大阪中之島美術館(大阪市北区)が2026年の企画展スケジュールを発表しました。
2026年度(2026年1月~2027年3月)については、「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」をはじめ、アートシーンの最前線で活躍するアーティストを特集した現代美術展から、「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画」など美術史に残る名品が揃う大型展まで、全部で7つの展覧会が予定されています。そこで、これらの展覧会の概要と注目作品をまとめました。
大阪中之島美術館
所在地:〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4丁目3-1
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
開場時間:10:00-17:00(入場は16:30まで)
※詳細は、各企画展のページを参照
問い合わせ:06-6479-0550
詳しくは美術館公式サイト(https://nakka-art.jp/)へ。
拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ
12月13日~2026年3月8日
1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけた動向であるシュルレアリスム(超現実主義)は、無意識や夢に着目した、フロイトの精神分析学に影響を受けて発生しました。当初は文学における傾向として起こったものですが、徐々にその影響は拡大し、オブジェや絵画、写真・映像といった視覚芸術をはじめ、広告やファッション、インテリアへと幅広い展開をみせました。芸術的革命をもたらしたシュルレアリスムは、政治的要素をも内包する一方、日常に密接した場面にも拡がりをみせ、社会に対して政治、日常の両面からアプローチしたといえます。圧倒的存在感をもって視覚芸術、ひいては社会全体へと拡大したシュルレアリスムを、表現の媒体をキーワードとして解体し、シュルレアリスム像の再構築をめざします。
ルネ・マグリット 《王様の美術館》1966年 横浜美術館
サラ・モリス(仮称)
2026年1月31日~4月5日
ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、サラ・モリスは、大都市の風景を平面へと変換した抽象絵画や、それを建築的に展開させたパブリックアート、都市の生態を切り取った映像作品など、多岐にわたる創作活躍を続けています。それらの作品は、華やかな都市生活に隠された政治経済といった社会構造を表しています。
大阪中之島美術館は、サラが2018年に大阪を舞台に制作した映像作品《サクラ》と、その撮影にインスパイアされた絵画作品《サウンドグラフ》シリーズ等を収蔵しています。本展はこれら近作にくわえ、彼女の代表作である都市名を冠した幾何学的な絵画や初期作品、これまでの映像作品を一堂に紹介します。本展は、サラ・モリスの日本初の美術館での回顧展としてふさわしい充実したものと言えるでしょう。
サラ・モリス 《社会は抽象的であり、文化は具体的である [サウンドグラフ]》2018年 家庭用アクリル塗料 カンヴァス 214×428cm 大阪中之島美術館 © Sarah Morris
没後50年 髙島野十郎展
2026年3月25日~6月21日
髙島野十郎(1890–1975)は、「蝋燭」や「月」などを独特の写実的筆致で描く福岡県久留米市出身の洋画家です。没後50年の節目に開催する本展は、代表作はもちろんのこと、初公開も含めた約150点を展示する過去最大規模の回顧展で、大阪では初めて開催されます。「孤高の画家」と呼ばれてきた野十郎の芸術が形成されたルーツを遡り、青年期や滞欧期の作品など、従来の展覧会ではそれほど大きく取り上げられることがなかった部分にも焦点を当て、その芸術の真髄に迫ります。
髙島野十郎《蝋燭》 大正時代(1912-26)福岡県立美術館
髙島野十郎《からすうり》 昭和10(1935)年 福岡県立美術館
髙島野十郎《睡蓮》昭和50(1975)年 福岡県立美術館
驚異の部屋の私たち、消滅せよ。-森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ -
2026年4月25日~6月28日
メインビジュアル
「関西ニューウェーブ」を代表する森村泰昌、ヤノベケンジ、やなぎみわが大阪中之島美術館に集結!国際的に活動しつつも一貫して「カンサイ」を拠点とし、時に交錯してきた彼らが、2026年、万博のポストイヤーに再び邂逅します。なぜこの3人が集まるのか。そのタイトルは何を意味するのか。さらには、「消滅せよ。」という言葉の先には何があるのか。
