
介護の“孤独”を断ち切れ! 介護者支援の集いが10年目 弁護士ら80人が問い直す“真のSOS” 新潟
2016年に新潟県内で発生した介護殺人事件を機に始まった「介護者の支援を考える集い」が10年目を迎え、主催した弁護士らは、事件の背景にあった“介護者の孤立と絶望”を教訓に、制度の穴と心の壁を越える支援のあり方を問い直しました。
「制度はあっても知られていない」事件の教訓
新潟市中央区で11月29日に開かれた集いには介護支援者など約80人が参加しました。集いでは、弁護を担当した平哲也弁護士と佐藤慎之助弁護士が事件を振り返りました。
弁護を担当した平哲也弁護士(左)と佐藤慎之助弁護士
平弁護士は当時を振り返り、「支援制度は確かに存在するが、“一般に周知されておらず、本人が知らない”ために利用できていないのが大きな問題点だった」と指摘。
佐藤弁護士は、当時の弁論で「在宅介護サービスを利用すれば何とかなったと言い切って良いのか。介護の選択はそれほど敷居の低いものだろうか」と、社会の無関心に訴えかけたといいます。
検察側が「制度があるのに使わなかった」と主張しがちな一方で、弁護側は「届いてほしい思いが完全には達成できなかった」という裁判後のモヤモヤが、この集いへと繋がったと明かされました。
28年で3人を介護した女性が訴えた「世界からの見捨てられ感」
認知症の人と家族の会新潟県支部代表の金子裕美子さんは、義理の親、夫、実母の30年近くにわたる介護経験を講演。
認知症の人と家族の会 新潟県支部の金子裕美子代表
特に新型コロナウイルス禍で自身が感染症を患って入院を勧められた際、要介護の家族を抱え帰宅を余儀なくされ、「一番辛い時に誰も助けてくれない。このまま死ぬしかないのか」と真剣に考えた絶望的な孤独感を吐露しました。
しかし、その絶望の淵で、ケアマネジャーの交渉により、防護服姿のヘルパーが毎日1時間、支援に駆けつけてくれたのです。
「『私は世界から見捨てられていなかった』と心底思えた。誰かが気持ちを分かってくれることが、本当に力強い支えになる」と金子さんは語り、制度だけでなく「人との確かな繋がりと具体的な支援」の重要性を訴えました。
「声を上げられない人にどう届けるか」
こうした経験を踏まえ、集いでは、孤立する介護者への具体的な支援を考えるグループワークが行われました。
参加者によるグループワーク
参加者からは「Aさんの立場に立つと、自分からは相談できない」という意見が多数出た一方で、まず地域包括支援センターや地域の民生委員など、“敷居の低いところ”から繋ぐべきだとの提言が相次ぎました。
会を主催した佐藤慎之助弁護士は「自ら声を上げられない方にどう支援を届けるかが、本当に難しい課題。この集いを続けることで、今後も支援の輪を広げていきたい」と話し、11年目以降の決意を新たにしていました。
