自民党の高市早苗総裁は21日、衆参両院の本会議で第104代首相に指名された後、組閣に着手する。高市氏は憲政史上初めての女性首相となる。
高市氏は20日、首相就任後の政権運営について「とにかく今、安定した政治が大事だ。それがなければ強い経済政策も打てないし、力強い外交政策も打てない」と述べた。日本維新の会と連立政権合意書に署名後、党首会談で語った。
維新は閣僚を送り込まない「閣外協力」の形で与党入りする。公明党の連立離脱で危ぶまれていた高市氏の政権運営は一定程度、安定基盤を確保する。就任後は急務となっている物価高対策の策定や来週に見込まれるトランプ米大統領の来日などの課題が山積しており、首相としての手腕を早速、問われることになる。
衆院では午後1時からの本会議で首相指名選挙を行う。維新の所属議員全員が自民の高市氏に投票すれば、合わせて231議席と過半まで2議席に迫る。守島正氏ら一部の無所属議員も高市氏への支持を表明しており、1回目の投票で過半数を獲得する公算が大きくなっている。
候補者の得票数も過半数に達しない場合、決選投票で多数を獲得した候補者が選出される。その場合も自民と維新が支持する高市氏が当選するのは確実な情勢だ。立憲民主党は野党候補の一本化を断念している。
共同通信によると、高市氏は政権の要となる官房長官に木原稔前防衛相を起用する意向を示している。自民党総裁選を争った茂木敏充元幹事長を外相に充て、小泉進次郎農相、林芳正官房長官も入閣させる方向。維新からは遠藤敬国対委員長を首相補佐官として迎える見通しという。女性閣僚の登用も注目されている。
市場の反応
21日の東京株式相場は続伸の見込み。米国企業の堅調な決算や米中貿易摩擦の緩和、高市新政権による政策期待が指数を押し上げる。自民、維新が連立政権樹立で正式合意した20日の日本市場では日経平均株価が1600円余り上昇し、終値で初めて4万9000円台を付けた。
債券相場は上昇が予想される。自民、維新の連立合意で政治の安定が見込まれることも支えになる。外国為替市場で円は21日午前7時50分現在、対ドルで150円台後半を推移している。
補正予算
臨時国会では物価高対策などを盛り込んだ今年度補正予算案を提出する予定で、「責任ある積極財政」を掲げる高市氏の経済財政運営にとって試金石となる。
自民、維新の連立政権合意では、電気ガス料金補助をはじめとする物価高対策を早急にまとめる方針を掲げた。ガソリン税の暫定税率廃止法案を臨時国会中に成立させるとする一方、参院選で自民が掲げた一律給付は「行わない」と明記した。
30日に金融政策決定会合を行う日本銀行との関係の在り方も注目される。高市氏は総裁就任後に出演したテレビ東京の番組で、金融政策の手段は日銀が決めるとも指摘しつつ、政府の経済政策と日銀の対応を「しっかり整合させていくということが必要だ」とも述べた。
外交安全保障
外交日程も目白押しだ。来週には東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などの国際会議が開かれる。
共同通信が28日開催で調整と報じている日米首脳会談では石破茂政権が合意した5500億ドル(約83兆円)規模の対米投資の扱いや防衛費の増額なども議題にあがる可能性がある。自民、維新の政権合意では国家安全保障戦略など安保関連の3文書について前倒しで改定する方針を明記した。
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