こころにまつわる遺伝とその仕組み

知能への遺伝の影響は成長とともに高まり、学業成績の個人差は8割が遺伝と家庭環境で説明されます。この結果は、親のサポートが学業成績を左右することを示唆しています。

今回は、行動遺伝学者の安藤寿康先生監修『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』(日本文芸社)を一部抜粋してご紹介いたします。

親が知っておくべき、遺伝と環境が子どもの知能・学業に与える影響を深掘りします。


知能は遺伝で決まるのか?


双生児法で知能への影響を調べる

遺伝や環境は知能にどのくらい影響しているのでしょうか。行動遺伝学の双生児法をもとに検証してみましょう。下のグラフ(知能と学業の双生児相関係数)はIQテストや学業成績の一卵性と二卵性の相関係数を比べたもの。(知能と学業への遺伝・共有環境・非共有環境の影響の割合)はそこから算出した、遺伝、共有環境、非共有環境の割合を示したものです。見てのとおり、知能への遺伝の影響は大きく、IQは成長とともに上昇していき、逆に共有環境(親や家庭の影響)の影響は減少しています。これは自立して親や家庭の影響が薄まることで、本来持っている遺伝的素質があぶり出されてくることを意味しています。

学業成績の場合も、おおむね50%は遺伝の影響があり、共有環境が30%、非共有環境が20%程度です。欧米と比べて、日本は算数や数学への共有環境がやや大きいという傾向がありますが、これはそろばんや公文といった、わが国特有の習い事の存在が関係しているのかもしれません。

共有環境の影響があるということは、親次第で学業成績が変わることを意味します。子どもからすれば、自身の遺伝的資質も家庭の環境も自分ではどうしようもないものですが、それで学業成績の個人差の8割が説明されてしまうのです。それでもなお子どもに過剰な努力を強いるなら、それは教育虐待になりかねないのです。


次のページ

親の育て方は子どもの性格に影響しない!?