トップニュース花俊雄氏の視点:民進党が静かなら台湾は平穏、米日も手を出せない状況元アメリカ副国家安全保障担当補佐官マット・ポッティンガー氏が「信託投資者セミナー」にて、中国が全面戦争を起こさずとも、経済や行政手段で4年以内に台湾に深刻な危機を引き起こす可能性があると警鐘を鳴らした。(写真/蔡親傑撮影)

元アメリカ副国家安全保障担当補佐官マット・ポッティンガー氏が「信託投資者セミナー」にて、中国が全面戦争を起こさずとも、経済や行政手段で4年以内に台湾に深刻な危機を引き起こす可能性があると警鐘を鳴らした。(写真/蔡親傑撮影)

米ホワイトハウスで台湾や中国大陸を含むアジアの外交・軍事政策を担当した元国家安全保障副補佐官、マット・ポッティンジャー氏は、9月3日の北京での閲兵を目にした後、スタンフォード大学で開かれた「フィデューシャリー・インベスターズ・シンポジウム(Fiduciary Investors Symposium)」で講演し、「中国は武力を用いずとも台湾海峡の危機を引き起こし得る」と警鐘を鳴らした。中国が全面戦争に踏み切らなくても、今後4年以内に台湾で「深刻な危機」が生じる可能性があるとし、「これはトランプ米大統領をはじめ多くの指導者の睡眠を奪うだろう」と述べた。

ポッティンジャー氏は、熱戦に至らずとも北京が台湾を追い詰める手段はいくつもあると指摘。その一例として、世界の主要船社に対し「台湾寄港には北京の同意が必要」と通告するシナリオを挙げた。これが実行されれば海運各社は板挟みになり、台湾を主権国家と見なす立場を放棄するか、あるいは中国本土との取引を失うかの選択を迫られる。後者を選べば、多くの海運企業が倒産の危機に直面しかねないという。また同氏は、解放軍が台湾を奪取すれば第一列島線の地理的制約から解放され、日本を効果的に包囲して「総合的な防衛構想」を麻痺させ、さらには日本のエネルギーと食料の供給線を遮断しうるとも強調した。

反中国のタカ派として知られるポッティンジャー氏は、台湾大学で中国語を学んだ経験を持つ。氏にとって台湾は地政学上の駆け引きの駒にとどまらず、米国がアジア太平洋で影響力を維持するための要の拠点でもある。2024年6月に刊行された『The Boiling Moat—Urgent Steps To Defend Taiwan(沸騰する濠—台湾を守るための緊急のステップ)』の編者を務め、第一章「The Stormy Seas of a Major Test(大試練の荒波)」も執筆した。

同氏は「抑止は戦争より費用対効果が高い」として、台湾海峡は中国を隔てる自然の障壁であり、この地理条件を活かして米国と同盟国が「海峡を中国海軍の墓場にする」発想で戦略を構築すべきだと主張する。あわせて「ハリネズミ戦略」と呼ばれる非対称戦を採用し、台湾を容易に飲み込めない目標にすべきだと提言。具体策として、台湾軍が持久戦の意思や迅速な動員能力に欠ける点を直視し、新たな軍隊文化の醸成が必要だとする。要は、地上部隊と一般市民への徹底訓練と適切な装備の行き渡りが、中国の武力行使に対する強力な抑止になるという立場だ。政府は国民に対し「抗敵」の集団意識を育み、物的・組織的支援や軍事知識・理念の普及を進め、「社会の深度」で台湾の「地理的深度」の不足を補うべきだと論じた。

さらにポッティンジャー氏は、台湾の将来は世界の民主主義と繁栄に直結すると位置づけ、台湾と米国、日本、オーストラリア、欧州のパートナー諸国が訓練や統合作戦計画を含む軍事戦略を策定する必要があると主張する。こうした取り組みは台湾の抑止力の強化に資するとして、同書では米国、日本、オーストラリア、欧州が取るべき措置を章ごとに整理している。

