(CNN) 気温が下がるなか、ロシア軍がウクライナの電力施設へのドローン(無人機)攻撃を強化しており、国内数百万人の家庭が影響を受けている。
ロシア軍は住民の苦しみをあおるため、同じ地域を繰り返し攻撃している兆候もみられる。ロシアとベラルーシに接する北部のチェルニヒウ州とスーミ州では、この1カ月間、継続的な攻撃が続いている。
チェルニヒウ州では21日、50機を超える無人機やミサイルが重要インフラを狙い、数十万人が停電や断水に見舞われた。チェルニヒウ州軍政トップによると、攻撃用無人機2機が熱供給施設と別のエネルギー施設を攻撃した。同日夜には約20機のロシア無人機が町を攻撃し、男女4人が死亡したという。
地元電力会社によると、チェルニヒウ州の電力インフラは過去1カ月で15日間にわたり攻撃を受けているという。
今月10日には首都キーウを含む複数の地域のエネルギー施設が大規模な攻撃を受けた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、「ロシアの戦術は人々を殺し、寒さで恐怖に陥れることだ」と述べた。
ウクライナ国民はロシアの新たな戦術を目の当たりにしている。
ウクライナのエネルギー省は、「ロシアは、損傷した施設の上空を継続的に旋回する無人航空機を意図的に打ち上げており、作業を安全に行うことを不可能にし、人道危機を意図的に長引かせている」と述べた。
ロシア軍のドローン攻撃を受けて避難所に逃げ込んだ人たち(State Emergency Service of Ukraine)
ロシアは無人機とミサイルを組み合わせた攻撃を展開し、ウクライナの防空網をしばしば圧倒している。スーミ州では、2週間前の攻撃以降、ショストカ市と周辺地域でいまだに送電が完全には復旧していない。
直近の攻撃を受けて、ウクライナのシビハ外相は、「ウクライナの回復力強化のため、エネルギー設備から燃料供給、防空能力まで、追加支援を早急に動員してほしい」と支援国に呼びかけた。
ゼレンスキー大統領は先に、「防空システムで守るべき重要施設が国内に203カ所ある」とし、そのほとんどが電力、ガス、水の関連施設だと明らかにしていた。
ウクライナ政府は激化するロシアの攻撃に対し、より強力でより増強された防空システムと、ロシアの重要インフラを攻撃するための長距離ミサイルという二つの対応策を講じている。
ウクライナ当局は21日、火薬などの爆発物を製造しているロシア・ブリャンスク州の化学工場を長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドー」で攻撃したと発表した。ブリャンスク州知事はSNSで、工場への言及は避けつつ、ウクライナの攻撃の中で57機の敵無人航空機を探知し、撃墜したと主張した。
ただ、ウクライナ政府が期待していた米国の巡航ミサイル「トマホーク」は供与されておらず、防空能力は依然として不足したままだ。
ウクライナでは、米国のトランプ大統領がロシアのプーチン大統領とのハンガリーでの首脳会談を前に、再びウクライナへの支持を弱めつつあるのではないかとの懸念が広がっている。

トランプ米大統領との昼食会に出席したウクライナのゼレンスキー大統領=17日、米ホワイトハウス/Andrew Harnik/Getty Images
ゼレンスキー氏、欧州資産の活用に注目
ゼレンスキー大統領は改めて支援を求めて欧州に目を向けており、23日に欧州各国首脳と会談する予定だ。
ゼレンスキー氏と欧州首脳は21日の共同声明で「ロシアの遅延戦術は、ウクライナだけが平和に真剣に取り組んでいることを繰り返し示してきた」と指摘。「ウクライナが必要とする資金を確保できるよう、凍結されたロシアの資産の価値を最大限に活用する措置を策定している」と明らかにした。
欧州では約2000億ドル(約30兆円)のロシア資産が凍結されており、欧州連合(EU)はその一部をウクライナ向け融資に充てる方法を検討している。ドイツのメルツ首相は先週、EUがウクライナの戦費調達のために1400億ユーロの融資を行うよう提案すると述べた。
ロシア大統領府は、こうした動きを「ロシア財産の不法な差し押さえだ」と非難している。
ゼレンスキー氏は、凍結された資産の一部を地対空ミサイル「パトリオット」や長距離ミサイルの購入資金に充てることを提案している。ゼレンスキー氏は25基のパトリオットシステムの調達を目指しているものの、数年かかる見通しだと認めている。
