インドによるロシア産原油の購入を理由にトランプ米大統領は対インド関税を先月50%に引き上げたが、同国の石油精製会社は購入をやめるつもりはない。事情に詳しい関係者が明らかにした。モンスーン(雨期)明けの燃料需要が国内で強まっている事情がある。

  11月積みと12月積みのロシア産原油の購入はここ数年のピークは下回る可能性があるものの、引き続き活発になる見通しだ。複数の関係者が非公開情報として匿名を条件に語った。

  トランプ氏は貿易交渉の停滞やウクライナを巡りプーチン大統領からの譲歩が得られないことに不満を募らせ、インドによるロシア産原油の購入をやり玉に挙げてきた。8月には50%の関税を発動して圧力を強化。 ホワイトハウスのナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)はウクライナでの戦争をモディ首相の戦争と呼び批判を強めてきた。

  こうした中、購入を一時的に停止する動きも出たため、9月14日までの4週間平均でみるとインドのロシア産原油の輸入量は1日当たり100万バレル程度にとどまった。これは約2年ぶりの低水準で、ウクライナによるロシア国内施設へのドローン(無人機)攻撃も要因となった。

  しかし今週、トランプ氏はモディ首相との電話会談でウクライナでの戦争終結に協力したことへの謝意を示しており、米国の圧力が緩んだとの見方も出ている。

  同関係者は、ロシア産原油の供給は潤沢なため今後、インドの購入量が再び増加する可能性があると述べている。インドの当局者は国営・民営の大手石油精製業者と定期的に協議しているが、ロシア産原油の調達をやめるように命じたことはなく、反対にその継続を指示した事実もないという。今後、交渉が進展しインド側が妥協案を探る過程で、対応が変わる可能性もある。

  インドはイランやベネズエラといった米国による制裁対象国からの原油調達は避ける傾向にある。一方で、隣国の中国とともにインドは主要7カ国(G7)が設けた価格上限制度のもと、割安なロシア産原油を最大限活用してきた。同制度は、ロシアの歳入に抑制を加えつつ、世界の原油流通を維持する目的で設けられた。

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原題:India Presses Ahead With Russian Oil Buying as Modi, Trump Talk(抜粋)