2026年、米国の(かつての)貿易相手国の指導者たちは、報復関税の応酬がもたらす政治的帰結に、真摯に向き合わなければならなくなるだろう。関税とは、消費者が支払う税金である。そして、過去4年の歳月がわれわれに教えてくれたことがあるとすれば、それは、原因が何であれ、物価上昇の時代に国を率いた政治家を、国民は決して許さないということだ。

一方で、世界の指導者たちにとって幸いなことは、関税に対抗するための、「報復」より優れた方法が存在するという事実だ。報復関税は19世紀の戦術であり、われわれが生きる21世紀の世界には適さない。21世紀とは、最も収益性の高い米国企業がビジネスを行なう、最も利益率の大きい事業分野すべてが、実は、ある単純な法改正に対して脆弱性を露わにする、そんな世界だ。

そしてその「法改正」とは、大統領就任式の壇上でドナルド・トランプと写真に収まった最高経営責任者(CEO)たちが率いる企業に多大なダメージを与える一方で、米国を含む世界各地の何十億人にも及ぶ人々のために、製品をより安価にする効力を有している。

今回の貿易戦争に勝利したいと望む国々には、歴史的にまたとない好機が26年に訪れるだろう。それは、「迂回禁止法」を撤廃するという選択肢だ。この法律は、製造元の許可なくデバイスやサービスを改変することを、多くの場合、重罪として違法化するものだ。

過去20年にわたり、米国の国際貿易、商品、直接投資政策の策定と調整を担う米国通商代表部(USTR)は、世界のほとんどの国にこの法律を採択するよう圧力をかけてきた。しかしこの法律は、国外のスタートアップの手足を縛るものだ。ここでいう「スタートアップ」とは例えば、サードパーティ製アプリストアをインストールする「ジェイルブレイク(脱獄)キット」を提供してアップルと競合したり、Androidデバイスのトラッキングをブロックしてグーグルと競合したり、KindleやAudibleのファイルを競合アプリで使えるフォーマットに変換してアマゾンと競合したり、あるいはサードパーティによる修理を妨げるシステムを無効化してジョンディアと競合したりするような企業のことである。

さらには、自動車整備士がわたしたちのクルマに必要なサービスを伝達する暗号化されたエラーメッセージを解読することで、世界自動車三大メーカーに打撃を与えることなども含まれる。

こうした「デジタル錠前」とも呼ぶべきものが、米国企業によるレント(超過利潤)の享受を裏書きしており、その額は毎年数千億ドルにも上る。世界の国々は、米国市場への無関税アクセスと引き換えに、このレント抽出の仕組みを順守することに合意していた。米国がその約束を一方的に反故にしたいま、これらの法律はもはや何の役にも立たないことになる。

トランプの急所を突く

米国の巨大テック企業や、テクノロジーを駆使するその他の巨大企業は、この「デジタル錠前」を使い、不当な富を築き上げてきた。26年、その富が収まる蔵に踏み込む勇気をもつ最初の国は、数千億ドル規模の米国のレントを、自国のテックセクターの安定成長を可能にする数億ドル規模の国内利益へと変えることに成功するだろう。そして残りの金額は、消費者余剰として、海外からグレーマーケットのジェイルブレイク・ツールを購入する米国人を含め、世界中のすべての人々の手にわたることになる。

多くの国は、まだ19世紀に存在しているかのような対応を採用するだろう。でもいくつかの国々は、テクノロジーを武器にドナルド・トランプの急所を的確に突くという、政治的才覚を発揮するはずだ。そして最初にそれを成し遂げた国は、例えばゲームコンソール向けのサードパーティ製アプリストアといった分野において、かつてノキアが携帯電話市場を席巻した時代にフィンランドが享受したのと同様のアドバンテージを手に入れることになると筆者は考えている。