インド科学技術省(MoST)は8月26日、傘下のナノ科学技術研究所(INST)が金ナノクラスターを用いてパーキンソン病の原因タンパク質を高感度に識別する新技術を開発したと発表した。研究成果は学術誌Nanoscaleに掲載された。

パーキンソン病は世界で最も急速に増加している神経疾患の一つであり、インドでも高齢化に伴い患者数が急増すると予測されている。しかし診断は多くの場合、神経細胞が大きく損傷した段階で行われており、早期診断の手法が求められてきた。

金ナノクラスターベースのバイオセンサーが生理的および病理的α-シヌクレインの構造体を区別し、パーキンソン病の早期検出を可能にする
(出典:PIB)

INSTの研究チームは、疾患進行に伴い形態を変えるタンパク質α-シヌクレインに着目した。このタンパク質は正常な単量体から毒性のある凝集体に変化し、脳細胞死を引き起こす。研究者らは表面電荷の違いを利用して両者を判別できるかを探り、金ナノクラスター(AuNC)を用いたバイオセンサーを開発した。

金ナノクラスターは数ナノメートルの微粒子で蛍光特性を持つ。研究チームは天然アミノ酸で表面を修飾し、プロリン修飾クラスターが正常型を、ヒスチジン修飾クラスターが毒性凝集体を選択的に検出できることを確認した。これにより分子形態の識別が可能となった。

実験では正常型と変異型のα-シヌクレインを精製し、合成したナノクラスターとの相互作用を解析した。UV-Vis分光法、蛍光イメージング、電子顕微鏡、X線光電子分光法で光学・構造特性を評価し、さらに電気化学的手法で検出感度を実証した。最終的にはヒト由来の神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞で安全性と有効性を確認した。

この技術により、症状が出る前にパーキンソン病を検出できる可能性が高まり、生活の質向上や医療費削減に寄与するとされる。またアルツハイマー病など他の神経変性疾患にも応用可能で、低コストで臨床利用できる次世代診断ツールとして期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部