『沸騰する濠』が提示する施策は実現可能で効果を発揮するか――個別に検証してみよう。

かつて台湾海峡は、島嶼である台湾にとって「前縁の深度」として機能していた。ご承知の通り、台湾は面積の小さな島であり、防衛に有効な地理的深度は限られている。そうした中で台湾海峡は一定の意味で台湾側の「防衛の深度」を拡大してきたわけだ。しかし状況は変わった。中国本土の軍事力は急速に増強され、艦艇や航空戦力の近代化が進んだ。加えて造船産業の支えにより、現在では世界有数の規模を誇る艦隊を擁し、第5世代機・第6世代機に相当する戦闘機の配備も進んでいる。これら新型機は近年の印パ空戦でも存在感を示し、軍事専門家の中には「中国は第一列島線における海上優位を確立した」と見る者もいる。解放軍の艦艇・航空機は台湾周辺を頻繁に巡航し、台湾軍の活動を台湾島周囲の24海里以内に圧縮する傾向が強まっている。こうした観点からは、台湾海峡はもはや“濠”としての役割を徐々に失っているといえる。

『沸騰する濠』の基本思想は、台湾当局が海峡という地理的障壁を活用し、解放軍の進攻速度を遅らせて米軍到着までの時間を稼ぐ、というものだ。ただし、米軍が来なければその役割は根本的に意味を失う。いま解放軍の対台戦略も変化しており、かつての「上陸主導、攻撃補助」から「封鎖主導、上陸補助」へと軸足が移っている。封鎖は交渉の余地を生み得るため、全面戦に比べコストは低く、米国が軍事介入を躊躇すれば、海峡は“沸騰する濠”としての効力を失う時代は戻らないのかもしれない。

米軍の陸軍中佐チャド・ウルフ氏は、『ストレイトサンダー-2025A』演習の所見から、中国が台湾を掌握するための知見を得たと述べる。そこでは「忍耐強い圧迫」「電撃奪取」「完全混乱」という三つの戦術が示唆されている。

まず「忍耐強い圧迫」。ウルフ氏によれば、これは緩やかで持続的な締め付けであり、解放軍が徐々に海峡の支配を固めるシナリオだ。現状、島内の食糧や天然ガスの9割以上が海上輸送に依存しており、海上生命線が断たれれば短期間で深刻な物資不足に陥る可能性がある。封鎖を通じて弾を一発も撃たずに状況を自国に有利に進めることができれば、最終的には望ましい結果を引き出せると中国側は見ているだろう。同時に長期の封鎖は台湾軍の士気を削ぎ、国内の当局への見方にも影響を与えうる。ウルフ氏は、中国はこの戦略を実行する能力を備えていると指摘する。

次に「電撃奪取」。これは数日以内に台湾島を一気に掌握することを狙うもので、米国が対応する前に決着をつけることを目的とする。断固たる行動と全力投入が必要で、火力集中による台湾軍の壊滅、電子戦・情報戦・上陸戦の同時展開が伴う。速度と決定力が勝敗を握り、短期決戦での成功は中国側の求心力を高め、米国を不意を突く可能性がある。

三つ目の「完全混乱」は、範囲を広げた大規模事態で、日本やフィリピン、グアムへの同時攻撃や、特異な手段による米本土への威嚇まで含む。筆者らは、米日が積極的に介入しない限り第三のシナリオは実行される可能性は低く、また実行の必要性も乏しいと述べている。

こうした危機観を踏まえ、台湾内でも防衛に関する大規模な兵棋演習が実施されている。台北の「政経学院基金会平和と安全センター」と「中華戦略兵棋研究協会」が共催した「台湾海峡防衛兵推」は6月10〜11日に開かれ、前国防部参謀長の李喜明上将、国防部常務次長の胡鎮埔上将をはじめ、複数の退役高官や米日退役将官が参加した。総括報告は9月26日に公表されている。

