信できるか、そしてドライアイスを散布することで雲が変化するかを確認しました。散布が始まると、さっそく上空に変化が見られました。
◆濱田篤 准教授
「なんかあれ、バラバラしてません? なんか形がね… 飛行機雲だともうちょっと連続的だと思うんですよ」
雲などの分布を観測する機器のデータを確認すると・・・

◆濱田篤 准教授
「あっ写ってる! これ? これじゃない?」「赤いやつ?」「えっマジ?ちゃんと映るんやね」
きのうの予備実験ではドライアイスを散布したことで、およそ2500メートルの上空に人工的な雲を作ることができたとみられます。
空と陸の交信も無事に成功し、雨雲に対して散布する本格的な実験に向けた予行演習となりました。研究チームは今月15日まで実験を続け、来年度以降、本格的なデータ分析に入るとしています。
富山では冬でも雲が発達しやすく、雪雲を詳しく観測することで、夏の積乱雲の研究にもつながると考えられています。富山での研究が豪雨被害を減らす未来へつながることが期待されます。
