座席をフルフラットにして「横になって寝ながら移動できる」夜行高速バスがいよいよ12月から本格運行をスタートします。国内初のフルフラットシートをメイドイン高知で開発した、その思いを聞きました。

今年10月、東京で開かれたバスイベント。全国30社以上のバス関連企業が出展する展示会で注目を集めていたのは高知駅前観光のバスです。外観は普通のバスですが、中に入ると…ずらりと並ぶ2段のフルフラットシート。国内初の「横になって寝ながら移動できる」シートを備えた高速夜行バス、その名も「フラットン」がいよいよ12月6日から高知・東京間の本格運行をスタートさせます。

■体験者
「すごいこれ!トラックの後ろみたい」「意外とふかふかで、立てないというのはあるが4方向向ける。確かにこれだと楽はできるかなって感じ」

フルフラットシートを開発した高知市にあるバス会社高知駅前観光です。車庫には本格運行開始を待つ車両が。社長の梅原章利さんです。

■高知駅前観光 梅原章利社長
「本格的な運行を開始するということで一層身が引き締まる思い」

開発のきっかけは約10年前、座席数を減らさずにフラットにするには「上下2段にすればいい」という梅原社長の父・國利会長のひらめきでした。ただ前例のない取り組みに、国内の座席メーカーからはまったく相手にされなかったといいます。

■梅原章利社長
「門前払いというか相手にされなかったというぐらい。しっかり検討していただいてダメだねという話でもなかった。発想が奇抜過ぎてちょっとビジネスとしてそれに乗っかることはできないよというような考えだったのではないのかなと記憶している」

ならば自分たちでつくるしかないと県内の企業に声をかけ、南国市の機械メーカー・垣内と高知市の模型製作会社サーマル工房と共同開発をスタート。試行錯誤を繰り返し完成した新型シートは今年1月、県内で披露されフランス語で「深い眠り」を意味する「ソメイユプロフォン」と名づけられました。

■高知駅前観光 ソメイユプロフォン統括責任者 本多敦史さん
「ここまで結果たどり着けたというのは本当に奇跡に近いというか。メイドイン高知でやれたというのは非常に我々としても嬉しい」

統括責任者の本多敦史さんは限られたスペースのなかで快適性や疲労感の軽減に力を注いだといいます。

■本多敦史さん
「決まっているサイズ感。法定で決まっているサイズなどがあるので、そういったもののなかにクリアしながらいかにお客様が窮屈でないようなかたちにするというのが一番の目標、大変だった」

開発したシートは幅48センチ長さ177センチ、下段と上段のシートの空間は51センチ。快適性はもちろん、シートの進行方向脚側に900キロの力に耐えられる転落防止プレートと衝撃吸収材を設置するなど国土交通省のガイドラインに沿った安全対策も施されています。
フルフラットシートはどのように受け取められるのか高知駅前観光では今年3月から8月まで高知と東京のモニター運行を21往復して利用客の声を集めました。

■梅原章利社長
「見た目的にはすごく狭そうなんだけれども、乗ってみたらすごく快適とか、ものすごくぐっすり寝られたというような意見が一番印象に残っている」

収納ネットを設置するなどこれまでの座席がより快適になるよう改良を進めながら、高知駅前観光は新型のシートを開発。10月の東京のイベントで発表していました。新型はシートの長さと幅をいずれも5センチ拡大して快適性をアップさせたほか、フレームの構造も見直して出入りがしやくなっています。

■見学者
「これ確かにいける。(上段は)ちゃんと座れる」「絶対寝られるよ、これ!狭い狭い言ってる人もいたけど寝られる自信ある」

新型シートを導入した車両は来年1月中に運行を開始する予定で、春には新型シートの車両を2台に増やしての運行を目指しています。外国人観光客の増加などで東京の宿泊料金が高騰するなかなるべくお金をかけずに移動する手段として人気の高速夜行バス。高知の企業が開発したフルフラットシートが夜行バスの新しい移動スタイルを生み出します。

■梅原章利社長
「知恵と情熱があれば地方からでも素晴らしいものは発信できていくんだよということが証明できたと思っているので、それは非常に誇りに思っている。これがスタートだと思っているので、まだ何も成し遂げたところまではいっていないので、これからどんどんこのフラットシートというようなものが日本の皆さんに使っていただいていろんな声をいただきながら、さらに良いものになっていったらいいなと思っている」

高知と東京を結ぶ高知駅前観光の高速夜行バス「フラットン」は、12月6日に運行開始です。

料金は平均で1万5000円 予約は『発車オーライネット』より