
夏休み明けの学校でこれまでのような給食が提供されなくなる、そんな事態が埼玉県で起きています。埼玉県深谷市にある特別支援学校で、9月から校内で調理した給食が提供できなくなることがわかりました。学校給食の実情に詳しい専門家は、こうした事態はほかの地域でも起こりうると指摘しています。その理由などについて取材しました。
給食提供できず 県立深谷はばたき特別支援学校

9月から給食が提供できなくなるのは、深谷市にある「県立深谷はばたき特別支援学校」です。夏休みが明けて、9月4日から始まる予定だった通常の給食は児童や生徒およそ260人に提供できなくなり、県教育委員会は代わりに仕出し弁当を手配して対応することにしています。
保護者の受けとめは?

埼玉県深谷市の県立特別支援学校に子どもが通っている40代の母親が、NHKの取材に応じました。保護者には8月25日の臨時の保護者会で、9月から給食が提供できないと説明があったということです。
母親
「障害のある子どもたちそれぞれに特性があって、食べ物の温度やいつもと同じ食器かどうかで、食べ物を全く受け付けない場合もありえます。説明を受けても実際に始まってみないと不安です。給食はただ食べるだけではなく、手を洗って配膳をしたりお箸やスプーンの使い方などを学んだり教育的な要素が詰まっている大切な時間なので、できるだけ早く再開していただきたいです」
入札成立せず 当面は仕出し弁当を提供

埼玉県教育委員会によりますと、給食を調理する委託業者を決めるための入札は、ことし7月と8月の2度行われましたが、いずれも1社しか応札がなく、入札価格が予定価格を上回ったため、成立しなかったということです。
このため、県は当面の間、仕出し弁当を提供するとともに、2か月後の11月から校内で調理した給食の提供を再開できるよう3回目の入札の準備を進めています。
ただ、これまでの県の聞き取りに対し、複数の業者から「人手不足で調理員を確保するのが難しい」といった声が寄せられていて、3回目の入札で契約に至るかどうかは見通せないということです。
埼玉県教育局保健体育課の話
「児童や生徒、保護者に多大なご心配とご不便をおかけすることを大変心苦しく思います。1日でも早く再開できるよう最善を尽くしてまいります」
同じような事態は他の自治体でも

こうした事態は他の自治体でも起きています。東京・西東京市では、小学校と中学校、合わせて2校で給食を調理する委託事業の入札が成立せず、1学期は仕出し弁当を給食として提供したということです。
その後、市は委託事業費を見直したうえで、入札ではなく、随意契約で調理業者を決め、9月2日から通常の給食を再開したということです。
専門家 “いつどこで起きても不思議ではない”
学校給食の実情に詳しい淑徳大学・看護栄養学部の田中延子客員教授は、自治体側も人件費の高騰を踏まえた価格設定などの対応を検討していく必要性があると指摘しました。

淑徳大学・看護栄養学部 田中延子客員教授
「少子高齢化で労働者人口が減る中、賃金のいいほうに、人は流れていくので、学校給食など福祉の側面があり、賃金が高くない場合は、ますます人手不足に拍車がかかる。北海道から沖縄まで、全国的に調理員は不足していて業者は人材確保に非常に苦労している。最低賃金の上昇に対して、自治体が設定する予定価格が低すぎて折り合わない場合が出てきているのではないか。自治体は物価の状況などに対して、アンテナを高くしておかないといつどこでこういうことが起きても不思議ではない」