この大規模兵推は、2030年を想定した台湾海峡紛争を背景に、解放軍が台湾の12海里圏内に深く入り込む事態を想定して行われた。演習を通じて浮き彫りになった脆弱点は三つある。第一に、離島は防衛が困難である点だ。澎湖は本島から約50キロに位置するが、解放軍の突進を一度許せば容易に制圧され、台湾本島侵攻の踏み台になり得る。歴史上、澎湖を失えば台湾が降伏した事例も指摘される。解放軍は両棲艦隊を福建・浙江・広東から出撃させ、宜蘭・花蓮・台東沿岸を抑えつつ北西部への進撃を図る可能性がある。台湾東部の防線は脆弱で、持ちこたえるのは難しいとの評価が出た。

第二に、解放軍の戦術は「立体打撃」に移行している点だ。ヘリによる空挺、両棲上陸、そしてネットワークミサイルによる同時多地点攻撃を組み合わせ、台湾側は依然として従来型の上陸戦を重視しているため対応が難しい。第三に、台湾当局の抵抗意思に懸念があるという指摘だ。報告では、当局が最初の一発を撃つ意思を欠いており、中国海警との衝突があっても反撃をためらう恐れがあるとされる。米国の退役将官デニス・ブレア氏はこれを受け、「米国が支援するか否かは、台湾当局が命懸けで努力する意思を示すかどうかにかかっている」と強い言葉で指摘した。

兵推が示した現実は厳しい。第一に、仮に米国から計画されている非対称作戦システムなどの装備がすべて提供されたとしても、解放軍の飽和攻撃を完全に防げるわけではない。万が一米軍が本格介入する事態となれば、台湾支援に必要な弾薬は短期間で枯渇するとの試算もある。ある米国シンクタンクは、米国が台湾支援を決断した場合、短期間で少なくとも5,000発の長距離弾薬を動員する必要があり、それは米軍と軍需産業に莫大な負担を強いると指摘する。したがって「米軍頼み」では、そのコミットメントの価値を証明する手段は自殺的な抵抗しか残らない可能性があると警告されている。

台湾の退役中将・帥化民氏は、伝統的な渡海作戦とは、本質的に海戦で優勢を確保してから上陸し、浜辺での争奪戦に持ち込む方式だと捉えている。このやり方は、部隊に台湾海峡という自然障害を克服することを求め、海軍の制圧力によって上陸の成功を担保しようとするものだ。歴史を振り返れば、中国大陸が海南島を「解放」した際にも同様の戦略が採用された。当時は極めて簡素な装備と木製船、限られた火力支援で、長期の海戦を経て前進し、最終的に上陸を実現した。一定の成果はあったものの、天候、敵の反撃、後方支援に大きく制約され、戦闘のサイクルは長期化し、消耗も甚大だった。

帥氏は、こうした伝統的な渡海作戦は、現下の中国大陸の軍事力の要請に合致しないと見る。とりわけ、空からの打撃やミサイル運用など新しい作戦手段を統合し切れておらず、近代化した戦力の最大効用を引き出せないためだ。そこで、航空機動と火力投射を重視する新たな渡海作戦が台頭した。大規模な海戦の複雑性を回避し、空中機動と精密火力で部隊を投射する。ヘリで要地に空挺・空降して先占し、その後、輸送機で後続部隊を投入するという発想である。従来の上陸戦に比べ、より効率的に戦略要地を押さえ、大規模な犠牲の発生を抑えられるとしている。

帥氏は、渡海作戦の核心は浜辺の決戦に頼らず、敵の反撃能力を無力化して「制空権」や「制海権」を握り、海軍の護衛の下で部隊を投射する点にあると強調する。これにより速度と効率が高まり、重要地域を迅速に制御しつつ、伝統的な上陸が抱える大きなリスクを軽減できる。さらに、無人機による偵察やミサイルの飽和攻撃など技術的支援を重視し、防御側を徹底的に受け身に追い込む構図を描く。

