公開日時 2025年10月23日 15:37更新日時 2025年10月23日 15:38

かわいく切ない「ごみ」が主人公 絵本「アクタンモクタン」 短歌と絵、玉那覇さん担当 沖縄
カニカニワークスが短歌絵本「アクタンモクタン」出版/ 短歌絵本「アクタンモクタン」作者の玉那覇純子さん=14日、那覇市の琉球新報社

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赤嶺 玲子

 風呂に落ちている絆創膏(ばんそうこう)やにんじんの切れっ端など、小さなごみたちの声を絵と短歌でつづった自主制作の絵本「アクタンモクタン」がこのほど出版された。絵本を手がけたのは那覇で活動する夫婦ユニット「カニカニワークス」。絵と短歌を担当した玉那覇純子さんは「『どんな存在にも共感できる』をテーマに、子どもにも大人にも楽しんでもらえる内容を目指した」と思いを語る。

 カニカニワークスの結成は2010年。沖縄出身で本好きの夫を相棒に、緩くてくすっと笑える漫画やイラストを手がけてきた。14年に制作したアプリ「海底あるある」は人気を博し、21万ダウンロードを達成。宝島社から書籍化された。

 活躍の傍ら、同時期に描いていたのはごみの絵だ。初めて描いたのは、無表情で真ん中からポキッと折れたマッチ棒。「会社員時代の挫折や疎外感、辞めた後の楽になった自分の気持ちをごみに託して描いていたのだと思う」と振り返る。

 カニカニワークスによる短歌絵本「アクタンモクタン」の一ページ

 描きためた絵は発表せずしばらく眠らせていたが、昨年、長年住んだ東京から夫の故郷である沖縄に移り住んだことを機に、約10年ぶりに絵本として形にすることにしたという。

 玉那覇さんは「沖縄に住み始めて、沖縄の人や空気、文化のおおらかさに触れ、ごみの絵の存在を思い出した。線を引かず、ジャッジしない。そんな雰囲気で気持ちが柔らかくなり、絵本を作ってみようと思った」と言う。

 絵本制作にあたり、絵と短歌を組み合わせるアイデアを出したのは夫のヤスさんだ。ごみたちの悲哀を詠んだリズミカルな短歌と、かわいくユーモラスなイラストが不思議とマッチした。

 「さわがしい よるがおわって もうごねん だれもきづかず すきまにねむる」は、飛んでいったコルク栓を詠んだ歌。切なさで胸がぎゅっとしたり、キャラクターの愛らしさに心くすぐられたりと、玉那覇さんのセンスが光る21のごみの絵と歌が並ぶ1冊だ。

 玉那覇さんは「悲惨なことでも突き抜けると滑稽になったりする。読んでくれた人が前向きに考えるきっかけになれたらうれしい」と笑顔を見せた。

 絵本は八重瀬町の「くじらブックス&ZouCafe」と那覇市の「古書ラテラ舎」で購入できる。

(赤嶺玲子)