今週、エブリィでは、今年1年の県内の出来事をシリーズで振り返ります。1回目のきょうは、発生から間もなく2年となる能登半島地震からの復旧の現状です。住宅被害が大きかった地域では住民の転出が相次ぎ、街の再生が大きな課題となっています。梅本記者のリポートです。

梅本晃弘記者
「地震から2年になりますが、こちらの通りでは、地震の時のつめ跡が今も残っています」

能登半島地震の液状化で排水路が隆起し、住宅が沈下した高岡市吉久地区です。現在も、住宅の玄関先にはおよそ50センチの段差が残ったままです。

生活排水管の復旧工事は年末までにほぼ完了し、来年は雨水の排水路や水道管、側溝の整備と道路の舗装が行われ、復旧工事が終わる見通しです。50センチの段差も来年、解消される見込みです。

しかし、この通りを中心とした吉久1丁目の第一町自治会では、地震の影響で世帯数の3割近い10数軒が転出しました。

この通りに住む串岡弘昭さん(79)は、一日も早い復旧を願っています。

串岡弘昭さん
「なったことはもう仕方ありませんので。まあ新しい年に期待しているという段階ですね」

去年の元日、県内で震度5強を観測した能登半島地震。

液状化などによる県内の住宅被害は、氷見市で6770棟、高岡市で5490棟など2万2800棟以上、このうち全壊は258棟です。

今月、射水市の住宅地で、県内初となる液状化対策の実証実験が始まりました。

射水市港町では、地表から60センチのところまで地下水がたまっていることが市の調査でわかっています。市は対策として、地下水をしみこませる管を3.5メートルの深さに埋め、集めた水をポンプでくみ上げる「地下水位低下工法」を採用する方針で、地盤沈下などの影響を検証します。

実証実験を了承した地元の自治会長は、地域の将来に不安は残るものの、前に進みたいと話します。

古新町西部自治会 佐竹正会長(76)
「生活再建のために今アパートに暮らしている人たちも、できれば昔からおった親の土地、町内やから、とにかく帰ってきたいという人がおられる。(実証実験が)いい結果になって、明るい町づくりに向けてやれればいいのかなと」

県内のほかの市でも液状化対策としてこの「地下水位低下工法」が採用される見通しです。

液状化対策をめぐっては、維持管理費の住民負担が課題となっていましたが、今年10月。

氷見市 菊地市長
「地下水位低下工法を実施する場合のポンプの電気代などの維持管理費について、住民負担を求めないということで、意見が一致いたしましたので」

氷見市や高岡市など県内5つの市は住民負担を求めないことで足並みをそろえました。

また、氷見市では今年、災害公営住宅の建設が始まりました。市内3か所にあわせて69戸を整備する計画で、来年3月に入居者を決める方針です。

氷見市によりますと、公費解体は申請980棟のうち、先月末時点で96パーセントにあたる894棟が完了しました。

住民の転出が相次ぎ、様変わりした市街地をどう再生していくかが大きな課題です。

こうした中、氷見市では、復旧とまちづくりを考える検討会議が開かれ、学識経験者や経済界、被災地区の住民らが出席しました。

金沢工業大学 蜂谷俊雄教授
「地域の方が共通の目標、夢を持つことが重要ですよね。みんなバラバラの方向に走ったら、結局どこにも進まなかったみたいになる」

会議では、被害の大きかった氷見市北大町の将来像として、散策路の整備や、ひみ番屋街と連携した簡易型ホテル、シェアオフィスなどが提案されました。

参加した住民は、今後の方向性について一定の案が示されたことに意義があると話していました。

一方、高岡市では、公費解体は申請398棟のうち、およそ9割が終了し、今年度末の完了を目指しています。

高岡市は、出町市長をトップに新たに復興会議を立ち上げ、2027年度から10年間の新たな計画づくりを始めました。

高岡市 出町市長
「震災の前と同じように戻すのか、そうじゃなくて新しい絵柄を描くのか、そんなことも今後議論していく」

公費解体によって更地が広がる高岡市吉久地区。これからも住み続けたいと話す串岡さんは、地域のつながりを懸念します。

串岡弘昭さん
「お年寄り2人とか、たった1人で住まわれているとか、そんなような家もだんだん多くなってくる。話す相手もいないというようなことは、やっぱり非常にこのコミュニティーが衰えているかなという感じは受けるわけですよね」

どうすればコミュニティーを維持していけるのか。高岡市吉久の第一町自治会では、住民が参加するレクリエーションの開催のほか、中止となっている新年会の再開などを検討しています。

復旧の先にある地域の将来像をどう描くのか。そして、人のつながりをどう取り戻すのか。模索は続きます。

あすは、価格高騰が暮らしに影響し、政府の対策にも注目が集まったコメについて、1年を振り返ります。