また帥氏は、一部で中国大陸の統一行動を歴史上のノルマンディー上陸になぞらえる見方があるが、適切ではないと指摘する。ノルマンディーは大量の上陸艇と火力支援に依存し、激しい砲火に晒されながら長期戦・大きな代償を伴った。対照的に、中国大陸の軍事力は変貌を遂げ、伝統的な浜辺での消耗戦に固執せず、先進装備を活用する体制に移っている。多数の戦闘機、短期間で建造された艦艇、強力な空軍・火箭軍をテコに、短時間で敵戦力を抑え込めるとの見立てだ。

こうした変化は、2015年以降の軍改革の成果だという。東部戦区の再編や軍種統合により指揮体系は効率化し、演習も単一の海戦から多次元の協同作戦へ拡張された。装備面でも更新が進み、初期の輸送機は搭載量が限られていたが、現在の運—20は数十トン規模の物資投下が可能で、空中給油能力の整備で行動半径も大きく向上。ヘリ機動も、かつての輸入機から国産の直—20へと主力が移り、より複雑な地形での機降作戦が可能になった。

ミサイル技術も液体燃料から固体燃料へ高度化し、発射速度と精度が大幅に改善。火箭軍の保有弾は数千発に達し、初弾の一斉打撃で敵の主要空軍基地の大半を覆えるとする。これらの一連の変化が、渡海作戦を“理論”から“実行可能”へ押し上げた。従来は数日を要した準備が、いまや数時間で完了し得るという。2025年前半の「聯合閏剣」シリーズ演習では、空輸による目標模擬が実施され、この渡海作戦モデルの精度が実証され、命中率も顕著に向上したとされる。

軍人としての立場から、帥氏は統一行動の様相も描く。第一波の攻撃は台湾北部に集中し、長射程火箭砲で交通の要衝を精密に叩き、低コスト・高精度の弾薬を飽和投入して防空能力を削ぐ。無人機は優先的にレーダー網を無力化し、増援ルートを遮断。渡海段階では、075型両用強襲艦が「制海権」下で岸近くに接近し、ロールオン・ロールオフ船で戦車・物資を継続補給、山岳地帯での消耗を回避する。台湾の地形は中央山脈が中核をなすが、渡海作戦はこれを避け、主要港を直接制圧して安定した補給線を確立するという。

さらに帥氏は、中国大陸の戦略が防御から攻勢へ移行している点にも言及する。空母打撃群が強力な航空掩護を提供し、福建艦の電磁カタパルト採用で艦載機の運用効率は一段と向上。2025年7月、帥氏は鳳凰衛視のインタビューで対台湾政策を補足し、迅速上陸から封鎖への重心移動によって民間人の犠牲を抑え、戦後統治に有利な条件を整えるべきだと強調した。

2025年4月、東部戦区が実施した台湾周辺での大規模演習では、島嶼封鎖を想定した作戦と、部隊の越海投送能力の検証が行われ、2日間にわたり複数軍種の協同運用が大幅に進んだ様子が示された。シンクタンクの関連報告も、帥化民氏の見解を引用しつつ、中国側の上陸様式を分析。経済面から台湾当局の体力を削ぐ封鎖は「平和統一」の方針にも適合するとの見立てを示した。

外部介入の可能性について、帥氏は、米国が供与する装備の多くは通常戦力であり、中国本土の近代化戦力に対抗するには力不足だと指摘。日本にも深く関与する能力は乏しいとみる。米国は台湾当局を“駒”として扱いながらも、中国と正面衝突は避け、ミサイル展開などで抑止を示す一方、実質的には後退気味だというのが氏の評価である。豊富な軍務経験に基づけば、共同作戦における指揮系統の課題や、核保有国間の衝突が孕むリスクは大きい。越海作戦が短期決戦の性格を持つ以上、中国は外部介入が及ぶ前に事態を収束させ、偶発要因を抑え込む公算が高いという。

2025年8月に台湾で実施された世論調査では、抵抗に対する自信の低下が読み取れた。他方、中国側の演習は常態化の度合いを強め、国際社会が「一つの中国」原則を再確認する契機にもなり得るとの見方が浮上した。これらは国防分野での自信を示すとともに、将来の「平和統一」に合理性を与える材料だと帥氏は位置づける。氏は、中国本土には武力による統一能力があるとしつつ、「同胞同士の流血を避けるため、平和統一を堅持してきた」と強調する。

