前福井県知事の杉本達治氏
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 福井県は7日、杉本達治前知事(63)のセクハラ問題をめぐり、特別調査委員による調査報告書を公開。杉本氏のセクハラを認定した。複数の女性職員に、性的関係を求めるなどのメッセージを約1000通送信。体を触るなど、約20年にわたってセクハラ行為におよんでいたことが明らかになった。

 報告書では、被害者らの「被害感情」について記載された。

 被害者らは「受けた精神的苦痛は一生忘れることが出来ない」「恐ろしいので福井から出ていってほしい」「どこかで会うかもしれないと思うと不安でならない」「絶対に許さない」などと強く訴えた。

 セクハラの卑劣な手口の一端も明らかになった。

 杉本氏から性的な関係を要求された場合に応じなければ職を失うのではと苦悩する被害者らの心境が明らかになった一方で、セクハラに当たると明確に警告し、怒りを持って抗議した人もいた。

 杉本氏は一度は謝罪するものの、2か月後には「〇○ちゃんは、まだ怒ってるの?」というテキストメッセージを突如送信。そこから「体の関係なんて言わないから」「二人きりでさしつさされつで楽しもうね」などという性的なテキストメッセージの送信を続けた。止まない加害行為に、「DVのように感じた」と被害者は回想した。

 メッセージは深夜、休日、業務時間内等、時間を選ばず送られてきたという。深夜にも関わらず「またスルー」「冷たい」「放置プレイかあ」「〇○ちゃん悲しいよう」「〇○ちゃん眠れないよう」「〇○ちゃん助けて!」「起きて、起きてえ、眠れません」などしつこくメッセージが来たという。

 反応しないと、「つまらない」「またまた素っ気ないメールだね」「冷たい」「愛情は?」「ハートマークが少ない」と、さらなる追及があった。

 被害者らは誰にも相談できず精神的に追い詰められ、複数の被害者が仕事を辞めることも考えたという。セクハラの事実を公表するにも「狭い福井の中で、噂が立って家族に迷惑がかかるのではないかとも心配だった」と2次被害の恐れにも苦悩していた。また、上長に訴えても被害自体を信じてもらえなかったり、相談した相手からさらにセクハラ被害を受けた人などが複数いたという。

 通報者は、杉本氏の行為は常習性を感じるものであったことに加え、このまま放置してはさらなる被害者が発生すると、勇気を出して通報。また、ほかの被害者は、実名を出して調査で声をあげるのは精神的に負担だったが、通報者を一人にはできない、声を上げなければいけない、と調査に協力した。

 県民や職員からは「テキストメッセージぐらいで大騒ぎする方がおかしい」「嫌なら断ればよいではないか」という声や、年配の女性職員の「昔はもっとひどいセクハラがあったけれど、自分たちは耐えてきた、乗り越えてきた」という声も。さらに「セクハラメッセージの内容は、たいしたことがないのではないか」「送られた方が騒ぎすぎだ」「知事がそのようなことをするとは思えない。知事がかわいそうだ」などと被害者を軽視する声も上がっていた。

 報告書では、被害者らの声として「セクハラの内容を公表することについて、非常に悩んだが、被害の実態をしっかりと報告書に記載していただき、県民の方々や社会に伝えることが、今後のセクハラ防止の一助になると思い、相当の覚悟を持って公表することを決意した。県庁が、理不尽なことを我慢する必要のない職場になることを切に願う」と記された。