ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.11.28 15:11

2020年1月20日、武漢から入国した中国人女性が韓国国内で初めて新型コロナ感染の判定を受けた。そのニュースが後に韓国国民3500万人余りを感染させ、3万5000人以上の命を奪うマンモス級災難の信号弾になると予想した人はほとんどいなかった。1カ月後の2月、大邱(テグ)新天地教会で集団感染が発生すると、人々の不安は恐怖に変わった。中国人、新天地教会の信徒、大邱(テグ)・慶北(キョンブク)居住者がすぐに恨みと軽蔑の対象となった。感染者の「動線公開」と「透明性」という名の下、個人の私生活が無防備に露出した。罪を犯したわけでもないが、感染者と密接接触者は人々の視線を避けて過ごさなければならなかった。共同体が長く築いてきた信頼と結束が揺らいだ。2020年4月23日、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「コロナパンデミック(大流行)は公衆保険の危機であり人権の危機」と警告した。

21世紀に入って感染病は大流行を繰り返してきた。SARS(重症急性呼吸器症候群、2003年)、新型インフルエンザ(2009年)、エボラ出血熱(2014年)、MERS(中東呼吸器症候群、2015年)まで。さらに遡って数千万人の命を奪った1918年のスペインかぜ、人口の3分の1が消えた14世紀の欧州の黒死病、そして古代アテネを襲った疫病まで歴史は感染病の軌跡を記録している。新型コロナの伝播速度はこのような過去の伝染病と比較して異例に速かった。人々の移動経路に沿って短期間に世界に広まった。このため新型コロナは国際社会が共同対応するべき全地球的危機という認識が早くから形成された。

◆オンライン授業プラットホームも普及

政府は「社会的距離(ソーシャルディスタンス)」に命運をかけた。集団主義的生活方式を重視してきた共同体の長い慣習に逆行する措置だった。前例のない孤立感が社会全体を覆った。低所得の高齢者など脆弱階層は大きな苦痛を経験した。

社会的距離は零細業者や自営業者に特に過酷なものだった。生存の危機の前で廃業と極端な選択が続いた。実際、2021年9月12~14日のわずか3日間に少なくとも20人が極端な選択をしたという報道もあった。

若者は断絶と孤立に直面した。友人と会って異性と交際する当然の機会までも断絶された。特に今年23歳となる2002年生まれワールドカップっ子たちは感染病の流行により人生と生活に大きな影響を受けた代表的な世代だ。小学校入学直前に新型インフルエンザが流行し、中学生時代にはMERSのため休校が続いた。高校3年になると新型コロナが広まった。大学生になった後、キャンパスはオンライン講義と「ズーム大学」に変わり、あらゆる行事が消えた。登校と休校が繰り返される環境で成長し、非対面生活の経験が身についた。この世代の生活は一人で歩んでいく孤独な旅程に近かった。交流して助け合いながら共に成長する方式とは距離があった。

学習の場所が教室でなくオンラインとなり、新しい教育プラットホームも誕生した。オフラインの学習塾が閉鎖され、少数(10人前後)を対象にしたリアルタイム講義授業プラットホームが登場した。一部は「大峙洞(テチドン)学習塾の授業を済州(チェジュ)でも」と宣伝しながら生徒を引き込んだ。有名講師の授業を全国どこでもリアルタイムで聞くことができる新しいプラットホームの登場をめぐり、パンデミック事態が学習権の拡大をもたらしたという主張もある。しかし長時間の非対面学習により集中力低下や頭痛を訴える生徒も多く、学習効果の側面でマイナスという指摘も多い。また、1対1の家庭教師と似た形式の授業は単純なVOD視聴よりはるかに多くの授業料を要求した。新しいプラットホームに対応できない環境の低所得層の子どもには学習権の拡大でなく、さらなる疎外として感じられた。

会社員も会食と対面会議を中断し、事務室勤務と在宅勤務を行き来しながらニューノーマルに適応した。2023年にパンデミックが収束して事務室勤務が再開した時、会社員は安堵感の中でぎこちなさを感じた。一部の人にとって、事務室出勤と会食の再開は自律の回復というより他律への回帰と感じられたかもしれない。対面文化と集団協力に慣れている上の世代は「バック・トゥー・ザ・オフィス」を、個人生活を慣れている若い世代はハイブリッド勤務を好みながら、職場業務に再び適応していった。

スタンフォード大経済学科のニコラス・ブルーム教授によると、完全な在宅勤務は生産性を5~20%ほど低めるかもしれないが、ハイブリッド勤務は事務室勤務と似た水準、むしろ向上した効果をもたらすという。メタやグーグルなどグローバルIT企業がコロナ収束後にもハイブリッド勤務を維持する理由だ。会食文化も変わった。会食が減り、1次で終わるケースが増えた。感染病事態以降、周囲の反応を気にせず会食から抜ける若い会社員の自己決定権も相対的に強まった側面がある。

消費と労働の風景も早くから変わった。非対面消費を基盤とするeコマースが急激に成長し、消費と流通全般に革新が生じた。マートからオンラインプラットホームに移動した消費者はさらに便利で迅速な配達のために財布を開いた。この過程で人々が何を買い物かごに入れるのか、どこからどこに移動するのかがすべてオンラインに記録され、ビッグデータ、さらにAI学習データとして蓄積され始めた。しかしその裏には宅配運転手などの過労、安全問題、ストレスが社会的な懸念に浮上した。

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