以下に、私が個人情報など自身のデータを守るために普段から実践している4つの習慣を紹介しましょう。

「後日公開されるはがき」同様に

AIとやり取りをしていると本来存在しないはずの親密さを感じることがしばしばあり、普通に考えれば共有しないような情報まで入力してしまう人もいます。

確かに、会話型AIサービスを提供する企業の中にはモデルのプライバシー強化に取り組む専属の従業員を置いているところもありますが、たとえそうだとしても、クレジットカード番号や日本で言うところのマイナンバー、自宅住所や自身の具体的な既往歴、その他の個人を特定できる情報を入力するのは控えるべきでしょう。

使用しているバージョンにもよりますが、一般公開されているAIチャットボットの中には、次世代モデルをトレーニングし、より精度の高い回答を生成するために入力された情報を学習データとして使用するものもあるので注意が必要です。

モデルがあなたの入力した個人情報を記憶し、それが学習データとして使われることで、後日別のチャットボット利用者への回答の中で記憶されたあなたの情報が出力されてしまう恐れがあります。

チャットボット運営側に対するデータ侵害(=脆弱性を突いた不正なサーバーアクセス)が発生した場合も、あなたが入力して記憶された情報が流出してしまう可能性があります。

私自身はAIチャットボットを公開書簡ないし投函した後に公開されるはがきのように扱っています。多くの人の目に触れるはがきや手紙に書かない情報は、一般公開されているAIチャットボットにも入力しません。

自分の入力した内容がトレーニングデータとしてどのように扱われるのか、常に適切に対処してもらえる確信が私には持てないのです。

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一般公開のチャットボットに注意

広く一般公開されているツールを使っているのか、それともエンタープライズ(企業)向けの主に従業員が利用するツールを使っているのか、AIの利用環境を把握しておくのも重要です。

一般公開されているAIモデルの場合、やり取りがどのように使われるのか不透明ですが、エンタープライズ向けモデルの場合、従業員とのやり取りを学習データとして使うことは基本的に想定されていないので、業務や社内プロジェクトのような機密性の高い情報を入力しても(大枠)問題ありません。

言ってみれば、誰に聞かれるか分からない混雑したカフェでの会話と、オフィスの会議室で行われる社内ミーティングとでは、情報の機密性が全く異なるのと同じです。

実際、従業員が社外秘のデータを「ChatGPT」にうっかり入力してしまった事例、具体的には韓国・サムスン電子(Samsung Electronics)に勤務するエンジニアが社内使用しているソースコードをグーグルの「Bird(現在のGemini)」にアップロードしたケースをブルームバーグが報道しています。

未発表の社内プロジェクトに関与している方、特許取得を目指す開発事業に取り組んでいる方なら、情報漏洩のリスクがあることを踏まえて、エンタープライズ向け以外のチャットボットと計画や案件についてやり取りするのは避けるのではないでしょうか。

私自身もグーグル社内で取り組んでいるプロジェクトに関して一般公開されているチャットボットとやり取りすることはありません。ビジネスメール作成のような些細な作業でも(エンタープライズ向けの)社内チャットボットを使います。

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「チャット履歴」は盲点

一般的なAIチャットボットではチャット履歴が保存されますが、長期的なプライバシー保護の観点から、定期的にそれらを削除することをお勧めします。

アカウントへの不正アクセスのリスクが存在する以上、自分はチャットボットには個人情報を入力していないと自信がある方でも、漏洩の予防策としてクセをつけておくのがいいと思います。

以前、エンタープライズ向けのGeminiとやり取りしていて、自分の正確な住所を言い当てられて驚いたことがあります。もちろん普段から注意しているので住所を入力した記憶はなかったのですが、よく調べてみたら、住所の記載されたメールの推敲をGeminiに依頼していたことが判明しました。

なお、チャットボットに記憶させたくない検索や調査を行う時もあると思いますが、その場合、私は「一時(temporary)チャット」機能と呼ばれる、履歴が保存されず、入力した情報が学習データとして使われることもないシークレットモードをオンにしてから作業をします。

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できるだけ知名度の高いツールを

広く知られて知名度が高く、明確なプライバシーフレームワークや十分なセキュリティ対策が整備されているAIツールを選ぶことも大事です。

私は自社製品以外にオープン(Open)AIのChatGPTやアンスロピック(Anthropic)の「Claude」も使っています。

使用するAIツールのプライバシーポリシーを確認するのも非常に有用です。モデルのトレーニングにあなたのデータがどう使われるのか詳しく説明が書かれている場合もあります。

また、プライバシーやセキュリティに関する設定画面を開き、「全ての人のためにモデルを改善する」といった項目がある場合、その設定をオフにすれば、あなたとAIモデルのやり取りはトレーニングに使われなくなります。