
イエメン南部のムカラ港で30日撮影の提供写真。Aden al-Mustakillah TV/Handout via REUTERS
[30日 ロイター] – サウジアラビアが主導する連合軍は30日、中東イエメン南部のムカラを空爆した。サウジは自国の国家安全保障は「レッドライン(超えてはならない一線)」だと強調し、アラブ首長国連邦(UAE)に24時間以内に軍を撤収するよう要請。UAEはこれを受け、イエメンに残る部隊を撤収すると表明した。
UAE国防省は、2019年の軍駐留終了後もイエメンに残っていた「対テロ部隊」の任務を自発的に終了させたと表明。UAEが引き続き展開する任務は、「対テロ対策」の一環として国際パートナーと連携する専門要員に限定するとした。
UAEによる撤収表明後、米国務省はルビオ国務長官がサウジ、UAE両国の外相とイエメンにおける緊張や中東の安全に影響を及ぼす諸問題について協議したと明らかにした。
クウェートやバーレーンなど複数の湾岸諸国は、対話を強化し政治的解決に至るあらゆる努力を支持すると表明。カタールはサウジなど湾岸諸国の安全保障は自国の安全保障と「切り離せない一部だ」と述べた。
これに先立ち、サウジはUAEがイエメン南部の分離派「南部暫定評議会」(STC)にサウジ国境に向けて進軍するよう圧力をかけていると非難し、自国の国家安全保障はレッドラインだと述べていた。
サウジとUAEはかつて、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に対抗する連合で協力していたものの、最近は利害が乖離していた。
UAEが部隊を撤収したことで当面は緊張が緩和される可能性があるが、同国がSTCへの支援を停止するかどうかは不透明だ。
一方、サウジは国際的に承認されているイエメン政府への支援を続けており、サウジ内閣はUAEがSTCへのあらゆる軍事・財政支援を停止することを期待すると表明した。
サウジ主導の連合軍はハドラマウト州ムカラ港で分離派に対する「外国の軍事支援」を標的とした限定的な空爆を実施した。連合軍報道官は、UAEのフジャイラ港から到着した2隻の船が27日と28日に同連合の許可なくムカラ港に入港し、追跡システムを無効にし、「(STCを)支援」するために大量の武器と戦闘車両を降ろしたと述べた。
サウジが支援するイエメン大統領評議会のアリーミ議長はテレビ演説で、UAEがSTCに対し、軍事的エスカレーションを通じて政府に反抗し国家の権威を弱めるよう指示したことが確認されたと指摘。UAEとの防衛協定を破棄したと発表し、同国がイエメンの内紛をあおっていると非難した。
UAEは問題の貨物に武器は含まれておらず、UAE軍向けだったとしつつ、緊張激化を防ぐ解決策を模索したと述べた。
UAEは15年からフーシ派と戦うサウジ主導連合軍の一員だった。19年に軍の縮小を開始したが、サウジが支援するイエメン政府への支持は継続した。STCはその後、南部で自治を求めることを決定し、今月上旬にサウジの支援を受けるイエメン軍に対する攻撃を開始。サウジの警告を無視してハドラマウト州を含む南部の広い地域で支配を主張した。
サウジ国営メディアは、ムカラ港への攻撃による死傷者や巻き添え被害はないと報じた。ロイターは被害状況などを独自に確認できていない。
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