近年、米国や台湾当局が唱える作戦概念として「非対称」あるいは「アンチアクセス/エリア・ディナイアル(A2/AD)」型の発想がある。前台湾軍参謀総長の李喜明氏は、その主要な提唱者の一人だ。退役後に著した『台湾勝算—以小制大的不対称戦略』で、艦艇・潜水艦・航空機・戦車といった高価な大型装備は、解放軍が「制空権」「制海権」を握る前提では生存性が低く、「瞬時にスクラップになり得る」と指摘。台湾側はミサイル、無人機、各種防空ミサイルなど「多数の致命的な小型兵器」に資源を振り向け、制空・制海の奪取ではなく、相手の制空・制海を削ぐ方向に注力すべきだと唱える。あわせて、解放軍のA2/AD的な思想をなぞり、重層防御を築き、複雑な地形・都市で持久する「ハリネズミ化」によって抑止を働かせる構想だ。

この考え方は米国や蔡英文氏も重視したとされる一方、台湾島内—とりわけ軍内部—では異論も根強い。批判派は、これは守勢に偏った単純防御であり、「制空・制海」を事実上手放すに等しいと懸念。結果として戦争を引き延ばすだけで、最終的帰結は変えられないのではないかと疑問視する。非対称戦の主眼が「長期化して米軍到来を待つ」ことに置かれているのだとすれば、そもそも米軍は来るのか、来られるのか—ここが最大の不確実要因だという指摘である。

解放軍の潜水艦・ミサイル・第5世代機で構成されるA2/AD態勢のもと、米軍が台湾のために高リスクを冒して正面突破するのか。そこに確信を持ちにくいなら、介入そのものが不確実となる。重層封鎖と米軍不介入の前提下で、非対称装備だけで優位に立つのは現実的とは言い難い。両岸の力量差が大きすぎるためだ。

そもそも「非対称」とは、相手の弱点を突き、少数・軽量の手段で優位兵器に挑む発想だ(自爆型無人機で先進戦闘機に打撃、小型無人艇で大型艦に対抗する等)。この10年、台湾側は通常戦の勝ち目の薄さを踏まえ、無人機や対艦ミサイル、機雷戦に注力し、高速布雷艦の整備で航路封鎖を狙ってきた。だが、帥氏は、米国など域外勢力が非対称戦を勧めるのは、台湾部隊の消耗で解放軍を削る「代行抑止」を狙う思惑があると警戒する。正面対抗が難しいと知りつつ、島内での消耗戦に誘導する危うさがあるという見立てだ。

加えて、装備・練度の両面で台湾側はなお劣位にあり、非対称分野でも解放軍に後れをとるという評価がある。賴清徳氏が関心を寄せる無人機だけを見ても、中国本土は高端からマイクロまで裾野の広い産業基盤を持ち、量・質ともに大きく引き離している。台湾側の軍事専門家からも「解放軍のイノベーション実験は注視に値する」との声が上がり、伝統的優位に加えて非対称領域での実戦力向上がプレッシャーになっている。

地政学的に見れば、台湾は西にアジア大陸、東に太平洋を望み、海峡の最狭部は約140キロ。インドネシア・フィリピンから日本・露極東(カムチャツカ)に至る第一列島線の要衝であり、米中日三者の利益が交差する。台湾海峡は西太平洋の海上交通の要で、台湾は中国の第一の大島として攻防一体の戦略拠点—「東南の要衝」「華東七省の藩屏」と称され—中国の国防安全にとって重大な意味を持つ。

