フィリップ・トルシエインタビューの第3回である〈第1回、第2回からつづく〉。

「日本はサッカー大国の仲間入りを果たした」とトルシエは言う。日本人にとっては心地のいい言葉であり、自尊心を擽られる言葉でもある。ではその真意はどこにあるのか……。

 日本が進化を続けているように、世界サッカーも日進月歩で進化し続けている。どちらのスピードが速いのか。その世界の進化の中で、今の日本はどの位置に立ち、次にどこを狙っていくのか。さらには11月シリーズにも招集された、未来を背負って立つ新たな世代の有望株は誰か。

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 トルシエが語り続けるのは、日本の現状を見据えたうえでの次なる一歩である。だからこそトルシエの言葉には説得力があり、私たちが耳を傾ける価値がある。

あのミスがなければ0-4、0-5だったかも

――敗戦後、ブラジルのアンチェロッティ監督は〈敗北は深刻に受け止めるし改善すべき点も多いが、W杯のためにこれからも選手をテストし続ける〉と言っていました。

「森保一監督は何と言ったのか?」

――まず試合前の指示が少し曖昧で、選手たちに真意が十分に伝わらなかったので、そこをハーフタイムに修正したということです。

「私が気になったのは、3バックを採用して堂安を右サイド、中村敬斗を左サイドに置いたことだった。それによりプレー構築が可能になりボールも保持できたが……それでも前半は日本の方が、ブラジルよりも野心的だったと言わざるをえない。中村と堂安をサイドに置くのは、少なくとも60%はボールを保持したいという意志の表れであるからだ。

 ブラジルを相手にしたとき、どこもより慎重になる。守備的に5人のDFを配置し、トランジションでも攻撃に加わるのはせいぜい3、4人だ。しかしCB3人に加えて中村と堂安のサイドという布陣は、相手ゴール前に人数をかけて得点を取りに行く姿勢を示している。それはちょっとやりすぎで、戦術的にもう少し考えた方がいい。もしもあのディフェンダーのミス(52分、ファブリシオ・ブルーノ)がなければ、日本は0−4か0−5で負けていたかもしれないからだ」

――そうかもしれません。

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