社説/米国の四半期開示「廃止」案 「任意化」含め制度を再考したい

企業の四半期開示のあり方があらためて検討される可能性が浮上している。トランプ米大統領が四半期開示制度の撤廃に言及したからだ。経営の短期志向を促す同制度をめぐっては関西経済連合会などが「完全任意化」を求めている。四半期開示の見直しは単なる制度改正にとどまらず、わが国にまん延する株主第一主義からの転換につながる。トランプ発言を機に、制度のあるべき姿を再考したい。

トランプ大統領は自身のSNSで、「四半期での報告を強制すべきではない。半年ベースにするべきだ。コストが削減できるし、経営者は適切な企業運営に集中できる」と提唱した。第1次政権時にも撤廃を口にした同氏。今回の本気度は不透明ながら、より独裁的な政策を次々に打ち出しているだけに、わが国も準備を進める必要がある。

海外では義務付けを廃止し、任意化する動きが広がっている。すでに英国やフランス、ドイツ、シンガポールが法定義務付けを廃止している。一方米国、日本、中国は引き続き義務付けられるなど対応は分かれる。

わが国は2024年に金融商品取引法上の四半期報告書が廃止され、四半期決算短信への一本化が実現している。経済界ではこの制度見直しを高く評価する半面、関経連を中心に四半期開示の完全任意化を求める声は今も絶えない。

四半期開示は企業経営の短期志向化を促す可能性が指摘されている。特に株主権が強いわが国では株主からの圧力が高まり、短期利益の最大化を優先する経営が広がっている。結果、配当や自社株買いは過去最高を更新し続ける一方、将来への成長投資が後回しされ、株主以外のステークホルダー(利害関係者)に対する適正分配が実現されないケースも少なくない。

荒唐無稽な要求を繰り返すトランプ氏ながら、今回の提唱に限っては傾聴に値する。非財務指標を含め、大手企業では開示項目が増え続け、今や日本企業は“開示地獄”に陥っている。トランプ氏発言を、中長期的な成長を取り戻す好機として四半期開示のあり方を再考したい。