新作を中心に構成される本展は、同時に作家それぞれのこれまでの活動が凝縮された「驚異の部屋」となります。ときに協働し、ときに衝突しながら、絶対的に孤独な表現者として個々の作品世界を美術館という舞台でぶつけ合います。美術とは何かという根源的な問いに立ち向かう3人が、展示室をひっくり返す──そんな関西アートシーンのクライマックスがここに開幕します。
森村泰昌
ヤノベケンジ
やなぎみわ
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カール・ヴァルザー展(仮称)
2026年7月4日~9月27日
カール・ヴァルザー(1877–1943)は、20世紀のスイスの美術家です。スイスのベルン近郊の町ビール(ビエンヌ)に生まれ、20歳代よりドイツのベルリンに滞在し、同地で当時最先端の美術団体であったベルリン分離派に加わります。
その一方、演出家マックス・ラインハルトのもとで舞台美術を手がけ、弟で文筆家のローベルト・ヴァルザーの著書に挿絵を描くなど、多方面で活躍しました。後半生は祖国スイスに居住し、壁画や室内装飾で評価を高めます。1908年には日本を旅行し、京都の宮津をはじめ日本各地の風景や風俗を描いています。本展は日本初の個展として、初期の象徴主義的な油彩画から晩年まで、日本での作品を含めて、広くその画業をご紹介します。
カール・ヴァルザー《婦人の肖像》 1902年 ゴットフリート・ケラー財団(新ビール美術館寄託)
カール・ヴァルザー《少女と、人形の乳母車》 1905年以前 新ビール美術館
カール・ヴァルザー《森》1902-1903年 新ビール美術館
カール・ヴァルザー 《歌舞伎女形(傾城阿古屋)》 1908年 ベルン美術館 ©︎Kunstmuseum Bern
NHK日曜美術館 50年展
2026年10月10日~12月20日
NHK「日曜美術館」は、1976年の放送開始から2000回を超える長寿番組です。2026年に50年を迎えるにあたり、番組のこれまでの歩みと、登場した美の魅力を伝える展覧会を開催します。
本展では、古代から現代美術に至るまでの、番組を彩ってきた数々の名作・名品を、5つの章でご紹介します。あわせて、番組の出演者たちがつむいできた時代を超えて響く言葉も、過去の放送から厳選して上映します。さらには、最新技術で可能となった高精細映像も組み合わせて、美と人を繋いできた「日曜美術館」の歴史をご覧いただけます。
アルベルト・ジャコメッティ《鼻》1947年 大阪中之島美術館
松本竣介 《鉄橋近く》 1944年 岩手県立美術館
伊藤若冲 《石燈籠図屏風》六曲一双 右隻 18世紀 京都国立博物館 ※半期展示
大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画
2026年10月31日~2027年1月31日
1753年に開館した大英博物館は、世界を代表するミュージアムのひとつです。同館の日本美術コレクションは、海外では最も包括的と評されるほど量・質ともに充実しています。そのコレクション形成を支えてきたのは、ジャポニスムが流行した19世紀末以来、海を隔てた異国の地・日本の文化に魅了された人々でした。数々の収集家や学芸員が築いたつながりは、国境や時代を越えて広がり、今日まで受け継がれています。
喜多川歌麿 《文読む遊女》 1805-1806年 大英博物館 © The Trustees of the British Museum 2026
円山応挙 《虎の子渡し図屏風》 1781-1782年 大英博物館 © The Trustees of the British Museum 2026
葛飾北斎 《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 1831年 大英博物館 © The Trustees of the British Museum 2026
本展では、4万点に及ぶ同館の日本美術コレクションから、喜多川歌麿の貴重な肉筆画「文読む遊女」や円山応挙「虎の子渡し図屏風」、葛飾北斎「万物絵本大全」挿絵素描など、日本初出品を含む江戸時代の屏風、掛軸、絵巻の絵画作品と、歌麿、写楽、北斎、 広重など代表的な8人の浮世絵師による版画を中心に、優れた作品を厳選してご紹介いたします。
2026年は、15-16世紀から近代、現代までの美術、そしてファッションやマンガなど、多彩なジャンルの展覧会を予定。同館における2026年度のテーマは「多様な美術表現」と「女性のクリエーション」。企画展ごとにテーマが多彩に変わり、訪れるたびにさまざまな視点から新しい発見や感動を味わえそうで楽しみです。(美術展ナビ)
