フランスで政権崩壊の可能性が再び浮上している問題で、ウォール街の有力ストラテジストらは、市場はすでにリスクを織り込んでおり、欧州株の米国株に対する好調な流れを崩すことにはならないとみている。

  フランスのバイル首相が25日、予算を巡る対立を受け、信任投票を実施すると突然決定したことで、投資家心理は揺さぶられている。だが、ゴールドマン・サックス・グループ、シティグループ、JPモルガン・アセット・マネジメントのストラテジストは、ドイツでの歴史的な財政改革や域内全体の堅調な成長見通しを踏まえれば、この問題の他の欧州諸国への波及リスクは低いと指摘している。

The Euronext NV Stock Exchange in Paris

パリのユーロネクスト証券取引所

Photographer: Benjamin Girette/Bloomberg

  欧州の高級品メーカーなど、国際市場への依存度が高い業界は、世界的な貿易摩擦の緩和から恩恵を受ける見通しだ。いったん売りに押されたものの、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、エルメス・インターナショナル、ロレアルといったCAC40指数の主力株の一部は、今週の下落分をすでに取り戻している。

  シティグループのストラテジスト、ベアタ・マンシー氏は「欧州の強気論は常にドイツを基盤としてきたが、その基盤は健在だ。一方でフランス資産には、一定の政治的リスクプレミアムが織り込まれている」と指摘する。

  銀行や高速道路運営会社、エネルギー企業は、国内収入への依存度が高いため、政治的混乱が長引けば最もリスクにさらされやすい。ただ、シティのデータによると、CAC40を構成する企業の売上高の約80%は海外で生み出されており、LVMH、サノフィ、トタルエナジーズといった巨大企業にとっては、収益リスクは限定的とみられる。

  ストックス欧州600指数は今年、ドル換算でS&P500株価指数を約13ポイント上回っており、2006年以来の好成績となっている。背景には、ドイツの大規模な歳出計画、ユーロ高、1-3月期(第1四半期)の米国資産からの資金流出がある。最近は投資家が米国の大型ハイテク株に戻りつつあり、同指数は3月の最高値は超えないものの、欧州経済に対してより楽観的な見方が広がっている。

  ラ・フィナンシエール・ド・レシキエのトレーディング責任者デービッド・クルク氏は「私にとって、フランスの状況は欧州株全体の上昇局面を変えるものではない。むしろ押し目買いを促すかもしれない」と述べた。

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  ゴールドマン・サックスのストラテジスト、シャロン・ベル氏によると、同行のエコノミストも、現時点でフランスの政治危機が経済成長に影響を及ぼすとはみていない。

  CAC40指数は、バイル氏の動きを受けて2日間で一時3.3%下落し、フランスとドイツの10年債の利回り差(スプレッド)は、4月以来の高水準に達した。ただ、27日には下げの一部がすでに抑えられた様子も見られ、CAC40指数は0.4%上昇、ストックス欧州600指数も横ばいに終わった。

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  底堅さの一因となっているのは、米国の関税引き上げにも関わらず、欧州の長期的な収益見通しが改善していることだ。統計データによると、ユーロ圏の民間部門は8月、市場の想定を上回る回復を見せ、特に製造業が3年ぶりに低迷から脱している。

  JPモルガン・アセット・マネジメントも、フランス債のスプレッドが85ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)まで拡大すれば、買いの好機になる可能性があると見ている。イアン・スティーリー国際債券部門最高投資責任者(CIO)は、ドイツの緩和的な財政政策により、スプレッドのさらなる拡大は抑えられるとの見通しを示した。

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原題:Goldman and Citi See European Stock Rally Surviving French Drama(抜粋)

(詳細を加え更新します)