米軍のダグラス・マッカーサー元帥は台湾を「不沈空母」と表現し、米国のグローバル戦略における位置づけを端的に示した。米国が長年台湾問題に関与してきた背景でもある。台湾問題は今なお米中関係で最も敏感かつ爆発性の高い論点だ。日本でも台湾は「東洋のジブラルタル」と形容される。明治維新以降の対外膨張の過程で、1894年の日清戦争では台湾の獲得が主要目的の一つだった—当時の松方正義首相は「台湾は南進の鍵」と公言していたとされる。台湾は日本の対東南アジア進出の跳躍台であり、歴史的にも戦略価値が意識されてきた。

中国側は、台湾問題を「核心利益の核心」と位置づけ、中米関係の政治的基礎に関わる第一のレッドラインだと強調する。カイロ会談、ポツダム宣言の流れや、1972年の日中共同声明(建交公報)で日本が「台湾は中国の領土の不可分の一部」とする中国の立場を十分理解・尊重する旨を表明した経緯にも言及しつつ、「一つの中国」原則と中米3共同コミュニケを政治的コミットメントとみなす立場だ。

これに関し、北京当局は繰り返し、明確にこう公言している。「台湾問題の解決は中国人自身の事であり、中国の内政だ。台湾問題は中国の核心的利益の中の核心である。一つの中国をめぐってあれこれ仕掛ける者に、中国政府と中国人民は決して同意しない。台湾問題で中国が妥協・譲歩すると期待するのは幻想にすぎず、結局は自らの足をすくうだけだ。国家を分裂させようとするなら、わが国の主権・安全・発展利益を損なう苦い果実を、われわれが飲み込むなどと誰も期待しないことだ。」

民進党の頼清徳氏は「親日」「親米」「独立志向」を掲げ、同時に「反中」「嫌中」をあおってきた結果、両岸の敵意は一段と深まった。最近、米国が第二次大戦後の国際秩序を顧みず「台湾の地位は未定」と強硬に表明すると、民進党は欣喜として即座に呼応し、情勢を一層危うくした。とはいえ「暗闇にも終わりはあり、曙光は前方にある」。民進党の逆行と拙劣さは台湾社会の強い反発を招き、大規模リコールは完敗に終わった。「自ら中国人と名乗る」声は増え、平和交流を求める世論は主流になりつつある。直近では国民党が新たな主席に鄭麗文氏を選出し、党勢の再生が視野に入ってきた。北京当局が重視する「対等な対話」の相手となり、両岸平和交流の中流となる——民意の期待はそこにある。

台湾の活路は、台湾海峡を「沸騰する護城河」に仕立てたり「非対称戦」に走ったりすることではない。鍵は、平和交流を主張する主流民意が、民進党による無用の騒擾を抑える点にある。民進党が事を荒立てなければ台湾に大事は起きず、米日も容易に介入できない。9・3の大規模閲兵が示した戦力を見れば、米日も台湾問題への介入コストを慎重に測らざるを得ない。米日が介入しない限り、両岸の齟齬は中国人の智慧で平和裏に解けるはずだ。拙速な「親日」「親米」に走るより、腰を据えた平和交流を——。さもなくば台湾は“レモン”のように搾り尽くされ、「駒」から「捨て駒」へ転じかねない。逆に、両岸が協力し平和交流を進めれば、成長を続ける中国経済圏という広大な天地は、台湾、とりわけ若い世代が大いに腕を振るう舞台となる。鄭麗文氏の言を借りれば、台湾は「巨人の肩に乗って」再び奇跡を生み、世界の平和と繁栄にも寄与し得る。半導体分野でも、張汝京博士が指摘するように双方に得意分野があり、手を携えれば無敵だ。

鄭麗文氏が述べたように、両岸は日本の植民地統治50年と、国共対立による80年の分断を経てきた。平和統一に向かうには、まずあらゆる面で有機的な結び付きを築き、平和交流を通じて段階的に融合していくほかない。愛情・忍耐・信頼・決意をもって相互理解と信認を積み上げ、平和交流の堅固な土台、いわば「四梁八柱(骨格/基盤の意)」を打ち立てることが肝要だ。

*筆者は全米中国平和統一促進会連合会 名誉主席。元・国連翻訳局に30年勤務。

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