中国は14日、韓国造船大手の米子会社への制裁を発表した。米国による中国海運・造船業界の調査への対抗措置だとしており、同日から実施する。追加の報復措置も講じる構えをみせており、今後予定されている通商協議を前に、米中両国による応酬が激しさを増している。
中国商務省の発表によると、制裁対象となるのはハンファオーシャンの米関連企業5社。個人・法人ともにこれら企業との取引が禁じられる。ハンファオーシャンは、韓国の造船会社として初めて米国の造船所を買収しており、米国への技術移転を目指している。
同省は今回の決定について、米国による通商法301条に基づく調査への対抗措置だと説明した。301条は外国による不公正な貿易慣行に対し報復措置を講じる権限を定めたもので、米通商代表部(USTR)はこれに基づき、中国の海事・物流・造船業界を調査している。
金融市場では米中緊張緩和への期待が後退する中、世界的に株安が進行している。ハンファオーシャンの株価は韓国市場で一時8%安と約2カ月ぶりの下げ幅となり、6.2%安で取引を終えた。一方、中国の造船株は上昇した。
今回の措置で、海上覇権を巡る米中の対立が一段と先鋭化した。両国はすでに互いの船舶に特別港湾料金を課しており、米国はとりわけ韓国を含む同盟国に協力を呼びかけ、低迷する自国の造船業復興を目指している。世界貿易の8割以上は船舶輸送に依存していることから、米中の対立激化は世界経済全体にも影響を及ぼす恐れがある。
ヒンリッチ財団(シンガポール)の通商政策責任者、デボラ・エルムズ氏は「もはや関税や輸出規制だけの問題ではなく、どの企業がどの市場で事業を行えるのかという点にまで及んでいる」と指摘。「この状況が続けば、さらに多くの経済活動が危険にさらされるだろう」と語った。
米中の当局者は対話を継続していると強調しているものの、トランプ米大統領と習近平国家主席の首脳会談を前に両国が「休戦」で合意できるかは不透明だ。中国によるレアアース(希土類)や海運分野での新たな対抗措置を受けて、韓国などの国々が米国側について中国への圧力を強める展開となれば、習氏にとってはリスクとなる。
ベッセント米財務長官は、中国が「自由世界全体のサプライチェーンと産業基盤に向けてバズーカ砲を突きつけている」と非難。米国の同盟国に対し、結束して中国の政策に反対するよう呼びかけた。
中国側には今週、緊張緩和を探る機会がある。通商交渉チームの重要メンバー、財政省の廖岷次官は今週、ワシントンを訪問中だ。事情に詳しい関係者は、廖氏が米財務省のカウンターパートと会談したと明らかにした。向こう数週間に一段と広範な通商協議が行われる見通しだという。
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中国の交通運輸省もこの日、USTRによる調査が中国の海運業などに与えている影響について調べると表明した。その結果に基づき、適時に相応の措置を講じる方針だ。ハンファオーシャンの米国子会社が米政府の調査を支援・協力した結果、中国の国家主権、安全保障および発展上の利益を脅かしたとしている。
トランプ米大統領は10日、中国によるレアアース(希土類)輸出規制の強化を理由に、11月1日から100%の対中追加関税を課すと警告。両国の緊張は一段と高まっていた。
今週からは米国船舶が中国の港に寄港する際に特別料金を課す対抗措置も始まっており、世界の海運業界に懸念が広がっている。
ソウルのハンファオーシャンの広報は、「中国政府の発表は承知しており、事業への潜在的な影響を精査している」とコメントした。
中国の造船企業は過去10年間で日韓勢を抜き、世界最大の船舶メーカーへと成長した。対照的に、米国の造船業は衰退が進んだ。トランプ政権が掲げる米造船業の復興は、韓国にとっては影響力拡大の好機となり、韓国政府は米造船業界の支援に向けて専門技術と投資などを通じ1500億ドル(約22兆7900億円)を拠出する方針を表明している。
米政府が中国の造船業界への対抗措置について最終的な取りまとめを行っていた3月、ハンファシッピングは、グリアUSTR代表宛てに、調査を支持する旨のパブリックコメントを提出していた。
フィボナッチ・アセット・マネジメント・グローバルのユン・ジュンイン最高経営責任者(CEO)は、今回の中国の措置が、韓国に対し中国か米国のどちらかを選ぶよう迫る圧力となるとの見方を示した。同氏は「ハンファに対する制裁は、北京からの明確なメッセージだ」として、韓国企業が米国との協力を続けるなら「中国での事業を犠牲にせざるを得なくなる」と述べた。
原題:China Hits Back at US on Shipping With Hanwha Curbs, Probe (4)(抜粋)
(詳細を追加して全体的に更新します)
