政府の2025年度補正予算が12月16日、参議院で自民党と日本維新の会に加え、野党の国民民主党、公明党などによる賛成多数で、原案のまま可決、成立した。

 本会議に先立つ予算委員会で、高市早苗首相は、2026年度診療報酬改定にあたって入院と外来でメリハリをつけるべきとの提案に対し、「病院と診療所、それぞれの置かれた状況を丁寧に見て、地域で必要な医療が確保されるよう検討していく」との考えを表明している。また、「診療報酬の大幅プラス改定」への決意を求められると、首相は「材料費なども含む物価、人件費などを適切に対応し、医療が持続可能性を持てるように取り組む」と答弁した。

 補正予算では、賃上げ・物価上昇への対応のほか、病床数削減への支援などを行う「医療・介護等支援パッケージ」1兆3649億円を盛り込んだ。衆議院では12月11日に可決していた(『2025年度補正予算案が衆院可決、医療・介護等支援で1兆3649億円』を参照)。厳しい経営環境にある医療機関への支援として、2026年度診療報酬改定の改定率が次なる焦点になる。

上野厚労相、医師派遣手当は診療報酬と切り離して検討

 日本維新の会の新実彰平議員は、病院は赤字、無床診療所は黒字であり、利益率に差があると指摘した。現役世代の社会保険料負担軽減のためにも、2026年度改定では入院医療に手厚く、診療所の外来医療については現状維持あるいは減額するなど、メリハリをつけるべきだと迫った。

 これに対し、高市首相は、「インフレ下における医療給付のあり方、現役世代の保険料負担の抑制、これらの整合性を確保しながらも、病院と診療所のそれぞれが置かれた状況を丁寧に見る」と応じた。その上で、「いずれも地域医療において大切であり、地域で必要な医療が確保されるように検討していく」と答弁した。

 新実議員は、今臨時国会で成立した医療法改正についても質した。重点医師偏在対策支援区域への派遣医師・従事医師への手当に社会保険料が充当され、かつ医療給付費の中で一体として考えるとされている。そのため、外来の診療報酬は引き下げ、医師手当に充てるべきだと主張した。

 上野賢一郎厚労相は、診療報酬で対応した場合は、当該地域の患者負担を招くことになると説明。そのため、保険者からの拠出により対応することとしたという。また、診療報酬と医師手当は、財源、目的、受け取り手が異なることから、「この医師手当事業によって診療報酬を代替することには、慎重な検討が必要だ」と答えた。さらに、医師手当事業の規模は100億円であり、診療報酬全体とは財政規模の桁が違う話であるとも付け加えている。

「診療報酬の大幅プラス改定」の決意を問われる場面も

 立憲民主・社民・無所属)の徳永エリ議員は、「なぜ病院の経営がここまで厳しくなったのか」とその原因を質した。厚労省医政局長の森光敬子氏は、医療機関が物価や賃金の上昇等の厳しい状況に直面しているとの認識を示した。2025年度補正予算の「医療・介護等支援パッケージ」において、約1.4兆円規模を措置したと説明。

 続いて徳永議員は、病床数適正化支援事業について、1.1万床の支援想定に対して5.4万床の申請があった点を指摘。「支援が不足だったのでは」と疑問を呈した。

 これに対し上野厚労相は、当初予想よりも相当多くの要望があったことは承知しているとし、2025年度補正予算で措置したと応じた。

 さらに、徳永氏が「診療報酬の大幅プラス改定」への決意を高市首相に問うと、首相は「材料費なども含む物価、人件費などを適切に対応し、医療が持続可能性を持てるように取り組む」と答弁した。

「医療・介護等支援パッケージ」で約1.4兆円

 「医療・介護等支援パッケージ」では、賃上げ・物価上昇への対応として5341億円を計上した。国の全額補助として、病院に1床当たり19.5万円をベースに、救急車受入件数などに応じて加算した額を支援する。迅速に執行するため、都道府県を介さず、国が直接支援する。無床診療所には1施設当たり32万円。有床診療所は1床当たり8.5万円を、それぞれ都道府県を介して支援する(『厚労省補正予算案、病院に1床19.5万円、診療所に1施設32万円を支援』を参照)。

 その他、病床数適正化支援事業について、3490億円も盛り込んだ。削減病床1床当たり410万円を支援する。2024年度補正予算からスタートした同事業は、既に約1.1万床が対象となった(『病床削減の支援対象は4108床、第1次と合わせ1万1278床』を参照)。自公維新の6月の「三党合意」では約11万床削減を目指すとされた。厚労省は地域の実情を踏まえた調査を行った上で、不可逆的な措置を講じつつ、2027年度からの新たな地域医療構想までに削減を図る構えだ。

(2025年度補正予算案、厚労省資料)